旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2025年5月14日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

2025年はワルシャワへショパンに浸る旅に出よう

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市内の冬の飾りつけ

ポーランドが誇る最大の偉人といえば、音楽家フレデリック・ショパンです。その生涯や作品の軌跡は、ワルシャワの街のあちらこちらに深く刻まれています。2025年秋開催のショパン国際ピアノコンクールを待ちながら、ショパンの足跡をたどり、歴史と文化に加え食やホテルの魅力を伝える旅をご紹介します。

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ポーランド国立ワルシャワ・フィルハーモニーホールのロビー

ショパン国際ピアノコンクール
世界三大コンクールの一つに数えられ、5年に一回の頻度で行われるショパン国際ピアノコンクールが2025年は今秋の10月を中心に数週間にわたり開催され、ショパン命日の前後に本選や表彰式が行われることもあります。

ポーランド国立ワルシャワ・フィルハーモニーホールもその開催を控え、準備が進んでいます。日本人の出場も多く、音楽ファンのポーランド訪問も増えることでしょう。ホールの入口を入ると現れるシャンデリアが照らす光沢のある大理石の階段に受賞者が並んだと思うと荘厳な場所に感じられます。

フレデリック・ショパン空港
日本からLOTポーランド航空で到着するとその拠点は、フレデリック・ショパン空港。2001年に当時の大統領によって命名されました。ワルシャワ中央駅へは8㎞とアクセスも良好で、観光の出発点にぴったりです。

到着時からショパンの存在を身近に感じられます。空港ラウンジの名前はポロネーズとマズルカというのもショパンにちなんで名付けられています。

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ワジェンキ公園内のショパン像

ワルシャワ観光6か所へ
ワジェンキ公園

音楽と自然が調和するこの広大な公園は、ワルシャワ最大の緑地です。しだれ柳の木の下でくつろぐ姿のショパン像のそばに設置されたベンチのボタンを押すと、ショパンのポロネーズの旋律が流れ出します。

5月から10月までの毎日曜日には無料の屋外コンサートも開かれます。ショパンの友人だった音楽家フランツ・リストの像も公園内にあり、音楽ファンにはたまらないスポットです。

市内には同様の「ショパン・ベンチ」が15か所あり、地図を見ながら巡るのも楽しい散策になります。

聖十字架教会(寄付制で入場)
1778年に建立した2本の尖塔を持つ教会には、ショパンの”心臓”が収められた石柱があります。晩年はフランスで過ごしたショパンですが、「せめて心臓だけでも故郷へ」と本人が望んだことで実現しました。

ショパン博物館全景zoom
ショパン博物館全景

ショパン博物館とその生家(入場料各30ズウォティ)
ショパン博物館では、7,000点以上の資料を所蔵し、常設展ではショパンの生涯をたどる展示が見られます。週末には30分のピアノリサイタル、火曜日には音響の優れた天井の高いホールでコンサートが開かれることもあります。演奏後には出演者と直接会えるチャンスもあります。

生家のあるジェラゾヴァ・ヴォラにはショパン像が建つピアノ型の庭園もあります。当時のピアノや食器が残され、19世紀当時の暮らしが垣間見えます。夏の週末にはガーデンコンサートが楽しめます。

ショパンゆかりの地を巡った後は、ワルシャワのその他の観光地も楽しめます。歴史や芸術、そしてポーランドの文化が体感できる場所がたくさんあります。

バルバカンと旧市街
城砦バルバカンは16世紀半ばに設けられたワルシャワの旧市街防衛の為に造られた新市街とを隔てる歴史的な城砦です。かつての城壁の一部であり、現在では観光名所として人気を集めています。近くには、ワルシャワ出身のノーベル賞学者キュリー夫人の生家博物館もあり、市街散策の一環として訪れるのがおすすめです。

ユダヤ人歴史博物館(入場料45ズウォティ)
ポーランドにおけるユダヤ人の足跡ユダヤ人歴史博物館は、ポーランドのユダヤ人の歴史を深く知ることができる施設です。8つのギャラリーにおよそ1000のテーマの展示があります。ハイライトはシナゴーグの再現や、ゲットー蜂起の跡地に関する展示です。特に、1948年に建てられた広場に建つゲットー記念碑は平和の重みをかえりみる場所です。

旧王宮と王宮博物館(入場料60ズウォティ)
ポーランドの政治と芸術の中心地旧王宮は、1596年にワルシャワがポーランドの首都になった際に建設されました。1971年の再建決定後、2009年に完全に修復は終了しました。現在は博物館として公開されており、ポーランドの偉大な画家マテイコやカナレットの絵画が展示されています。フレスコ画のある大理石の間や大理石の暖炉のある王冠の間などもあり、世界で二番目に古い憲法が採択された歴史的な場でもあります。

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ポンチキがおいしいブリクレとヴェーデル本店(右下)

ワルシャワの味覚とショッピング
老舗「ヴェーデル本店」では、伝統チョコを、「ブリクレ」ではローズジャム入りのポンチキを堪能します。ポンチキは国を代表する国民的スイーツ。コーヒーと一緒に頼めば極上の時間が味わえます。

レストランは、「ブッチャリーアンドワイン」がおすすめ。熟成肉と丁寧なサービスが評判で、ミシュラン・ビブグルマンにも選ばれています。星付きレストラン「ディレンタンシ」では、有名シェフのラファウ・フレチャニウク氏が腕を振るう洗練された料理が楽しめます。

ディレンタンシの料理とシェフのラファウ・フレチャニウク氏zoom
ディレンタンシの料理とシェフのラファウ・フレチャニウク氏

2つの高級ホテル体験
ワルシャワ市街中心部でワルシャワ駅前の「プレジデンシャルホテル」の滞在で忘れられない旅の記憶を刻みませんか。全500室以上が全て20階以上に位置している宿泊施設。天候の悪い日でも、下界の雲を視界に入れる経験が新鮮です。2階のレストランでは、地中海料理の歴史あるレシピを現代風にアレンジして提供されます。高級ホテルが107ユーロから利用できる手の届く五つ星の体験です。

世界にチェーンが広がる「NOBU(ノブ)ホテル」は、日本の美と欧州の洗練さを融合した空間です。併設のレストランでは、松久信幸シェフによる極上の和食が楽しめ、日本人にとっては日本に戻り、料亭に行ったような気にさせるメニューが揃います。

こちらは閑散期では629ズウォティで宿泊が可能です。異なる魅力を持つこれらのホテルでの滞在は、旅をさらに特別なものにしてくれるでしょう。

ワルシャワはポーランド観光のベースとして押さえておきたい観光地が盛りだくさん。今年2025年の秋にかけてショパンの音楽に触れに行きませんか。
(2025年5月14日現在、1ズウォティ=38円)

取材協力:
ポーランド政府観光局 ⇒ https://www.poland.travel/ja
LOTポーランド航空   ⇒ https://www.lot.com/jp/ja

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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