旅の扉

  • 【連載コラム】【厳選旅情報】編集部がみつけた、旅をちょっぴり豊かにするヒント
  • 2022年12月16日更新
リスヴェル旅コラム
Editor:リスヴェル編集部

【岐阜県土岐市観光】① 美濃焼卸問屋が集まる「織部ヒルズ」を訪れてみた

美濃焼が日本一ということが一目瞭然! ©︎土岐市美濃焼PR委員会zoom
美濃焼が日本一ということが一目瞭然! ©︎土岐市美濃焼PR委員会
日本のやきものは、美濃焼が多い!

岐阜県東美濃地域では、良質な粘土と薪となる赤松林、そしてやきものの窯に適したなだらかな山が揃う自然の恩恵を活かし、やきものの産地としておよそ1400年もの歴史を刻んでいます。

独創的で斬新な茶陶から大量生産の日用食器まで、多種多様なやきものが焼かれ、それらを総称として「美濃焼」と呼んでいます。特定の作風や技法、形式を指すのではなく、作られた地域を限定した名称なのです。

美濃焼は、主に岐阜県の土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市で生産されたやきものを指し、これらの地域は日本でも有数のやきものの産地として、和・洋食器類の生産量は現在国内シェアの50%以上を占めており、日本一なのです。その中でも土岐市で生産される美濃焼がダントツに多いのが特徴です。
1400年の歴史を経て、地域経済を支える美濃焼zoom
1400年の歴史を経て、地域経済を支える美濃焼
美濃焼の歴史を学ぶ

古墳時代〜奈良時代
須恵器(すえき)は、5世紀に朝鮮半島から伝わった硬質土器。美濃には7世紀ごろに生産技術が伝わり、美濃焼の始まりとなります。山の斜面を利用した地下式または半地下式の窯を活用。

平安時代
9世紀後半、灰釉(かいゆう)の技術が伝わり、中国の磁器に似せて、植物の灰を主成分とした釉薬を施した灰釉陶器が作れました。一部の窯では「緑釉陶器」も焼かれていました。

鎌倉時代〜室町時代
11世紀末、美濃では無釉の陶器が作られ始めました。大量生産された庶民の器として「山茶碗」と呼ばれています。簡素な作りながらも土のキメが細かく薄手で、陶工の技術の高さが窺えます。15世紀末、地上式の窯が考案され、天井が高く炎が上へ噴き上げる構造のため陶器を高く積み上げることができることから大窯と呼ばれています。

安土桃山時代
16世紀末、絢爛豪華な文化が花開いた桃山時代は茶の湯の流行から、国産の茶陶が注目され、当時主流だった中国の模倣から離れ、自由で斬新な造形と豊かな色彩のやきものが美濃で作られました。それが「美濃桃山陶」です。温かみのある色の「黄瀬戸」、漆黒の「瀬戸黒」、白への憧れから生まれた「志野」が生まれ、数多くの名陶が作られました。

江戸時代
江戸初期、大きく歪んだ奇抜な造形、緑・赤・白・黒などの色彩、大胆な幾何学的な紋様などを特徴とし、従来の焼き物の概念を覆す当時の前衛陶芸であり、美濃桃山陶の集大成とも言えるのが、緑釉を中心とした斬新な意匠「織部」です。茶人、古田織部に因んで織部焼と呼ばれています。また、長石を混ぜた灰釉を施した陶器「御深井(おふけ)」も生まれ、江戸後期には磁器の製造が始まりました。江戸時代には複数の焼成室が階段状に連なった連房式登窯が使われていました。

明治時代〜大正時代
明治時代には、美濃焼の国内需要が急激に伸び、手描きから型紙摺絵、銅板転写などの加飾技術が採用され、経済性や効率化を追求したことで、低コストによる大量生産が可能となり、美濃は陶磁器の一大産地へと発展を遂げました。一方で、美濃焼は大量生産品に過ぎないという評価も下され、美濃焼の名誉挽回のために多治見の豪商、三代西浦圓治が自家の窯で「西浦焼」を始めました。1878年のパリ万博に出展し、名誉賞を受賞するなど海外で高い評価を得ました。

昭和時代〜現代
昭和に入って更なる量産化が求められ、機械化の発展と独自の技術開発などによって多様化した時代の需要に応えていきました。地場産業としての進化と並行して、芸術性の高い美濃焼を作り、自らの表現を追求する陶芸家が生まれ、美濃桃山陶の復興と継承に尽力していくのです。そして現在も、先人たちの築いた技術と精神を受け継ぐと同時に、自由な発想による個性的な美濃焼を生み出しています。
お気に入りの陶器がきっと見つかるzoom
お気に入りの陶器がきっと見つかる
陶磁器卸商者が集まった「織部ヒルズ」

家庭用食器から作家作品まで、美濃焼を見て回りお得に購入したいならば、広大な敷地に美濃陶磁器卸商社直営のショップが11店舗集まった「織部ヒルズ」が便利です。
織部ヒルズの敷地内はとても広いので時間に余裕を持ってzoom
織部ヒルズの敷地内はとても広いので時間に余裕を持って
織部ヒルズは、名古屋ドーム約6個分の広大な敷地に各店舗が点在しており、伝統的な志野焼・織部焼をはじめ、洋食器・ガラス製品・漆製品・インテリア雑貨・アロマ用品・天然はちみつ・手作りパンなど個性豊かなお店があります。

また、織部ヒルズでは、毎年5月には「土岐美濃焼まつり」が行われます。美濃焼を求めて多くの人で賑わいます。2022年は、5月3日〜5日の3日間、第46回目となる土岐美濃焼まつりが開催されました。

季節ごとのイベントや陶芸体験なども実施しています。店舗によって休日が異なりますので、事前に公式サイトでチェックしてください。

織部ヒルズ 総合案内所
住所: 〒509-5171 岐阜県土岐市泉北山町3-1
電話: 0672-55-1322
公式サイト: https://www.oribe-hills.com
Instagram: https://www.instagram.com/oribehills/
毎日のお茶の時間が楽しみに・・・zoom
毎日のお茶の時間が楽しみに・・・
RISVEL編集部でも気に入った美濃焼を発見!

カラフルなパステルカラーが可愛い急須と湯呑み茶碗「結(YUI)」。
柔らかなラインと優しいマットな質感がとても良いのです。
お茶の時間をほっこりとした気持ちにさせてくれます。
細やかな職人の技術で水切れも良く、使いやすくて、お茶の時間が楽しみになります。

こだわりのライフスタイルのためのインテリア雑貨
「Nature Ave.(ナテュール・アヴニュ)」
織部ヒルズのサイト:https://shop.oribe-hills.com/collections/nature-ave
公式サイト:https://www.lala-nature.net

美濃桃山陶を学ぶ「織部の里公園」のコラムへと続く・・・
Editor:リスヴェル編集部
リスヴェル編集部がみつけた、いつもの旅をちょっと豊かにする厳選情報をお届けします。
risvel facebook