旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2025年1月15日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

冬のハワイのお楽しみ、クジラの季節がやって来た! ~ハワイの離島へ マウイ島の旅①

マウイ島沖に集まってくるザトウクジラに会いに行く、ホエールウォッチング・ツアー。陸からこんなに近くで見れるんです! Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tor Johnsonzoom
マウイ島沖に集まってくるザトウクジラに会いに行く、ホエールウォッチング・ツアー。陸からこんなに近くで見れるんです! Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tor Johnson
寒い毎日が続き、南の島が恋しい今日この頃。
しばらくハワイから足が遠のいている人も、「今年こそ!」と思っている人は多いはず。2025年のハワイの旅は、オアフ島から足を延ばして離島を訪ねてみてはいかがでしょう。
私が注目しているのが、マウイ島。特に1月~4月上旬のホエールウォッチングのシーズンに、ぜひ訪れていただきたいです。冬のハワイのアクティビティで、一番人気なのがホエールウォッチング。ハワイ諸島のなかでもマウイ島には、絶好の条件がそろっています。

冬のハワイにザトウクジラが集まってくる理由とは?
12月から4月にかけて、ハワイ沖にはアラスカからザトウクジラが集まってきます。6~8週間かけて約4,800kmもの旅をして、ハワイへ到着するクジラたち。その数は、なんと1万頭! これは、北太平洋に生息するザトウクジラの約半分に相当する数なのだとか。この時期、ほかの島からもホエールウォッチングのツアーが出港しています。マウイ島が条件がいい理由は、ハワイ諸島の中間に位置し、ほかの島々より周りの海が浅いから。そのため、多く見られるのだそうです。
ふたつの島をくっつけたような形をしているマウイ島。かつて捕鯨船の基地が置かれていたこともあり、ホエールウォッチングに絶好の条件がそろっています。zoom
ふたつの島をくっつけたような形をしているマウイ島。かつて捕鯨船の基地が置かれていたこともあり、ホエールウォッチングに絶好の条件がそろっています。
ホエールウォッチングといえば、アラスカクルーズも有名です。
「どうしてハワイなの?」と思いますよね。
クジラたちは夏の間、エサが豊富なアラスカ沖で過ごし、冬になると繁殖と子育てのため、温かい南の海に南下してきます。寒くなると温かい場所が恋しくなるのは、私たち人間もクジラも同じというわけ。クジラにとってハワイは、婚活と子育ての場所なのです。
また、大人のクジラは一度呼吸をすると45分近く息を止めて、深さ数百mまで潜っていられるといいます。一方、息継ぎがまだ上手にできない赤ちゃんクジラは水面から顔を出す回数が多く、お母さんクジラと一緒にいる姿を見られることがあるのも、ハワイならではなのです。
ホエールウォッチングにおすすめは、大きなクルーズ船より小さなボート
マウイ島のホエールウォッチング・ツアーのいいところは、出会えるクジラの数が多いだけでではありません。ツアーの数が多いので、乗船する船も大小さまざまなタイプから選べます。朝食やランチ付きで150人以上乗船できる船もあれば、ホエールウォッチングだけを目的とした小さなボートも。
「少々揺れても大丈夫!」という人には断然、小さいボートツアーをおすすめします。ハワイでは海洋生物を保護するため、ウミガメ、モンクシール、イルカなど、それぞれ近寄れる距離が定められています。クジラの場合は最低90m離れなければいけないことになっています。とはいえ、クジラのほうから近寄ってくるのはOK。子育て中のクジラは、船のエンジン音に神経質になっていますが、小さな船のほうがエンジン音が小さいうえ小回りもきくため、より近くで観測できる可能性が高いのです。
潮吹きや尾ビレを海面に叩きつける光景に、思わず声が上がります。Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tor Johnsonzoom
潮吹きや尾ビレを海面に叩きつける光景に、思わず声が上がります。Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tor Johnson
私も、漁船くらいの10数人乗りのボートで、ホエールウォッチングを体験しました。ハーバーを出てからわずか15~20分でクルーズ船が何艘か停泊するスポットに到着。船長が「ほら、あの方向に!」と指さす方を見ると、双葉が開いたような形をした尾ビレが見えました。それからは、「あっちの方向にも2頭!」、スタッフの声が響くたび、揺れる船上を行ったり来たりしながら、クジラの姿を追いかけました。もともと船酔いには強い方ですが、これだけ興奮すると酔っているヒマはありません。

クジラが呼吸をするときの潮吹きが“スパウティング”、尾ビレを勢いよく水面に叩きつけるのが“テイルスラップ”、体を反らせて飛び跳ねるのが“ブリーチング”。海面からニョッキリ頭を出した時には一瞬、クジラと目が合ったような気がしました。

ツアーが出港するマアラエア・ハーバーは、カフルイ空港から近くて便利。大小さまざまな船から選べます。zoom
ツアーが出港するマアラエア・ハーバーは、カフルイ空港から近くて便利。大小さまざまな船から選べます。
2023年8月、多くのホエールウォッチング・ツアーが出港していたラハイナでは、大規模な山火事が起こりました。その年の冬、果たしてクジラたちが戻ってくるのかどうか心配されていましたが、変わらず姿を見せてくれたそうです。現在はラハイナ近隣のハーバーやカアナパリビーチからツアーが出ています。
1~3月のトップシーズン、9割以上の確率でクジラに出会えます。もし見れなかった場合、再乗船させてくれるツアーもあるので、申し込む前に条件を確認しておくといいでしょう。再乗船の場合に備え、滞在中の前半にスケジュールを入れておくのがおすすめです。
クジラたちの迫力あるパフォーマンスに目が釘付け。何度体験しても、感動が薄れることはありません。photo by Taku Miyazawazoom
クジラたちの迫力あるパフォーマンスに目が釘付け。何度体験しても、感動が薄れることはありません。photo by Taku Miyazawa
ビーチやホテルから見えることも。冬のマウイでは海から目が離せない!
大人のクジラの体重は40トン近くあり、これは超大型のダンプカーレベル。そんな彼らが目の前で飛び跳ねるのだから、その迫力は容易に想像できるでしょう。双眼鏡を貸し出してくれる船もありますが、小さくても自分専用があるとより楽しめますよ。
また今の季節、海岸線のドライブウェイ、オーシャンフロントのショッピングセンターやレストラン、ホテルのラナイからクジラが見えることは珍しくありません。私もドライブ中の車の中やビーチから、何度も潮吹きを確認し、テールが見えたこともありました。
冬のマウイ島では、海から目が離せません。
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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