旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2019年6月7日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

ANAホノルル線A380『FLYING HONU』搭乗記 【前編】エコノミークラスとプレミアムエコノミーの乗り心地を検証

ホノルル空港に到着したばかりの『FLYING HONU』。ダイヤモンドヘッドをバックに、誇らしげに微笑んで見えます。zoom
ホノルル空港に到着したばかりの『FLYING HONU』。ダイヤモンドヘッドをバックに、誇らしげに微笑んで見えます。
5月24日、ハワイに就航したANAの新機種『FLYING HONU(フライング・ホヌ)』の初フライトNH184便に搭乗してきました。ハワイ語で『ウミガメ』を意味する『ホヌ』のペイントが施されたA380は、ANAが日本で初めて導入したオール2階建てのエアバス機。
「こんなに大きいと、乗り心地はどう違うの?」「機内サービスや食事は?」、そんな疑問にお答えするべく、【前編】の「乗り心地編」と【後編】の「機内サービス編」に分けてご紹介します。

初フライトが待ちきれない! ライブ画像をバックに就航記念イベント開催
成田空港からホノルルへの初フライトとなった5月24日。20時10分の出発に先立ち、ゲート前の特設ステージでは初便就航記念セレモニーが催されました。搭乗を待ちきれない様子のお客さんたちを前に、ウクレレやフラのパフォーマンスに続き、来賓と主催者による鏡開き、CMでおなじみの綾瀬はるかさんからのビデオメッセージも届けられました。
成田空港で催された初便就航記念式典。搭乗のお客さんにはステッカーのほか、搭乗口では記念品も手渡されました。zoom
成田空港で催された初便就航記念式典。搭乗のお客さんにはステッカーのほか、搭乗口では記念品も手渡されました。
ステージの大型モニターに映っているのは、『FLYING HONU』のライブ映像。初フライトに向けて、着々と準備が進む様子がリアルタイムで映し出されています。

世界最大級の旅客機『FLYING HONU』、大きさは、いったいどのくらい?
“世界最大級の旅客機”といわれている『FLYING HONU』ことA380。搭乗口から見えるのはホヌの顔(機首)の部分のみですが、実際にどのくらいの大きさなのかを数字でご紹介しましょう。
データによると、ボディの長さ72.7メートル、高さは24.1メートル、左右の主翼の端から端までの長さが79.8メートルとあります。この数字だけだとピンときませんが、高さは8階建てビルに相当、片方の主翼の上でバスケットボールコートが十分取れ、機内の床面積はテニスコート1面分より大きいとのことです。
オール2階建ての機内は、全520席。2階席がファーストクラス8席、ビジネスクラス56席、プレミアムエコノミー73席、そして1階席がエコノミークラス383席という構成になっています。
この日は全クラスほぼ満席。乗客と、初便のため22名の乗務員を乗せた機体が離陸した瞬間、機内では拍手が沸き起こり、どれだけ多くの人がこの日を心待ちにしていたのかが、よく伝わってきました。
エコノミークラスの座席。想像していたより、ずっとゆったりしています。後方のパネルは、ハワイの空をイメージしたもの。zoom
エコノミークラスの座席。想像していたより、ずっとゆったりしています。後方のパネルは、ハワイの空をイメージしたもの。
エコノミークラスは、壁側に余裕がある窓際席がおすすめ
往路で利用したエコノミークラスは、右側3列席の窓際です。通常、出入りしやすい通路側席をリクエストすることが多いのですが、A380に関しては「エコノミークラスは窓側席がおすすめ」と聞いていたこともあり、その乗り心地を試してみることに。実際に座ってみると、窮屈さはほとんど感じません。それどころか、ひじ掛けと壁面の間にかなり余裕があり、足元も前の座席下に大きめのバッグを置いてもフットレストをスムーズに引き出せます。

広さの理由は、『FLYING HONU』のぽっちゃり体形にあります。スマートというより、どちらかというとふっくらした印象が強いA380。胴体のふくらみ部分がちょうど1階席のひじ掛けあたり、スペースができるのだそうです。また、機体が大きいせいでしょうか、エンジン音がとても静かで揺れも気になりません。ホノルルまでの約7時間30分をゆったり過ごすことができました。
残念ながら、3列または4列シートをベッドのようにして使える、話題のカウチシートを体験することはできませんでしたが、その様子はCMや機内ビデオでも紹介されています。

ハワイを何度も訪れているリピーターの間では、ホノルル着陸前にはオアフ島西側の海岸線を、離陸時にはダイヤモンドヘッドを眺められる左側の窓際席が特に人気があります。『FLYING HONU』の左側窓際席、ますます争奪戦になるに違いありません。

ダイヤモンドヘッドと放水の歓迎でホノルル到着
NH184便のホノルル到着は、朝8時30分。着陸の瞬間、再び機内では拍手が沸き起こりました。窓からはハワイの象徴ともいえるダイヤモンドヘッドの雄姿が見え、機体が駐機場に近付くと放水による歓迎も。『FLYING HONU』の初フライトは、こうして無事終了しました。降機後、ロビーの窓から見たHONUの表情が、どこかしら誇らしげに見えたのは私の勝手な思い込みでしょうか。
ホノルルに到着したばかりの『FLYING HONU』は、折り返しNH183便としてハワイからの初便になりました。再整備を終えた約3時間後の11時30分、ハワイ州知事らによる歓迎セレモニーに見送られ、再び日本へ向けて飛び立っていきました。
初フライト終え、駐機場に到着した『FLYING HONU』。着陸時には放水による歓迎も。zoom
初フライト終え、駐機場に到着した『FLYING HONU』。着陸時には放水による歓迎も。
帰国便は2階席のプレミアムエコノミーで。早めのチェックインでラウンジも満喫
2日間のホノルル滞在後、帰国便となるホノルル発成田行きのNH183便では2階席のプレミアムエコノミーを利用しました。プレエコの特典は、ホノルル空港内に新設されたばかりのANAラウンジを利用できること。目の前に迫る『FLYING HONU』を眺めながら過ごすことができます。
新設されたばかりのANAラウンジでは、HONUに見つめられながらブレックファストタイム。zoom
新設されたばかりのANAラウンジでは、HONUに見つめられながらブレックファストタイム。
ラウンジ内にはシャンパン、ワイン、ビールやウイスキーのアルコール類に加え、ハワイのローカル食をイメージした料理や、カレー、フルーツなどのメニューが並びます。搭乗開始1時間前くらいから混雑し始めるので、機体がよく見える窓際の特等席でブレックファストタイムを過ごしたいなら、できれば2時間半くらい前にはチェックインしたいもの。ラウンジからはプレエコがある2階席搭乗口に直接繋がる通路があり、搭乗案内のアナウンスが流れるので、時間を気にすることなく過ごせることも大きなポイントです。
プレミアムエコノミーの機内。この快適さを体験したら、エコノミーには戻れないかも……?zoom
プレミアムエコノミーの機内。この快適さを体験したら、エコノミーには戻れないかも……?
プレミアムエコノミーの座席は、上の写真のとおり。「これなら、ビジネスクラスとあまり変わらないね!」、周囲からはそんな感想も聞こえてきました。
約7時間半のフライトで成田到着は、日本時間でハワイの出発日翌日の14時55分。ホノルル線は偏西風の影響を受けるため、帰国便のほうが時間がかかります。夏の間ならプラス30分~1時間、真冬だと1.5~2時間長くかかることも。帰りのフライトを機内でよりゆったり過ごせるプレエコにしたのは大正解といえます。

★【後編】では、機内食と機内サービスについて、ご紹介しています。
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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