弘前ねぷたまつりの由来
弘前ねぷたまつりは、青森県弘前市で毎年8月1日から7日まで開催される伝統的なお祭りです。ねぷたまつりの起源は、江戸時代に遡ると言われています。由来は諸説ありますが、農民が夏の忙しい時期に襲ってくる眠気を追い払うため睡魔を船や燈篭などにのせ、川に流した「ねむり流し」という行事から発展し祭りになったという説があります。
重要無形民俗文化財の認定
弘前ねぷたまつりは、その独特な文化と歴史的な価値が認められ、1980年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。ねぷたは、扇型や人形型があり、三国志や水滸伝などの武者絵等を題材とした大小の勇壮華麗なねぷたが城下町の弘前市を練り歩く夏祭りです。後ろには笛や太鼓の囃子方の一団が続き、祭りの雰囲気を一層盛り上げます。ねぷたの製作には数ヶ月を要し、地域の人々が一丸となって作り上げます。これにより、地域の結束が強まり、伝統が次世代へと受け継がれています。
盟友會代表 川嶋史隆さんに話を聞きました
弘前ねぷたまつりには、今年は66の団体が参加し、中でも盟友會は大型ねぷたとして注目されています。盟友會は、地元の学校の同窓生を中心に結成された団体で、扇型が多い中で人形型の組ねぷたを製作し、豪華で迫力のある山車で祭りを盛り上げます。盟友會の代表である川嶋史隆さんに話を聞きました。
―盟友會の活動について教えてください
2000年に結成された有志団体になります。誓い合った友を意味する「盟友」から名付けました。私は2005年から代表を務めており、結成24年と連続22回出陣の記録を持っています。企業や町会団体に比べ小さな組織ですが、伝統の組ねぷたで人形型を含む伝統を守っていきます。
―今年のねぷたのテーマは何ですか?
「日本武尊川上梟師(ヤマトタケルノミコト、カワカミタケル)を襲う」ということで、絵師の野村雄大さんの意向を入れて決めました。元々、弘前ねぷたは、いくさへの出陣を想定した祭りであり、勇壮なものです。重要無形民俗文化財の認定を受けており、歴史を感じて欲しいですね。
―ねぷた製作の中で、大変なことは何ですか?
有志団体で会員数20名ほどの少人数ですので、1月からした絵を見ながら自宅で仕事の後にこつこつとパーツを組み立てGW明けから本格的に製作する工程が長く続きます。好きでないとできないですね。
―こだわりとこの先のことをお聞かせください。
昨年2023年に初めて本賞としての弘前市議会議長賞を受賞しました。今年も狙っていきたいですね。弘前ねぷたは2022年で300年を迎えたことから次の400年に向かって代々続いていって欲しいものです。
(川嶋さん)
出陣式の様子
まつりの初日は出陣式で始まります。各団体の責任者が道路両脇にずらりと並び「ヤーヤドー」叫びます。まつりの開始を宣言するような神聖な雄たけびに聞こえました。その後は、多くの来賓が並び、挨拶を行っていきます。友好都市である北海道斜里町、群馬県太田市に加え秋田県大館市、東京都墨田区などから長が参加し、弘前との縁を紹介します。それぞれに行燈を掲げ「ヤーヤドー」と発声し、観衆の注目を集めました。この掛け声は、祭りの一体感を象徴するものであり、参加者の心を一つにする効果があります。
行進が続く
その後、上部に打ち手がまたがる大太鼓を先頭に、パレードが進んでいきます。盟友會の行進では、川嶋さんが提灯を持ち、運行責任者として先頭を歩き、団体名を入れた前燈篭が続きます。扇ねぷたと人形ねぷたが組となって続き、三台の大太鼓が列を締めています。会員みんなで製作した人形ねぷたは二人のタケルの重なり合う戦いの様子を極彩色で描いており、迫力満点です。
川嶋さんは、持った拡声器を沿道の人々に向け「ヤーヤドー」の掛け声を促して握手をするなどサービス精神が旺盛です。また、知り合いから声が掛かると近付いて行って挨拶をするなど、慣れた貫禄も伺えます。
他の団体では、弘前のマスコットキャラクター「たか丸くん」の人形型や、大きな万華鏡がくるくる回る山車、神戸市の山車ではフジドリームエアラインズの飛行機が赤い光を放ちながら神戸市上空を飛行する様子が描かれていました。
数の多い扇型ねぷたで大型のものは上部に人が載り、扇自体が上下に動いて障害物を避ける動きがユニークです。さらには、地上に「さしまた」をもつ男たちが待機しており、電線を持ち上げて山車を通す役目を果たしています。
未来へ続く弘前ねぷたまつり
弘前ねぷたまつりは、過去と未来を繋ぐ重要な文化イベントです。地域の歴史と伝統を守りながら、新しい世代が新たな価値を加え続けています。今後も多くの人々に愛され続け、未来へと受け継がれていくことでしょう。
2024年の表彰(本賞)は、最優秀賞として青森県知事賞が選ばれるなか、盟友會は「友好都市斜里町長賞」を受賞し、2年連続受賞を果たしました。
弘前ねぷたまつりの魅力は、その歴史と文化だけでなく、人々の熱意と結束にもあります。また、若者や子供たちが手に持つ金魚ねぷたもかわいらしく、祭りに華を添えています。この祭りを通じて、地域の活力が生まれ、多くの人々に感動を与え続けることでしょう。
取材協力:弘前市観光部 観光課誘客推進係 ⇒
https://www.hirosaki-kanko.or.jp/edit.html?id=cat02_summer_neputa