旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2016年3月28日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

豪華なエアラインの旅のチョイスが増えてきた

この冬ダイヤでサービス終了のANAビジネスジェットzoom
この冬ダイヤでサービス終了のANAビジネスジェット

世界の景気が良くなっている実感は少ないものの、航空会社でのコストの多くを占める燃油費が下落していることから、史上最高益を出しているエアラインも多いこの頃です。

過去には航空栄華の時代と言われ、オール ファーストクラス エアラインも運航していましたが、ことごとく撤退の憂き目にあっています。現在はどうなっているのか、ラグジュアリーなエアラインの世界を旅してみましょう。

実際の座席数が航空機メーカー推奨の、一般的な座席数の何割なのかを計算した数字を混雑度で表しました。数字の低い方が、ゆったりとした空間ということになります。

フルサービス キャリアが所有する機体の一部をオールビジネスクラスにした例があります。

身近なところでは、ANAがインド・ムンバイ線のボーイング737-700ERをビジネスジェットとして全席をビジネスクラスにした38席の機体を飛ばしていました。(混雑度:30%)
残念ながらこの機体は今年の冬スケジュールで運休になってしまいました。

カタール航空では、エアバスA319を40席のオールビジネスクラスにしてドーハからジェダとリヤドに運航しています。1機だけの貴重な機材です。(混雑度:32%)

一般的には、空間の狭いナローボディー機よりも開放感のあるワイドボディー機に人気がありますが、こじんまりした空間でのゆったりした旅もいいかも知れません。

British AirwaysのOpen Skyサービスです   ©British Airwayszoom
British AirwaysのOpen Skyサービスです   ©British Airways

ブリティッシュエアウェイズは、2つのラグジュアリーフライトを提供しています。

金融街を結ぶ路線としてロンドンシティ空港とニューヨークJFKとを結ぶエアバスA318を32席で運航しています。これをクラブワールド・ロンドンシティと呼んで差別化しています。(混雑度:30%)

もうひとつはオープンスカイというブランド名でビジネスクラスをビズベッド(BIZ BED)と呼ぶサービスを提供しています。英国の航空会社ですがパリのオルリー空港とニューヨーク・ニューアーク空港を結びます。

このサービスは、3クラスですが、特別なブランドなのでご紹介しました。
機材はボーイング757-200で、C20、PY28、Y66の114席仕様とC20、PY20、Y72の112席仕様があります。(混雑度:56%)

このOpen Skyは2006年に就航したL’AVIONというパリが本社のエアラインを2009年に吸収合併したもので、当時は全席ビジネスクラス仕様の90席を設けていました。

ご紹介したこれら4つは、従来のエアラインの発想の延長線上で生まれたものです。

ラ・コンパーニュのスタイリッシュなボーイング757     ©La Compagniezoom
ラ・コンパーニュのスタイリッシュなボーイング757    ©La Compagnie

それに比べて、次にご紹介するのはプレミアムなサービスを前面に出し、売りにした他社とは違う経営を行っているエアラインです。
社名イコールブランドになっています。
過去にこのコンセプトで消えて行ったエアラインが多いので、一種賭けのような経営です。

ラ・コンパーニュというフランスのエアラインが2013年に誕生しました。ボーイング757-200型機を使い、オールビジネスクラス74人乗りになっています。

ラ・コンパーニュの機内です                                    ©La Compagniezoom
ラ・コンパーニュの機内です     ©La Compagnie

パリ・シャルルドゴール空港とロンドン・ルートン空港からニューヨーク・ニューアーク空港を結ぶ二路線です。
サービスのコンセプトを「ブティックエアライン」と称しており、洗練された中にも適正な価格を提供すると宣伝しています。

現在、オールプレミアムで飛ぶ定期便エアラインは世界で同社しかありません。(混雑度:37%)

フォーシーズンズの洗練されたボーイング757         ©Four Seasonszoom
フォーシーズンズの洗練されたボーイング757    ©Four Seasons

また、別のカテゴリーでプレミアムなサービスが誕生しています。
旅行業界で確固たる地位のある会社が、本業以外で航空機の輸送サービスを展開するケースが出てきています。

ラグジュアリーなホテルを世界に展開するフォーシーズンズです。
ボーイング757を使って、世界一周旅行を行っています。
「プライベートジェット」と呼び、その金額は24日間で実に132、000ドル(日本円で約1、600万円)です。

黒いボーイング757-200型機は、白い革張りの52席のシートでゆったりと旅行できるようになっています。(混雑度:26%)

昨年の8月に東京に飛来していますが、プライベート感を大事にしていることから全く報道されることがありませんでした。

クリスタルエアのボーイング777-200LRです       ©Crystal Cruiseszoom
クリスタルエアのボーイング777-200LRです   ©Crystal Cruises

新たに発表されたものでは、旅客船運行を行うクリスタルクルーズが航空輸送を始めるというものです。

2017年にもスタートさせるボーイング787ドリームライナーを使った世界一周のフライトです。名付けてクリスタル・ラグジュアリー・エア」の誕生です。 同機種で60人乗りにするとのことですので、今までお知らせしたどのフライトよりも余裕のある豪華な仕様になっています。
シート・マップができた際には是非見てみたいものです。(混雑度:24%)

更に、昨年11月には同社が次なる戦略機のボーイング777-200LRを導入すると発表しました。 標準仕様の客席に比べて88人乗りでは、787ドリームライナーとともに世界のラグジュアリーエアトラベルの最高峰であると言えます。(混雑度:27%)

過去に搭乗経験もあり、唯一で最高に豪華で贅沢だったのはMGMグランドエアのアメリカ大陸横断フライトです。
冷静に考えると、この機体はボーイング727-100に33人乗りでした。
ここで表現している、混雑度では25%になります。

これから出現するフライトは、以前ご紹介したMGMに負けない豪華さだと思うと、とても楽しみになってきました。なにしろ、今後登場する機体はワイドボディー機ですので、余裕のある機体でどのようなサービスになるのか興味のあるところです。

富裕層が増えてきた昨今、旅の世界の贅沢も一つの志向です。
そのようなニーズが確実に増えてきていることが伺えます。

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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