旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2021年6月15日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

部屋の湯船に浸かりながら飛行機を見ることのできる『琉球温泉瀬長島ホテル』

羽田からの乗機、ソラシドエアが離陸する頃には部屋で寛いでいますzoom
羽田からの乗機、ソラシドエアが離陸する頃には部屋で寛いでいます

部屋の風呂から眺める飛行機
部屋の風呂にゆったりと浸かりながら、飛行機の離着陸を眺める。そして湯上りには横に広がるテラスに出て心地よい風に吹かれながら続きのシーンを見る。飛行機好きにとってこれ以上望むべき環境はありません。

瀬長島ホテルとは
琉球温泉瀬長島ホテルは2012年12月の開業。まもなく10周年を迎える105室のリゾートホテルです。オーシャンビューとエアポートビューがありますが、ホテル業界の通例に従い、オーシャンビューがより高い宿泊料金設定でした。

2020年3月に那覇空港に第2滑走路ができたことで、二つの滑走路に挟まれる形で建つ瀬長島ホテルは両サイドで飛行機ビューが楽しめるホテルになりました。ほとんどの部屋から飛行機を見ることのできる、まさにスポッティングには最強のホテルの誕生となりました。

宿泊したのは、最上階となる5階の東側・瀬長コーナーデラックス和洋室 源泉露天風呂/エアポートビューです。那覇空港の使用滑走路は18Lで南風の日でした。沖縄らしい那覇空港の映り込む離陸の時間。飛行機が力強く地上滑走してタイヤが離れる瞬間が目に焼きつきます。機体が胴体斜め下のころ合いのいい角度を見せて上昇していく様を存分に眺めることが出来ます。建物に隠れる頃には車輪も収まっており、グングン空に向かっていく様子が見えます。

ターミナルビル、海上自衛隊、航空自衛隊のエプロンを収めるのであれば500㎜のレンズを使用すれば迫力のある写真が残せます。第2滑走路18Rで着陸した機体が第1滑走路を横切り、ターミナルビルで駐機するまでの過程をつぶさに眺めることもできるのです。

瀬長島の中心部がホテルですzoom
瀬長島の中心部がホテルです

那覇空港から向かうには
那覇空港に到着すると、東京バス「ウミカジライナー」でゆいレールの赤嶺駅を経由し、20分で到着します。(運賃250円)筆者はスマートフォンのPaypayアプリから、提携するDiDiのタクシーを呼び、ホテルに向かいました。ドライバーは「沖縄はアプリ配車に迎車料金はかからないので、どんどん使って欲しいです」と話していました。(参考金額1,800円)「今では、本土からお客さんも戻ってきて、道が渋滞になる日も多いねえ」と言います。タクシーを降りた玄関前にいきなり空港ビューが広がります。何はともあれまずカメラを取り出すことになりました。瀬長島は標高33mの台地状の島。建物で上層階に入らなくても見晴らしはいい場所です。

驚きの眺望を楽しむ
館内に入ると、まず検温をして手指消毒をしてチェックインのためにフロントに向かいます。カードキーを受け取ってエレベーターへ。泊まったデラックス和洋室では、部屋を挟んでバスルームが窓側に造られています。その先のテラス横では贅沢な壺湯がありホテル内で唯一、源泉温泉を楽しむことができます。テラスには椅子とテーブルが置かれ飛行機をスポッティングができるようになっていました。

廊下を挟んだ逆側の部屋からは、オーシャンビューで大海原が見える景色でしたが、そこに第二滑走路への進入灯が見える景色が加わりました。日暮れの様子を楽しみたいのであれば、こちら側もいいかも知れません。部屋からは、時間によって青くきらめく海と、真っ赤に染まるサンセットの対比が目に焼き付きます。窓は二重になっており、いったん閉めれば空港の近くだと言うことを忘れてしまいそうです。

空港を見渡す温泉露天風呂のある部屋zoom
空港を見渡す温泉露天風呂のある部屋

テラスでのんびりとしたい
このホテルでは旅の疲れを癒すのはベッドだけではなく、テラスでもあるように思えます。ホテル側は、「陸・海・空の贅沢に包まれる」と案内しているように、その全てが視界に入ります。滑走路までの間に横たわる瀬長ビーチではカヌーを楽しむ人が見え、瀬長島野球場では白球を追う人が目に入ります。コロナ禍とはいえ、多くの航空機が発着し、海上・航空自衛隊機のF15、T4などもどんどん飛んでいきます。見ていると、当日は18Rを着陸機、18Lは離陸機が飛んでおり、第二滑走路の18Rは自衛隊機の離陸にも使われていました。写真を撮らずとも、双眼鏡があれば楽しめる場所です。

温泉へ向かう
館内着に着替えてホテル自慢の「龍神の湯」に行ってみます。フロントから北側へ廊下を歩くと空港側に造られており、岩湯という露天風呂からも空港全景を見ることが出来ます。壺湯も設けられており、一人の桶で存分に湯を楽しめます。夜であれば、二本の滑走路の光の列が先に向かうにつれて青く繋がっているところを見ることができて、幻想的な光景に包まれます。内湯、外湯に加えてサウナもあり、飛行機好きでなくとも大満足できる非常にくつろげる温泉でした。

温泉の様子 写真提供:瀬長島ホテルzoom
温泉の様子 写真提供:瀬長島ホテル

朝食会場のダイニングへ
オーシャンダイニング風庭(かじなぁ)は沖縄県からおきなわ食材の店と認定を受けており、1階の西側オーシャンビューの方向にあります。テラス席目の前のインフィニティプールの鏡面のような静けさの漂う水面を見ながらの食事は気分が落ち着きます。このテラスやインフィニティプールからも飛行機が見えます。プールの先には海があり、沖合には滑走路36Lに繋がる誘導灯が長く伸びており、滑走路の着陸帯がある位置です。

ダイニング 「風庭」の様子zoom
ダイニング 「風庭」の様子

ブッフェのダイニングは、コロナ禍でセットメニューに変わっていますが、期待を裏切らない瀬長島の宝石箱と呼ばれる3段重の「瀬長膳」が用意されました。容器は黒い逆三角錐の形状でスタイリッシュ。2段目、3段目と重を広げる楽しさがあります。

上段は「満載琉球の風」と名付けられ、主菜の海ぶどうとポークとアーサ入り玉子が置かれ、横はご飯膳。ジューシー、汁椀と沖縄ウコンの漬物、板海苔が載ります。中段に控えるのは「旬彩枠」という4つに仕切られたバラエティ豊かなおかず膳。無農薬ハーブとグリーンサラダに温製副菜に洋食の先附。白和えの琉球小鉢、強肴は洋食で、ベーコンと揚げ物が載ります。温物は鶏肉がありました。

下段の「香り瀬長」と名付けられた膳にはガラリとテイストを変えて和だしと島塩を使った沖縄そばのシーフード焼ソバが盛られています。大きなエビとイカにゴーヤが使われてあんの絡む太麺を食べると沖縄の風が目に浮かぶようです。更には琉球和食の別椀として小さな鍋にゆし豆腐が入っており、おなかはいっぱいです。

ご飯は白米、粥かジューシーが選べて、上段の主菜、下段の焼物と別椀は3種類が日替わりで用意されますので、どれになるかは当日のお楽しみ。デザートのフルーツが添えられおり、テーブルは乗り切らないほど。テラスからの沖縄の風を感じながらの沖縄膳を頂く。まさに旅のだいご味で、充実した朝の時間を迎えることが出来ました。

沖縄尽くしの朝食zoom
沖縄尽くしの朝食

プチリゾート感満載のウミカジテラスへ
チェックアウト後にはホテル先の段丘を下がる位置の「ウミカジテラス」でショッピングを楽しみます。白壁で統一された集落のような47のショップ、レストランが並びます。晴れた日には遠く慶良間諸島を遠望しながらの滞在になります。まるでギリシャの観光地を歩いているような気分になります。ホテルの玄関からなら目の前、徒歩1分で到達します。

ゆったり過ごしたい場所
15:00にチェックインしてから翌11:00のチェックアウトまで20時間の滞在が楽しめる場所。当日の飛行状況にもよりますが、目の前の飛行場から飛び立つ大迫力の飛行機の離着陸が楽しめる、まさに空港から一番近い場所にある飛行機のあるシーリゾートでした。

取材協力:琉球温泉瀬長島ホテル ⇒ https://www.hotelwbf-okinawa.com/
※取材は緊急事態宣言発出前の3月下旬に行いました。

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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