旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2021年6月20日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

沖縄・離島ホッピングの旅 #03 マングローブカヤックは、夕暮れの癒し時間(西表島)

夕暮れの幻想的な光景をカヤックに揺られながら楽しむ。zoom
夕暮れの幻想的な光景をカヤックに揺られながら楽しむ。
西表島でトレッキングとともにぜひとも体験してみたかったのが、カヤック。日本最大といわれるマングローブ林を間近で見るには、目線の高さが水面に近いカヤックがぴったりなのです。

サンセット時間に合わせ、西表島最長の川へ漕ぎ出す

「星野リゾート 西表島ホテル」前の月ヶ浜に流れ込む浦内川は、西表島最長の河川。遊覧船で楽しむアクティビティもありますが、複雑に入り組んだマングローブの林をエンジンのないカヤックで巡ると、また別の景色が見えてきます。
西表最長の河川・浦内川へ。カヤックは一人乗りと二人乗りから選べる。zoom
西表最長の河川・浦内川へ。カヤックは一人乗りと二人乗りから選べる。
夕暮れに合わせて出発する「夕暮れマングローブカヤック」にはゲータ滝のトレッキングから帰ってきたその足で参加しました。カヤックを漕ぐのが初めての私は、インストラクターが同乗してくれる二人乗りを選択。マングローブが生い茂る川は流れが穏やかなうえ浅瀬が中心なので、泳ぎが得意でなくても心配はありません。

亜熱帯の森の静けさが心地いい

昼間の日差しが和らぎ、涼しい風が吹き抜ける夕刻の浦内川。カヤックから見ると複雑に足を延ばしたマングローブの根っこが目の前に迫ります。今にも動き出しそうに見えるのは、私だけでしょうか。
複雑に足を延ばすマングローブ。奥の方から、行進してきそうに見えませんか?zoom
複雑に足を延ばすマングローブ。奥の方から、行進してきそうに見えませんか?
マングローブは熱帯や亜熱帯で海水と淡水が混じり合う汽水域に育ちます。離島でありながら水が豊かな西表島は、その生育に適した環境。日本に育つマングローブ7種類すべてが見られるのは、この島だけなのだとか。タコ足のように伸びた根っこは支柱根(しちゅうこん)といい、ヤエマヤヒルギの仲間だけに見られるられるものだそうです。

木の上で赤い唐辛子のように見えるのが、オヒルギの種。これが川底に刺さって発芽するのですが、流されてしまうことのほうが多く、発芽確率はとても低いのだそう。しっかりと根を張るまでに10年以上かかると聞き、水面から顔をのぞかせた葉っぱが、とても健気な姿に見えてきました。
上/赤く細長いオヒルギの種。下/目の前にマングローブの幼木。これも、目線が水面に近いカヤックならではの景色。zoom
上/赤く細長いオヒルギの種。下/目の前にマングローブの幼木。これも、目線が水面に近いカヤックならではの景色。
マングローブの幼木を間近に見ながら、干潟を動き回るカニやトビハゼ、水鳥などを観察するのも、小回りが利くカヤックだからの楽しさです。

カヤックに揺られて眺めるサンセットに癒される

空の色が変わり始めたら、川を下り下流のビーチを目指します。ホテル前に広がる月ヶ浜は、島随一のサンセットスポット。訪れた時期は、沖に浮かぶふたつの島の間に夕日が沈むとのことで、カヤックの上で待つことにしました。
ふたつの島の間に沈む太陽を待ち、夕暮れの風に吹かれながら待つひととき。zoom
ふたつの島の間に沈む太陽を待ち、夕暮れの風に吹かれながら待つひととき。
心地よい風とカヤックの揺れに身を任せ、少しずつ色を変える空と海を眺めること10~15分。まっ赤な夕日は見えませんでしたが、やさしい茜色に染まる空と、鏡のように凪いだ海面が映し出す幻想的な光景に、このまま時間が止まってしまえばいいのに……と思いながら過ごしました。
金色に染まる水面が映し出す光景に、しばし見とれて。zoom
金色に染まる水面が映し出す光景に、しばし見とれて。
カヤックから眺めるサンセットは、島に宿泊する人だけの特権。昼間、トレッキングなどのアクティビティで遊び疲れた体をクールダウンする、癒しの時間にもぴったりです。

●協力: 星野リゾート 西表島ホテル
沖縄県八重山郡竹富町上原2-2
TEL 0570-073-022(星野リゾート予約センター)/0980-85-7111(アクティビティデスク)
URL: https://iriomotehotel.com
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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