旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2025年1月24日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

ザトウクジラの生態とハワイの海の神秘を知る「マウイ・オーシャン・センター」 ~ハワイの離島へ マウイ島の旅②

海底散歩の気分を楽しめるトンネル型の水槽が人気。Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tommy Lundbergzoom
海底散歩の気分を楽しめるトンネル型の水槽が人気。Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tommy Lundberg
前回のトラベルコラムでご紹介した、マウイ島のホエールウォッチング。冬の間、アラスカから4,800kmもの長旅を経て、ハワイの海へやってくるザトウクジラたち。これは、陸や海で暮らす生物の中で最も長い移動距離なのだそう。ハワイはクジラたちにとって婚活と子育て、そしてハネムーンの場所なんですね。春になるころにはハワイで生まれた赤ちゃんクジラも長旅ができるまでに成長し、親子そろってアラスカに帰っていきます。

クジラの生態とハワイの海の神秘がわかる水族館へ
そんなクジラたちの生態がより深くわかるのが、二つの島をくっつけた、ひょうたん型のようなマウイ島のくびれたあたりにある「マウイ・オーシャン・センター(Maui Ocean Center)」です。火山活動によって形成されたハワイ諸島は、海底の地形がとても複雑。ここでは目の前に海が迫るロケーションを活かし、海水を引いた水槽でそのハワイの海を再現。ウミガメやマンタ、サメ、色鮮やかな熱帯魚など、ハワイ近海に生息する2,000種類以上の海洋生物を飼育・展示し、研究に取り組んでいます。
“全米トップ25ベスト水族館”に選ばれている「マウイ・オーシャン・センター」。zoom
“全米トップ25ベスト水族館”に選ばれている「マウイ・オーシャン・センター」。
目の前の海から海水を引き、ハワイ近海の海洋生物が育つ環境を再現。Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tommy Lundbergzoom
目の前の海から海水を引き、ハワイ近海の海洋生物が育つ環境を再現。Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tommy Lundberg
目の前にクジラの巨体が迫る3Dシアター・アトラクションが必見
最大の人気アトラクションが、「Humpback Whales of Hawaii Exhibit & Sphere 」。「Humpback」とは、ザトウクジラのこと。専用劇場でゴーグルを着け、ハワイ沖にやってくるザトウクジラの動きを3Dで鑑賞するシアター・アトラクションです。画像とはいえ、海中から姿を現すクジラの姿は迫力満点! 豪快な潮吹きに、尾ビレで海面を叩きつける音や、海中に共鳴する鳴き声も響き、目の前に巨体が迫ってきたときには、思わずのけぞってしまうほど。毎日30分ごとに上映されているので、ぜひ体験してみてください。
シアター・アトラクションと展示を合わせて鑑賞することで、ザトウクジラの生態がより深くわかります。zoom
シアター・アトラクションと展示を合わせて鑑賞することで、ザトウクジラの生態がより深くわかります。
可愛いサンゴの赤ちゃんがいっぱい! バックヤードツアーへ
海底散歩の気分を楽しめるトンネル型の水槽、小さな生物と触れ合えるタッチプールも楽しいのですが、私が最も興味深かったのは、「Behind the Scenes Tour」というバックヤードツアー。専任の海洋ナチュラリストの案内で約60分間、水族館の裏側を見て回るツアーです。ハワイ近海は世界でも稀にみるサンゴの固有種が豊富なエリア。その保護と育成のため、「Coral Nursery」と名づけられたラボラトリーでは専門家によりサンゴの育成が行われています。海水温とpH、照明が管理された水槽で育つサンゴの赤ちゃんは60種類以上。キノコやウニ、小さなボタンに似ているものもあり、大きくなって美しいサンゴ礁を形成する姿を想像するだけで楽しくなってきますよ。
バックヤードツアーで訪れるサンゴの育成施設は、いうなればサンゴの保育園。赤ちゃんサンゴの可愛らしい姿に癒されて!zoom
バックヤードツアーで訪れるサンゴの育成施設は、いうなればサンゴの保育園。赤ちゃんサンゴの可愛らしい姿に癒されて!
サメは実は“いいヤツ”だった!? ヨガからシュノーケルまでプログラムをチェックして楽しみたい
サメについての研究も、この施設ならではの取り組みです。世界中の海に生息するサメは500種類以上。“海のギャング”と呼ばれ悪者になることが多いサメですが、海の中のバランスを維持するうえで重要な役割を果たしています。彼らがいなければ海中の汚染が進み、生態系が大きく崩れてしまうのだそう。そのことを学んでもらうため、さまざまな種類のサメを飼育・展示しています。サメが泳ぐ水槽にダイバーが潜水して解説を行ったり、来場者が参加できるちょっとスリリングなプログラムもありますよ。

水槽の前で行うヨガ体験、海洋生物学者と出かけるシュノーケリングツアーなど、ほかにも楽しみながらハワイの自然と海を学べるプログラムが用意されています。また、施設内には眺めのいいカフェがあるほか、展望台からは冬の間、沖のクジラを観察できることも。意外に知られていませんが、センターの隣には漁業の神様を祀った「マアラエア恵比寿金刀比羅神社」の赤い鳥居があるので、のぞいてみてください。
ホエールウォッチング・ツアーが発着するマアラエア・ハーバーを眺めながら食事ができるカフェを併設。zoom
ホエールウォッチング・ツアーが発着するマアラエア・ハーバーを眺めながら食事ができるカフェを併設。
ハワイの海の神秘を知ると、その希少性とともに、ここが太平洋のまんなかに浮かぶ奇跡の島であることがよくわかります。「マウイ・オーシャン・センター」があるのは、ホノルルからのフライトが発着するカフルイ空港から近く、ホエールウォッチングのツアーが出港するマアラエア・ハーバーの目の前という便利なロケーション。マウイ島の旅でぜひ一度、訪れてみたいスポットです。

●Maui Ocean Center(マウイ・オーシャン・センター)
https://mauioceancenter.com/

◆協力:ハワイ州観光局 Hawaiʻi Tourism Japan
https://www.allhawaii.jp/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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