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- 開湯1300年の歴史ある山代温泉街をぶらり散策 ~伝統文化に触れる石川の旅③
旅の扉
- 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
- 2024年11月11日更新
- よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子
開湯1300年の歴史ある山代温泉街をぶらり散策 ~伝統文化に触れる石川の旅③
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- 威風堂々としたたたずまいを見せる、山代温泉のシンボル「古総湯(こそうゆ)」。
- 今回滞在した星野リゾートの温泉旅館「界 加賀」がある山代温泉の泉質は、わずかにとろみが感じられる無色透明の弱アルカリ性。“美人の湯”として知られ、これからの季節は冬の肌荒れ、乾燥解消にひと役かってくれます。滞在中は温泉街散策とともに、共同浴場にも出かけてみました。
温泉街の象徴「古総湯(こそうゆ)」は、歴史とロマン漂う共同浴場
「界 加賀」の真向かいにあるのが、温泉街の中心で山代温泉の象徴的存在でもある「古総湯」。2階建ての建物は、明治時代に建てられた「総湯」を復元したものなのだとか。ステンドグラス、壁や床のタイルが忠実に再現され、とてもモダンな雰囲気。浴室内のタイルの一部には、古い建物に残っていた大正時代のタイルが使われているのだそうです。
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- 「界 加賀」の客室棟から見下ろす「古総湯」。宿泊ゲストは営業時間中、いつでも無料で入浴できる。
- 早朝、6時の営業開始を目指して訪れると、受付にいた女性が、
「お湯が熱いから、少し待っていてね」
といいながら、長い板でお湯をかき混ぜる「湯もみ」をしてくれました。
水を加えてお湯の温度を下げると、温泉の効能も薄まってしまいます。かき混ぜることで湯温と成分を均一にし、肌あたりを柔らかくするのが「湯もみ」。群馬県・草津温泉の湯もみショーが知られていますが、その伝統的な入浴法を目の前で、しかも貸切状態で観れるなんて、ラッキーな体験でした。
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- 九谷焼のタイルなど、明治時代の趣を忠実に再現。一部に大正時代のタイルが残る。
- 2階に上がると、温泉街を一望できる畳敷きの湯上り処。共同浴場を中心とした町並みは、「湯の曲輪(ゆのがわ)」という北陸地方特有の呼び名があります。かつて山代温泉に滞在した北大路魯山人をはじめ、与謝野鉄幹、晶子らの文化人たちも、この景色を眺めながら過ごしたに違いありません。
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- 2階の湯上り処には、冷たい飲料水の用意も。入浴後は「湯の曲輪」と呼ばれる温泉街の街並みを眺めながらくつろぎたい。
- 近代的な「総湯」は、地元の人が集うコミュニティスポット
「古総湯」を取り囲むロータリーの向かい側にあるのが、もうひとつの共同浴場「総湯」です。「古総湯」には洗い場やシャワーはなく、お湯に浸かって「湯あみ」だけを楽しむ古来の入浴法を再現しているのに対し、こちらには最新の熱交換システムを導入。広々とした洗い場があり、スーパー銭湯のようなつくりです。早朝から自前のお風呂セット持参の人が徒歩や自転車で次々と訪れていました。総湯の隣の温泉神社には、無料で利用できる足湯があります。高僧・行基が山代温泉を発見するきっかけとなったとされるヤタガラスの像が見守るなか、足を浸してみるのもいいものです。
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- 「総湯」にはお土産物屋を併設。右側に見える紅殻色の建物が、今回滞在した「界 加賀」。
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- 左/3本の足をもつ伝説の霊鳥ヤタガラスの像が見守る足湯は無料。右/山代温泉の由来を紹介する温泉街のモニュメント。
- 山代温泉のこぢんまりとした温泉街を歩いていると、この湯が地元の人の暮らしとともにあることがよくわかります。温泉と食を楽しみながら伝統文化に触れる旅は、寒さが増すこれからの季節にぴったり。「界 加賀」の伝統文化体験とともに楽しんでみてください。
◆伝統文化に触れる石川の旅
①山代温泉「界 加賀」で初めての金継ぎ体験
②北陸の名湯・山代温泉で伝統工芸と美食体験
●山代温泉 総湯と古総湯
https://yamashiro-spa.or.jp/spa/
●界 加賀
石川県加賀市山代温泉18-47
TEL 050-3134-8092(界予約センター)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/