トラベルコラム

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2013年7月22日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

ハワイ島の旅(1) マンタの大口に大興奮するナイト・スノーケル

海をオレンジ色に染めるサンセットを堪能し、日が暮れてから専用ボートで出発。船上には、温かい飲み物と軽食が用意されています。zoom
海をオレンジ色に染めるサンセットを堪能し、日が暮れてから専用ボートで出発。船上には、温かい飲み物と軽食が用意されています。
ハワイ諸島でいちばん大きな島がハワイ島です。
そのものずばり「ビッグ・アイランド」のニックネームで親しまれるこの島は、とにかく大きい! だって、オアフ島やマウイ島など、ほかのハワイの島々を全部合わせても、ようやくハワイ島の面積の半分を少し超えるくらいなのですから。
その大きな島を、1カ月かけて回ってきました。

今回の旅で最も興奮したのが、野生のマンタとの出合いです。ハワイ島の西海岸の中心、カイルア・コナから車で15分の場所にあるケアウホウ湾は、マンタレイ(オニイトマキエイ)が多く生息するエリアとして、世界的に知られた場所。このマンタを間近で眺められるスノーケル・ツアーがあるのです。
海の中では、浮きがついたロープにつかまってマンタの登場を待ちます。ほら、身体のすぐ真下に、マンタが大接近! zoom
海の中では、浮きがついたロープにつかまってマンタの登場を待ちます。ほら、身体のすぐ真下に、マンタが大接近! 
ケアウホウ湾の桟橋からマンタの出現ポイントまでは、専用ボートでわずか10分ほどのクルーズ。スノーケル・マスクとフィンをつけロープ伝いに海へ入っていくと、スタッフがライトを灯火してプランクトンを集め、それを食べにやってくるマンタの登場を待ちます。

ロープにつかまり待つこと数分。ライトに照らされた海の底から、ほの白く光る大きなものが近づいてきたかと思うと、目の前にマンタの姿が。大きさは3m以上もあるでしょうか。私たちの体の真下でヒレを波打たせながら悠々と泳ぐ姿は、大空を羽ばたいているようにも見えます。
こんな至近距離で野性のマンタに合えるのは、ハワイの海でもここだけです。zoom
こんな至近距離で野性のマンタに合えるのは、ハワイの海でもここだけです。
すると、そのうち、ぽっかりと開いたマンタの大口が目の前に迫ってくるではありませんか! プランクトンと一緒に吸い込まれていく小魚と、その奥にエラの1枚1枚までくっきりと見えます。今、手を伸ばせば、間違いなくマンタの口の中に片腕がすっぽりおさまってしまうに違いありません。

マンタには触らないよう、またフィンがあたって傷つけることのないよう、スタッフからは注意されていたのですが、マンタが身体の下で宙返りをするたびお腹とお腹がくっつくくらいに接近してきて、ハラハラ&ドキドキ! ちなみに、このツアーで見ることができるマンタには毒がありませんから、万が一むこうからぶつかってきても心配はありません。この夜は、大小3匹がかわるがわる現れ、至近距離で優雅な舞を披露してくれました。
ツアーの所要時間は、日没後の2時間ほど。ボートの乗船時間が10~15分と短いので、船酔いの心配はありません。海中では浮きがついたロープにつかまったまま観察しますから、泳ぎが得意でなくても大丈夫。日焼けの心配がないのも、女性にはうれしいところです。
自然が相手のツアーだけに、100%マンタがやってくるとはいい切れませんが、それでも遭遇率は90%以上とのこと。もし、合えなかった場合は、同じ滞在期間中にツアーの空席があれば、もう一度参加できます。

これまで、水族館の水槽越しにしか見たことがなかったマンタ。世界中のダイバーの憧れでもある野生のマンタに、スノーケルだけの軽装備で、しかも身体がふれそうな至近距離で対面できるとは! 海中を悠々と舞うように泳ぐ姿と、目の間に迫り来る大口に吸い込まれそうになった興奮は、今でも忘れられません。

写真/宮澤 拓
協力/Fair Wind Cruise
問い合わせ: マンタ レイ ナイト スノーケル&ダイブ
www.fair-wind.com
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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