八戸三社大祭の歴史
八戸三社大祭(はちのへさんしゃたいさい)は、神明宮・おがみ神社・長者山新羅神社の神輿行列に附祭として山車を動かす豊作加護の祭りです年におがみ神社が神輿行列を仕立てたことから始まっています。八戸三社大祭は、地元の人々にとって街を全国区に知らしめる特別な意味を持ち、毎年多くの観光客を魅了しています。
山車の魅力
この祭りの最大の見どころは、基の華麗な山車です。企業や町会など独自のテーマやタイトルを持ち、見る者を魅了します。山車は、地元の職人たちの手によって精巧に作られ、可動部分が多いことから、動きの楽しさに加え、美しさと迫力は圧巻です。
八戸三社大祭の前夜祭では、全ての山車が三日町、十三日町、廿三日町の各エリアと市民広場に並びます。夜には山車がライトアップされ、一斉に奏でられるお囃子の音色と共に幻想的な雰囲気が街を包み込みます。この光景は、訪れる人々にとって忘れられないものとなります。
吹上山車組と中村多香子さんの挑戦
今回は、街の中心部から3㎞以上南に離れた場所にある長者山新羅神社に属する吹上山車組の山車小屋を見せて貰うことができ、製作責任者である中村多香子さんに話を聞きました。中村さんは、伝統を守りつつも若い人や子供にも理解しやすい新しい要素を取り入れることに情熱を注いでいます。
―中村さんのプロフィールを教えてください
昨年、前任者より組の長となる山車製作責任者の任命を受け、今年で2回目の季節を迎えます。祭りの経験は、中学生の時にお囃子で参加したのが最初です。大学は遠距離で一時距離を置いていたのですが、卒業後に八戸に戻り再度参加するようになりました。
―どういう内容の活動をされていますか
責任者として題材を考え、人形の位置決めや40名ほどの組員へ作業分担の指示を出します。今年のテーマは歴史ものではなく万人受けするものとして「天の川七夕伝説」と決めました。
―山車制作の過程で特に大変だったことは何ですか?
今年は特に細部にこだわりましたので、その分作業量も多くなりました。特に、GW明けから行う細かな細工や彩色には時間と労力がかかりました。昨晩も徹夜で作業ののち、仮眠してすぐに駆け付けました。大変な分、完成した山車を見ると達成感があります。山車は自走できるものの、前夜祭で街の中心部まで皆で曳いていき、可動部分を全て広げた完成状態を観衆の皆さんに披露できるのが楽しみでもあり、緊張の瞬間にも感じます。
―これから始まる祭りの意気込みを聞かせてください
山車が壊れず、参加者が怪我をせず祭りが無事に終わることを願っています。次世代にこの素晴らしい文化を受け継いでいくために、若者たちの参加を促し、彼らのアイデアを取り入れていきたいと思います。責任者の任期はありませんので、納得できるまで続けたいと思います。(中村さん)
わかり易いテーマにしたことから、例年よりお子さんや若年層の参加者が増えたようだ。
山車の移動
全ての山車が集まる前夜祭の開始に向けて、市内中心部まで15時ころには一般道路を子供たちが中心となりお囃子で山車を引っ張っていきます。沿道では、子供たちの手で曳く遅い山車ながら、追い越そうとする車は一台もなく、対向車線の車は側道に避けるなど協力的です。長い道のりを2時間ほど掛けて指定位置まで運んでいきます。途中の保育園前では、園児に送られながら行列は進みます。自分たちで製作した山車ですので、それこそ大事に運びたいという気持が伝わります。
山車を見てまわる
18時には街の中心部を横断する表通りと言われる廿三日町、十三日町、三日町に計18台、市役所前の市民広場に9台の山車が勢ぞろいし、それぞれに太鼓と囃子が奏でる音が夜空に吸い込まれていきます。山車の燈火は華やかで、極彩色が光に浮かび上がり豪奢に見えています。
祭りの見どころ
八戸三社大祭は、山車のお披露目の運行がメインです。からくり操作となる山車の可動部分を広げたり、縮めたりと街中の電線などの障害物を上手にかわしながら動いていく姿は勇壮でいて幻想的です。祭りの行列には神楽、稚児行列、甲冑武者、虎舞、華屋台なども加わり、華やかに行われます。夜になると、山車がライトアップされ、その幻想的な美しさは訪れる人々を魅了します。
地域の絆を深める祭り
八戸三社大祭は、地域の人々の絆を深める重要なイベントです。祭りの準備や当日の運営には、多くの地元の人々が参加し、協力し合っています。このような共同作業を通じて、地域の結束が強まり、祭りの伝統が守られています。
まとめ
八戸三社大祭は、歴史と伝統を重んじつつも、現代の要素を取り入れた魅力的な祭りです。中村多香子さんのような情熱的な人々の努力によって、毎年新しい山車が生まれ、訪れる人々を楽しませています。2024年の山車優秀賞は、市民広場に置かれた「十一日町籠組」の南総里見八犬伝が獲得しました。地域の絆を深めるこの祭りは、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。
取材協力:八戸三社大祭運営委員会・一般財団法人VISITはちのへ