旅の扉

  • 【連載コラム】coffee x
  • 2016年1月24日更新
アムステルダムカフェより
カフェエッセイスト:安齋 千尋

Coffee x Rock ’n’ Roll, Coffee Bru

1日のはじまり。
朝6時に起きて、シャワー朝ごはん着替えてお化粧をして30分後には自転車で爆走しているAmsterdamの冬の朝。さて会社に着いてiPhoneにボイスメッセージ....? Ohayo〜I love you babeと寝ぼけながら歌っている友人の声が録音されてていて思わず笑ってしまいました。アメリみたいに、日々の生活の中でキラキラと光る幸せな瞬間をすくって、たまには自分の涙で洪水になったり、消えたくなるほど落ち込んだりしながら今年もコラムを書きたいなと思っています。
太陽みたいな笑顔で歌いながらCoffeeを入れてくれたハッピー度全開なCoffee Bruから1月のいろんなこと。

Coffee bru
インベーダーゲームみたいなロゴ、フィルターもカップもカラフルで可愛い色遣い、植物で覆われた壁。Coffee bruはカフェが好きな人たちが作った空間で、ラッキーは簡単に降ってこないけれど、クリエイティブに自分からアプローチを変えればポジティブなものが集まってくるような気がする学園祭みたいなカフェです。色の効果もあってパウンドケーキやサンドイッチも美味しそう。厚切りのバナナケーキはトーストしてもらうと甘い香りとCoffeeでもう最高です。カタカナばっかり使っている文章もまたちょっとこのカフェにいる気分に合っていて、ついさっき尋ねたwifiのパスワードに微笑まずにはいられないのでした。小さなピッチャーのミルクもちゃんとスチームしてくれてあってやっぱり心がこもっているものは美味しい。うれしいな。このカフェのイメージで思いだすのは、
「ばってん楽しかやろ。退屈なやつらに俺たちの笑い声ばきかせてやるったい」
映画シックスティーナイン(宮藤官九郎x李相日)の気に入っている台詞。ベトナム戦争と学生運動に揺れた1969年の長崎県佐世保市を舞台に書かれた村上龍の青春小説が原作です。好きなことをやって生活をするわけにいかないことだらけの中で、思いだす自由と爽快感はのんびり生活をしている私でさえしばらく忘れていたけれど、ラブ&ピースなパワーチャージがしたいときにきっと私はこのカフェに来たいと思います。久しぶりに見たくなって映画の予告編をパソコンで見ていたら、Chemistryの主題歌が青春ひとしお!『いとしいひと』僕の肩に抱き寄せ 君を連れ去ってOH-YES〜♪
妄想にドキドキする楽しいCoffeeタイムです。

Che che Che Changes, Major Tom, Rock 'n' Roll Suicide
David Bowieが他界したというニュースは大好きな人のFacebookの投稿で知りました。Space Oddityの限定版カナダのクリス・ハドフィールド宇宙飛行士が国際宇宙ステーションでこの曲を歌い、宇宙で録音・撮影された初のミュージックビデオとしてYouTubeで公開されたもの。シックスティーンナインつながりだ。この曲のオリジナルビデオは1969年に発表されています。69ロック。。。日本語だからこの発音になるのだけどでもなんてロックンロールな時代、反共、東大安田講堂占拠。そしてこのエネルギーを古いと笑わない熱い場所があります。毎週月曜日、Amsterdamのアンダーグラウンドな世界のシネマクラブがあり、小さなカフェバーの地下にある映画館でショートフィルムを上映してくれるのですが、ここで私はこの69年のオリジナルバージョンを見ました。
David Bowieが私の世界に登場したのは最近で、ロンドンでASちゃんとベーカリーカフェのバイトをしているときです。閉店後、店内を掃除しているとき流れてきたチェチェチェChanges♪という歌に合わせてライブの真似をするASちゃん。パンくずを掃き集めエスプレッソマシーンを洗いながら帰り道までずっと大笑いでした。
ドーパミン誘発剤のような現代のアイコンがこの世界からいなくなったというニュースに何を思ったらよいか悲しいわけではなく、むしろ私の愛している友人たちが魅了されて私の世界に持ち込んだこのセンスへや同じ時代に生きていた人への想いがあって、なんとなくいろんな彼の歌をYoutube で聴きながらベッドの上の2016年1月の真夜中。
When I live my dream, please be there to meet me. Let me be the one to understand.Till that day, you'll run to many other men. But let them know it's just for now. Tell them that I've got a dream.
(David Bowie, When I live my dream)

davidbowie official websiteより http://www.davidbowie.com/photo/1973uktourprogcvr1000h-52371zoom
davidbowie official websiteより http://www.davidbowie.com/photo/1973uktourprogcvr1000h-52371

ある休日の午後、閉店間際のScandinabian Embassyへ。
今年は暖冬でAmsterdamも雪のかわりに雨が続いていた1月ですが、東京でも雪が降った日、こちらもとうとう本格的に雪が降りました。iPhoneに表示された日の入り時刻は5時で、もう外は暗くてとっても寒いのでほわんと温かい光が灯って窓が曇っているところも絵本みたい。お店に入るとオーナーのふたりNicolasとRikardがいました。『coffee x』のコラムでいちばん最初に記事にしたこのカフェは時間が経っても変わらず大切な場所なのですが改めて、美味しい♡ってゆってしまったこの日のNicolasのラテ。なんの装飾しなくても美しいラテのキメの細かい泡とhere you areと木の板にのせてカタンと置いてくれる優しい音。ロックンロールな高揚感は好きだけど、いつ来ても感動しちゃうラテを作ってくれる才能と優しくて穏やかにキッチンバーに立つ私のヒーロたちにすっかり恋に落ちながら、ciao, see you soonとお店をでました。Rock 'n' Roll Suicide, シャンソンぽくつくられたというこの曲が似合う暗い道を自転車に乗っておうちに着くまでいい日だなと思える静かにとっても幸せな雪のカフェの日でした。

Coffee bru
Adress: Beukenplein 14H, 1091 KG Amsterdam
Website: http://www.coffeebru.nl
Facebook: https://www.facebook.com/coffeebru/?fref=ts
Scandinavian Embassy
>http://www.risvel.com/column/233
Adress: Sarphatipark 34 Amsterdam 1072PB The Netherlands
Facebook: https://www.facebook.com/ScandinavianEmbassy/info
Cinema De Nieuwe Anita
Address: Frederik Hendrikstraat 111, 1052 HN Amsterdam
website: http://www.denieuweanita.nl
69 sixty nine (2004)
監督・李相日 
https://youtu.be/5lzDCBRlnuI

カフェエッセイスト:安齋 千尋
Amsterdamに住んでいます。外国で暮らすため、京都で仲居をしながら学んだ日本、Londonでの宝物の出会いがありヨーロッパにきて10年以上が経ちました。世界中どこにいてもいいカフェに出会うことがとても楽しみです。入った瞬間の香り、音、新聞、いつものバリスタと目が合うこと、私の日々の幸せな瞬間はカフェにあります。
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