旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2023年2月7日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

沖縄食材の新しい魅力を堪能する、「星のや沖縄」のディナーコース「琉球シリチアーナ」

旬の沖縄食材をたっぷり使った「琉球シチリアーナ」で、沖縄の新しい食の魅力を発見。zoom
旬の沖縄食材をたっぷり使った「琉球シチリアーナ」で、沖縄の新しい食の魅力を発見。
沖縄で圧倒的非日常の時間を過ごせる「星のや沖縄」。滞在中のディナータイムにぜひ味わってみたいのが、沖縄で親しまれている食材とイタリア・シチリア料理の技法を組み合わせたコース料理「琉球シチリアーナ」です。

沖縄食材とシチリア料理の相性がいい理由
「沖縄でなぜシチリア料理?」って思いますよね。
シチリア島はイタリア半島の南西部に浮かぶ、地中海最大の島。歴史や地理的な理由から“地中海の十字路”とも呼ばれています。古代ギリシャ、ノルマン、アラブ、イスラムなどのさまざまな影響を受け、各時代の文化の影響が今なお色濃く残る、イタリア本土とは異なる食文化が根づく島なのです。
さらに東西南北、海岸線と山間部では降水量などの気候が少しずつ異なり、温暖な気候に加え新鮮な魚介や柑橘類を料理に多用しているところも沖縄とそっくり。となれば、沖縄の食材がシチリア料理と相性がいいことがわかります。その組み合わせから新たな魅力を引き出した「琉球シチリアーナ」は、素材の旨みを活かしてシンプルに仕上げた軽やかな味わいが特徴です。
「星のや沖縄」のダイニング。海と砂浜を連想させる青と白を基調としたインテリア。zoom
「星のや沖縄」のダイニング。海と砂浜を連想させる青と白を基調としたインテリア。
食材と調理法、器の取り合わせの妙にもうっとり!
今回は、2月末まで提供される秋・冬メニューをいただきました。そのお料理の一部をご紹介すると・・・・

●Antipasto freddo:車エビとカリフラワーの前菜 海ブドウを添えて
魚介スープのジュレに、カリフラワーと沖縄を代表する柑橘の「タンカン」のピュレを合わせたもの。海ブドウのプチプチ感も楽しめる一品です。
●Pasta:トマトの冷製カッペリーニ
トマトのジュレが爽やかな冷製パスタ。秋から冬に旬を迎える沖縄のトマトは、甘みも旨みも濃厚。島野菜の力強さが伝わってきます。
●Stuzzichino:ストゥッツィキーニ 東道盆(とぅんだーぶん) 9種の小さな前菜
冒頭の写真のように、絵柄が鮮やかな蓋つきの器で登場するのが「東道盆」。琉球王国時代、大切なお客様をもてなすときに振る舞われていた前菜の盛合せから着想を得たものだとか。器の中にはひと口サイズの美しい料理が9種類。シチリア名物のライスコロッケにシークヮーサーの果汁を加えたアランチーニ、ヤギのサルシッチャ、マグロのプロシュート、カリフラワーと紅イモのフリット、パパイヤシリシリのボッタルガなど9種類。ナーベラ(へちま)、ハンダマ、紅芋などの沖縄を代表する野菜もいろいろ味わえます。ちなみにボッタルガとは、イタリア版のカラスミのこと。最近では沖縄近海で捕れるマグロを利用して作られているものもあるそうです。シチリアの街並みと沖縄の海と太陽、シチリア語と日本語を織り交ぜた文字が模様のように描かれた器は、東京出身で沖縄の大学で陶芸を学んだ小孫哲太郎さんの作品。このお料理のために作られたオリジナルです。
「琉球シチリアーナ」のメニューの一部。左上/車エビとカリフラワーの前菜。左下/トマトの冷製カッペリーニ。中央/9種類の小さな前菜「東道盆」。右上/スーチ力ラグーとピスタチオソースのブジアーテ。右下/アカマチのヴァポーレ。zoom
「琉球シチリアーナ」のメニューの一部。左上/車エビとカリフラワーの前菜。左下/トマトの冷製カッペリーニ。中央/9種類の小さな前菜「東道盆」。右上/スーチ力ラグーとピスタチオソースのブジアーテ。右下/アカマチのヴァポーレ。
●Pasta(パスタ):スーチカラグーとピスタチオソースのフジアーテ
「スーチカ」とは、沖縄の伝統料理で塩漬けの豚バラ肉のこと。これをアレンジしたラグーソースを、シチリア伝統のパスタ、フジアーテに絡めてあります。らせん状の小枝のようなパスタに濃厚なラグーソースがよく絡み、緑色が鮮やかなチュイルのパリッとした食感とピスタチオソースの香りも楽しめます。
●Pesce:アカマチのヴァポーレ 雑穀のリゾット
「アカマチ(ハマダイ)」は、ミーバイ(スジアラ)、マクブ(シロクラベラ)と並ぶ沖縄の三大高級魚で、鮮紅色が美しい白身魚。昆布だしでふっくらと蒸しあげたアカマチの下には、もち麦と黒米のリゾット。仕上げにテーブルでアカマチの出し汁が注がれ、旨味たっぷりの出し汁とハーブの香りも爽やかなリゾットです。

牛肉の旨みを爽やかな酸味のソースが引きたてるメインディッシュ
●Carne:牛ヒレ肉のビステッカ サルモリッリオソース
メインディッシュは、炭火で焼き上げた牛ヒレ肉を、シチリアで人気の「サルモリッリオ」というソースでいただきます。本場シチリアではレモンとオレガノを使うそうですが、ここ沖縄ではシークヮーサーで仕立ててあり、酸味が爽やか! 付け合わせは、島ニンジン、山東菜、田芋など、沖縄でおなじみの野菜です。
メインディッシュの「牛ヒレ肉のビステッカ」。お肉の旨みとともに、島野菜も甘みと食感も味わって。zoom
メインディッシュの「牛ヒレ肉のビステッカ」。お肉の旨みとともに、島野菜も甘みと食感も味わって。
●Dolce:バニラとパイナップルのプロフィットロール 
リフレッシュメントの冷菓の後に登場するのが、バニラのドルチェ。バニラとホワイトチョコで作ったシガレット状のアイスクリームケーキ「セミフレッド」と、可愛らしいプチシュー「プロフィットロール」の組合せ。シューの上にはパイナップルとタンカンのゼリー、下にはシークヮーサーのカードが敷いてあり、甘酸っぱさと爽やかな香りが口の中で弾けます。鮮やかな赤色は、パプリカとタンカンのソース。パプリカの甘みは、野菜というよりフルーツに近いと思いました。
上/ドルチェは「バニラとパイナップルのプロフィットロール」。下/国内外のワインに精通するソムリエがセレクトしたワインは、シチリアを含む南イタリアを中心に90種類以上。zoom
上/ドルチェは「バニラとパイナップルのプロフィットロール」。下/国内外のワインに精通するソムリエがセレクトしたワインは、シチリアを含む南イタリアを中心に90種類以上。
独創性あふれるワインペアリングがディナーをさらに盛り上げる
「琉球シチリアーナ」はワインペアリングとともに味わうのがおすすめ。食前酒からデザートワインまで7種類のワインとのマリアージュでディナータイムを堪能できます。ワインにはさほど詳しくない私ですが、詳しくないからこそコース料理のワインはいつもペアリングをリクエストすることにしています。あれこれ迷わなくても、ドンピシャリ!のマリアージュを味わえるし、知らなかった産地や銘柄を教わるのも楽しく、思いがけない組み合わせでハッとさせられることも。今回はカッペリーニと合わせた赤(サントリーニャ産アルアニコ)と、デザートワイン(シチリア産ドンナフガータのベンリエ)が特に印象に残りました。
総料理長の政井茂さんは「リゾナーレ八ヶ岳」のイタリアンレストラン「OTTO SETTE」で腕を振るい、“八ヶ岳にこのシェフあり!”と呼ばれた名料理人。2021年から「星のや沖縄」の総料理長に就任し、沖縄食材の新たな可能性を探求しています。zoom
総料理長の政井茂さんは「リゾナーレ八ヶ岳」のイタリアンレストラン「OTTO SETTE」で腕を振るい、“八ヶ岳にこのシェフあり!”と呼ばれた名料理人。2021年から「星のや沖縄」の総料理長に就任し、沖縄食材の新たな可能性を探求しています。
立春が過ぎても冷え込む日が少なくない東京ですが、季節が一歩も二歩も進んだ沖縄は春爛漫の暖かさ。沖縄の贅沢を集めて圧倒的非日常を味わえる「星のや沖縄」で、「琉球シチリアーナ」のディナータイムに酔いしれてみてはいかがでしょうか。

※「星のや沖縄」のラグジュアリーな春旅はこちらから。

ひと足早い春旅は、「星のや沖縄」のおこもりステイで非日常の贅沢を満喫

●星のや沖縄
沖縄県中頭郡読谷村字儀間474
TEL 050-3134-8091(星のや総合予約)
「琉球シチリアーナ」秋・冬のディナーコース1名15,730円
(宿泊者限定、税・サービス料込み、3月1日からは春のコースを提供)
要予約:以下の公式サイトにて前日まで受付。
https://hoshinoya.com/okinawa/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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