旅の扉

  • 【連載コラム】coffee x
  • 2016年1月1日更新
アムステルダムカフェより
カフェエッセイスト:安齋 千尋

Coffee x lights in Krakow, Poland

Jo : "Christmas won't be Christmas without any presents"
Amy : "I don't think it's fair for some girls to have plenty of pretty things, and other girls nothing at all"
Beth : "We've got Father and Mother, and each other”
(Little Womanより)

クリスマスマーケットの季節が過ぎ、2015年ももうすぐ終わり。マーケットではいつのまにか立ち並んだ木の小屋、溢れる光と、お肉の匂い、シナモンと湯気の香りに包まれてGlühweinを飲みながらお店の前で談笑する人たち、ヨーロッパにいるとクリスマスこそああ今年も幸せだなぁと感じます。カフェで働いていたLondon時代、スタッフ同士たまにはお客さんにもMerry Christmasとキスをされたり、大きな荷物を抱えて帰る人たちを見送るとちょっぴりホームシックになりつつも心に灯が灯るような気がしました。
さて、私は今年も冬の旅。大の仲良しのASちゃんとポーランドのクラクフへ行ってきました。Chihiro & ASについてはBlog(http://www.risvel.com/column/242)にも少し書きましたが、ロンドンで出会って同じカフェで働いた彼女とは、コーヒーとスーパーマーケットが大好きという共通の趣味、なんだかハッピー度が高まるツボが似ていて、カナダ人のASちゃんが「チヒ〜マァタイヘン!」という爆笑の私たちの旅の失敗談は数知れずですが、今回はわりと成功の旅となりました。
旅の予定はとてもざっくりこんな感じです。

旧市街のクリスマスマーケット
Wawel 城
Kazimierz地区 (ユダヤ人が多く住むファッショナブルな地区)
Schindler’s Factory (旧ゲットーエリア)
Salt Mine
Flea Market

dzień dobry, 
おはよう、冬の冷たい空気の中、朝ごはんとカフェが楽しみすぎてそわそわ歩く私とASちゃん.ドアを開けたときにふわっと広がるコーヒーの香りとオーブンからたちのぼる湯気。こんなに幸せな瞬間てあるかしら。
Massolit Bakery Cafe
1日目の朝ごはんカフェ。全体的に綺麗な白に、おいしそうなパンとレモンケーキやキッシュが並ぶカウンターは大きな窓から入る光で眩しいほど美味しそう。さて私はキッシュ、ASちゃんはベーグルにジャムとピーナツバターを頼みました。彼女と私は共通してベーグルも大好きなのですが、ふたりとも納得のひとつづおいしい構成要素です。なんて笑っちゃうほどえらそうですが、とっても濃厚なピーナツバターと酸味のあるジャムにきっちり目のつまった粉の味がわかるベーグルにとても満足。野菜がいい色のキッシュ。そして納得のエスプレッソとミルクがきちんと重なるいいラテで始まる1日はいい日になるに違いないと思えるのでした。

クラクフの街は、同じヨーロッパに住んでいても、ぐっと東欧です。あとで映画の話題と重なるのですが、東西ヨーロッパと分けなくなってもやはり歴史はあるものでボヘミアンな色が加わるところが、ああ旅にきたと思います。旅のスタイルにも様々ありますが私たちはまるで住んでいるかのように地元の人が使う小さい教会や学校の前を歩き、街でいちばんおいしい、そうな、カフェに入り、写真をとって歩きました。
また、今回私は初めてAirbnbを使ったのですが、友人とふたりで過ごすニーズに完璧に沿った当たりの宿泊でした。高い天井の心地のいいアパートメントで、もちろん幸運だったこともあると思いますがベッドが2つありとても整っています。朝もどちらともなくのんびり起きてお湯を沸かしてコーヒーをいれ、寝る前もソファーでごろごろ明日の予定を立てながら世界共通のガールズトーク。話は尽きても尽きなくても、こんな風に旅に出られることがうれしいなと思う大切な時間でした。

ポーランドというとショパンの故郷という美しいピアノの旋律と現代史の悲しみが重なる不思議な美があるのではないでしょうか。映画の舞台『シンドラーのリスト』Shindler’s Factoryへ。現在ユダヤ人の歴史博物館になっています. 今回の旅のためにもう一度見たので印象深い工場の入り口は映画そのままで、写真をモノクロームにするととたんにさみしさが加わります。この工場のある旧強制居住区(Ghetto Area)の暗いこと、治安が悪いというのではなく戦争から何十年たっても悲しいことがまだ覚めきらないまま取り残されてしまっていることが衝撃的でした。期せずして、または意図的に察知して私はこの旅の前後ナチズム、ファシズムの映画を見ました。古いソフィアローレンの映画 『A Special Day』2015年の『Bridge of Spies』またカンヌ国際映画祭審査員賞のアニメ『Persepolice』
A Special Dayはヒトラーがムッソリーニを訪伊した日のパレードという歴史的な日に、専業主婦のソフィアローレンと同性愛者の隣人と情事にいたる話で、政治的な背景とは関係ないようで全体に影を落とす微妙なタッチですが、ソフィアローレンがコーヒーをいれる大きなモカエクスプレスと大家族のイタリア人の母親の慌ただしい朝、心にトーンと残る名場面がある映画です。イラン革命と女の子のアニメーションPersepoliceでは国家とはHOMEとは、と主人公の普通の女の子の生活から考えたり、ベルリンの壁を越えようとして撃たれる若者がいた時代と、現在国境を越えようとしてきっと今日も必至に生きている難民のことを思い浮かべました。私の好きなキューレーターの友人が映画を紹介する際、私の目から見れば現在のテロや難民、右翼化する政治家という流れも当時の戦間期とそう変わらなく映るよ、というように世界が満面に平和という時間はほとんどなくなんとなく不穏な情勢の中に平常の生活ってあるもので、映画によってすくいとられた場面と現在をシンクロさせるのでした。そしてどんなときも心に光が灯っている人がいちばん強いもの。

おみやげリスト
女の子二人で旅をしたら、カフェの次はお買い物です。週末に多くのフリーマーケットがたつクラクフの街。特に大きなマーケットは日曜日のPlac Targowです。かわいいものがありすぎて、最終日なので飛行機の時間や荷物のことが気になることも旅のお約束です。ここでは結局小さなお買い物。古い宇宙飛行士の柄の切手を買いました。2015年は火星で水の跡が見つかったこと、私にとっては近未来なサイエンス映画というと大切な人の部屋を思いだすこと。父が切手を集めているので一枚はチョコレートに添えて実家に送りました。誰しも大切な思い出や人を抱えて人は成長していくのだと思うけど、この切手がどこか過去から私のところに来たように、一瞬のキラリの想いをでも生涯思慕するであろう関係をこ手元にある大切な本に挟んでずっとずっと宝物にすることにします。あれでもないこれでもない、トイレに行きたいけど我慢などいつもどおりの私たちは、結局フリーマーケットから早足でポーランド食器屋さんへ。私が購入したのはポーランド食器の花柄がかわいいこぶりなお皿2枚、スコーンとジャムのサイズのイメージで。ASちゃんは大きめのグラタン皿と花瓶をかっていたのですが、彼女らしいなぁとうれしくなるかわいらしいチョイスでした。十字架はヴィエリチカの岩塩坑で買った岩塩でできた十字架。ここは岩塩の教会があって、シャンデリアも塩でできていて神秘的でした。
実家には定番のチョコレートを送りました。Wemel社はお城と同じ名前で、クラクフの工場で愛を込めて作られたチョコレートですと裏に書いてあるのを見て、家族や職場でみんなで食べてほしいなと思っています。でも私の父はきっといつまでも冷蔵庫にしまって開けられないのでしょう。実家に帰ると食べないともったいないのに、いつまでも私の思い出が冷蔵庫にあります。cherry chocolateは私の機内用. ドライチェリーが名物でチェリが丸ごと入ってるチョコレートがおいしいかわいいお買い物ができました。

AMAI
Amai trite parole che non uno osava. M’incantò la rima fiore amore,
la più antica difficile del mondo.
Amai la verità che giace al fondo, quasi un sogno obliato, che il dolore riscopre amica. Con paura il cuore. le si accosta, che più non l’abbandona.
Amo te che mi ascolti e la mia buona carta lasciata al fine del mio gioco.

さあ2016年。サラエボにいるアーティストの友人からchihiro,今年の目標はと聞かれています。TokyoかAmsterdamか自分に価値を置いてきちんと考えていこうと思います。来年は私から提供するだけでなく、取材=いただいたテーマで記事を書くことができるように挑戦していくことはひとつ目標です。
今年の終わりもScandinavian EmbassyでCoffeeを飲んで、大切な人たちに次々出会いました。大好きだったイタリアンレストランのオーナーが窓越しに通りかかり大きな投げキスを、エンジェルの羽にしたの、というアートのラテを受け取りやっぱりカフェが好きだなと思う素敵な最終日。今日はオマケだよってCoffeeとCinnamon Bunはバリスタのおごりでハッピー。
私ならできると言い聞かせて2016年へ。

Massolit Bakery Cafe
address:ul. Smolensk 17 Kraków, Poland
facebook:https://www.facebook.com/MassolitBakeryCafe/
クラクフのフリーマーケット情報http://www.fleamarketinsiders.com/flea-markets-in-krakow/
世界遺産ヴィエリチカ岩塩坑:http://www.wieliczka-saltmine.com
可愛いポーランド食器のお店Asortyment Shop 
address: Bozego Clala 22, Kraków, Poland
facebook: https://www.facebook.com/asortymentshop

カフェエッセイスト:安齋 千尋
Amsterdamに住んでいます。外国で暮らすため、京都で仲居をしながら学んだ日本、Londonでの宝物の出会いがありヨーロッパにきて5年が経ちました。世界中どこにいてもいいカフェに出会うことがとても楽しみです。入った瞬間の香り、音、新聞、いつものバリスタと目が合うこと、私の日々の幸せな瞬間はカフェにあります。
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