旅の扉

  • 【連載コラム】coffee x
  • 2015年4月8日更新
アムステルダムカフェより
カフェエッセイスト:安齋 千尋

Coffee x Easter brunch 「Rum baba」

Pasen = Dutch Easter
オランダではイースターは祝日です。
イースターを迎えたとゆうことは、ヨーロッパに来て6年目の生活がはじまった(!!)ということなのです。

いまでもひとりでLondonに来たときの気持ちを思い出します。
4月のLondon到着するとすっかり世界はパステルカラー。
ちっちゃきラッパ水仙、クロッカス、チューリップが道沿いにいっぱい植えてあって、ショーウィンドウにはEgg huntのカラフルな卵が並んでいて、スーパーに行ったらうさぎさんのチョコレートが並んでて!!! イースターって楽しい、とウキウキしていました。イースターを祝う国では、この日を境にすっかり外の色が変わるような気がします。キラキラな芝生といっぱいの花と色、まさに暗い寒い冬が終わり復活を祝う春のお祭りイースター。
今朝はお気に入りのパン屋さんのPasen broodで朝ごはんを楽しみに目が覚めました。本当はかわいいEgg standでこつんこつんってゆで卵を食べる予定だったから苺とかも買ってきてたけど、パン屋さんによったらなんか卵とうさぎさんと全部一緒になってたから、このままオーブンで温めてCoffeeをいれて、お腹いっぱい過ぎて動けなくなるバックスバニーみたいな休日の朝。

さて、イースターいい天気だしなんかhappyでキュートなところでとCoffeeを飲みたいなと思って選んだカフェはRum baba♡
このカフェはひとことでとってもチャーミング。
エスプレッソマシーンの横にほらかわいいにわとりさんなハッピーポイント発見!
見つけてうれしくなって、私いまでもオランダ人が鶏のことチキンて呼ぶのがおかしくて(haha)なんか微笑ましいなと思う晴れ2015年イースターカフェ時間。
ここはとくに焼き菓子がとってもおいしくて、奥のキッチンから甘い匂いがいつもしているところが大好きです。今日はイースターだしスコーンとジャムにするはずで、頭もおなかもそのつもりでいっぱいだったのに、ついたらバナナケーキがあんまりいい匂いでオーブンにいれてもらちゃったのでした。この香りでこんなに幸せになれるなんてー!
偶然ですが、前回台湾ブログを書いてから帰ってきてここの茶器は台湾の器を使っていることに気がつきました。以前夏に烏龍茶を頼んだとき、金色のお茶が、きれいな薄いガラスの茶海に入れて運ばれてきたとき、そのチリンとした涼やかさにわぁ素敵と思ったのでした。私は長く茶道を習っていたことがあり、器や季節感もカフェやごはんやさんを好きになるときにちょっと気に留めます。

イースターの日に食べるパンは、国によって少し違います。
オランダではpasen broodってゆうレーズン、オレンジピール、マジパンが入っている甘い長いパンを切り分けて食べます。とっても甘くてバターたっぷりな感じなのに、まだバターをつける。でもお祝い事はいつも同じパンでクリスマスにもこれが売られていたような。それからウサギさん型のパンも並びますが、ウサギさん型のは味がないので、わたしは勝手にクリームパンならいいのにと思いながら、でも可愛さに負けて買ってもそっと食べてます。
イギリスでは聖金曜日からイースターにかけてホットクロスバンが売られます。(下の写真)キリストの受難を意味するクロスがかかっているのですが中身はカレンンツが入ったりオランダと似ていますが、四角い一口サイズで軽くてぷわんとしててイギリスバージョンのイースターパンが私は好きです。

私はイギリスで最初に働いたのがパン屋さんでした。冒頭にも書いたように、イースターの時期に期待いっぱいで来たヨーロッパだけど、日本でもたかが4年くらいのキャリアでは仕事がもらえないことが現実です。留学生ではないし、語学学校にも興味ないし、家も仕事も友達も恋愛も生活を作り上げるのにChihiro Anzaiというアイデンテティしか使えるアイテムしかないとき、私はやっぱりカフェが好きでした。
今から思えば、できると思っていた英語は、専門分野の学術書や記事を読むこと以外、実際の生活には全く役立たずで「レジはどこですか?」のレジという単語がわからない状態だったので、現地の人からすればアルバイトくらいしかないのが当然。でも運良くフルタイムで、おうちの隣駅にある、とってもかわいくて焼き菓子がおいしいパンやさんカフェで働くことになったのです。Rum babaと似てるかも(笑)いつも美味しいいい香り。今ではちょっと有名なチェーン店になっていますが、当時はLondonで3店舗目でなんだか生き生きしていました。テーブルが7つくらいしかない小さな店に集まる常連のお客さん。えんじ色のエプロンをして、Bread shelfに顔の2倍くらいある大きなパンを並べて、焼きたてのクロワッサン、Coffeeにもこだわっていてとても丁寧に入れてくれるバリスタのエスプレッソやラテ。私はそこで季節の焼菓子が楽しみで、ホットクロスバン、ルバーブケーキを見ると春だなと思って、うっすら夏が来て近くのジェラート屋さんの方が人気になって、Thanksgivingdayのパンプキンパイ、クリスマスのミンツパイ、ジンジャーブレッドクッキーを売って粉だらけ、毎日いい匂いで帰っていました。
魔女の宅急便のキキになったみたいって思ってたなぁ。でも働くって自分にできることを人にすることが基本なんだとわかったのでした。人がいなければ自分は必要でないって仕事でも恋愛でも大切。恋愛はその応用バージョンだけどややこしくてジジの言葉が聞こえなくなってしまった謎がはっきりしないのと一緒。


さて、カフェRum babaは市内中心部から少し外れてOost(東)に位置しています。
私のうちからこのカフェに向かうとき、アムステル川沿いを走っていくのですが、今日はさんさんさんお日様がさして、道でうさぎとか馬に会う、ものすごいハッピーイースター感。ほんとうにのどかで、いつも風が強すぎるから空気がきれいな国。野うさぎささんたちは、ちっちゃーくてびっくりするほどすばしっこくてAmsterdamの生活のかわいすぎるチャームポイントです。
お天気がいい日もまだまだ寒いけど、時計の針も一時間進んでサマータイムになったAmsterdam. 春だからきっと新しい出会いも学ぶこともあってほしいから、自分も素敵なことに気がつくように頑張ろうとすっと背筋をのばす4月はじまり。

Rum baba
Address: Pretoriusstraat 33 Amsterdam, Netherlands
Tel: +31 20 846 9498
Facebook: 
https://www.facebook.com/RumBabaBakes?fref=ts

カフェエッセイスト:安齋 千尋
Amsterdamに住んでいます。外国で暮らすため、京都で仲居をしながら学んだ日本、Londonでの宝物の出会いがありヨーロッパにきて10年以上が経ちました。世界中どこにいてもいいカフェに出会うことがとても楽しみです。入った瞬間の香り、音、新聞、いつものバリスタと目が合うこと、私の日々の幸せな瞬間はカフェにあります。
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