旅の扉

  • 【連載コラム】こだわり×オタク心
  • 2023年8月6日更新
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コラムニスト:Tomoko Nishio

SWAN LAKE ON WATER ~ついに、ほんとうの水を得た『白鳥の湖』~、ウクライナ・グランド・バレエ団によるエンタテインメント・バレエが初来日

©️Leandro Facundozoom
©️Leandro Facundo
ウクライナ・グランド・バレエ団による「SWAN LAKE ON WATER ~ついに、ほんとうの水を得た『白鳥の湖』~」が2023年8月10日(木)~13日(日)、東京にて初めて開催される。「湖」を舞台に繰り広げられる古典の名作バレエ『白鳥の湖』を、本当に「水」を用いた演出で表現するという構想のもと、創り上げられたエンタテインメント・バレエだ。

舞台に張られた水面で踊る白鳥たち、水面に反射する鮮やかなLEDライト、噴水による演出など、随所に水が用いられた、これまでに見たことのない演出での『白鳥の湖』が展開される。
この舞台を踊るのはウクライナ・グランド・バレエ団。ロシア同様バレエが盛んなウクライナでは、バレエは非常に身近で芸術であると同時に、一般の人々が日常で楽しむエンタテインメントでもある。この「SWAN LAKE ON WATER」はそうしたバレエ表現の新たな試みのもと、2年に及ぶ構想を経て計画されていたが、ご存じの通りウクライナ侵攻により中断。このたびようやく上演にこぎつけたものだ。バレエ文化圏の国からやってきたエンタテインメント・バレエ、ぜひこの機会に目にしてみてはいかがだろう。


©️Leandro Facundozoom
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■世界に散り散りになったバレエ団メンバーが東京で再開

「ウクライナ・グランド・バレエ団」はもとはウクライナの北東部、ハルキウ(ハリコフ)を拠点に活動していたのハリコフ・オペラ・バレエ。コロナ禍によるパンデミック、続くロシア軍によるウクライナ侵攻により、彼らが拠点としていたオペラハウスも爆撃され、ダンサー達は世界各国へと避難し、散り散りになってしまった。

このバレエ団を「ウクライナ・グランド・バレエ団」として再結成させたのが同バレエ団のソリストであるイリナ・ハンダジェフスカーとアナトリー・ハンダジェフスキー。かねてから構想していた「SWAN LAKE ON WATER」を掲げ、世界に散ったかつての仲間たちをふたたび集結させたのがこの公演だ。
©️Leandro Facundozoom
©️Leandro Facundo
水上で踊るバレエは、生半可なテクニックでは対応できない。バレエでトゥーシューズ(ポワント)で立ち、踊れるまでになるだけでもそれ相応の修練と技術が必要なのだが、今回はそれを水を張った水面で踊るのである。揺るぎないテクニックがなければまず踊れないということは、言うまでもないだろう。

ハルキウは今なお続く戦争でも激戦地の一つ。世界でも稀なこのバレエに、ダンサー達はどのような思いを託すのか。ロマンチックな「白鳥の湖」の音楽とともに綴られるメッセージにも、ぜひ目と耳を傾けていただきたい。
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■公演情報
スワン・レイク・オン・ウォーター
SWAN LAKE ON WATER
~ついに、ほんとうの水を得た『白鳥の湖』~


■日時:2023年8月10日(木)14:00/8月11日(金・祝)【昼公演】12:00・【夜公演】17:00/8月12日(土)【昼公演】12:00・【夜公演】17:00/8月13日(日)12:00
※上演時間は2時間40分(休憩含む)を予定
■会場:東京国際フォーラム・ホールA
■出演:ウクライナ・グランド・バレエ
■指揮:ノルムンズ・ヴァイシス
■演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
■振付・演出:ヨハン・ヌス
■音楽:※上演時間は2時間40分(休憩含む)を予定


公式サイト
https://www.promax.co.jp/swanlakeonwater/
コラムニスト:Tomoko Nishio
旅行業界・旅&芸術文化ライター、動物好き。旅行業界誌記者・編集者を経てフリーの旅行ライターに。南仏中世と「三銃士」オタク。歴史とアートに軸を置きつつ、絵画、バレエ、音楽、物語、映画、漫画のロケ地・聖地巡り、海外旅行や小さなお散歩まで、様々な視点で旅を発信。「旅」は生活のなかにもあり。

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