旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2021年7月10日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

函館の観光は電動自転車「はこりん」で手軽に

函館の坂の上から紅葉の向こうに海が見えますzoom
函館の坂の上から紅葉の向こうに海が見えます

函館の観光シーズンは長い
北海道でも雪の少ない函館は、一年を通して観光を楽しむことができます。特に雪解けの3月下旬から11月下旬頃は、自転車でも市内を観光することができ行動範囲も広がります。観光情報は、函館市公式観光情報サイトの「はこぶら」で手に入ります。ワーケーションで訪れた函館で、隙間時間を使って観光してみました。

風を受けて走る
函館には坂道が多くありますが、そこは電動自転車が解決してくれます。函館駅前と五稜郭近くで貸し出しステーションがある「はこりん」。4時間1,000円と1日1,600円に加え、朝割10:00~12:30は500円という値段でお試し利用もできます。今回は、函館駅前キラリス函館内の土産物屋、まるごと北海道ストアの「えぞりす」で借りてみました。

港には船がある
乗りもの好きには「函館市青函連絡船記念館 摩周丸」は外せません。函館駅前から徒歩5分、自転車なら2分の距離。国鉄時代のJNRの文字が飾られるレトロな船内探索ができます。筆者は大阪の高校から修学旅行で青函連絡船を利用し渡道しました。改めて、船体を見ると懐かしさがこみあげます。操舵室を見学し、元船長の案内で操舵方法など聞くことが出来ました。操舵室から眺める函館山の美しい稜線が目に焼き付きます。

摩周丸とガイド役の元船長zoom
摩周丸とガイド役の元船長

ショッピングを楽しむ
函館港を横目に、海沿いを走ると人気のベイエリア、三角屋根の倉庫群「金森赤レンガ倉庫」に到着です。ここでは景観だけでなく、グルメもショッピングも楽しめます。ひと休みしようと「スターバックスコーヒー函館ベイサイド店」に向かいます。お洒落な店舗ながら赤レンガ倉庫に溶け込むようなレトロ感もあり、とてもいい雰囲気です。二階の海の見える席に座り、コーヒーを飲みながらカモメの飛ぶ静かな港の光景を楽しみました。

金森レンガ倉庫と目の前のスターバックスzoom
金森レンガ倉庫と目の前のスターバックス

橋伝いに「緑の島」に上陸してみるのもおすすめです。緑の島は函館港に浮かぶ人工島で、函館出身のGLAYが野外ライブを開催した場所としても有名です。島の中心部の芝生の公園にはベンチが置かれ、ヨットハーバーや摩周丸、赤レンガ倉庫、函館山など、函館らしい景観が楽しめます。海に囲まれた何もないのがすがすがしい贅沢な場所です。

坂のある風景
ここで、市内にある有名な19の坂の中からどこに向かうのか考える時間にしました。まずは坂の下から眺める基坂(もといざか)に向かいます。坂の後方に函館山山頂が見えるのがポイント。函館には多くの魅力的な坂がありますが、電動自転車があればいくつでもスイスイと登ることができ、感動的ですらあります。

中腹の元町公園の奥には4月26日にリニューアルオープンしたばかりの「旧函館区公会堂」が望めます。ブルーグレイとイエローの鮮やかな色調の建物です。

旧函館区公会堂は工事が行われていましたzoom
旧函館区公会堂は工事が行われていました

ここから函館山ロープウェイ駅までの道には、カトリック元町教会と函館ハリストス正教会があり、時間があればゆっくりと中を見学してみたい素敵な場所でした。そばには有名な「八幡坂」もあり、今度は坂の上から海側を見下ろしてみます。街並みが続く長い坂の向こうに広がる大海原。その対比が美しく一か所にまとまっています。つい「は~るばる来たぜ、函館へ~♪」と歌ってしまいそうになります。絵心がなくても風景画を描いてみたくなるような、そんな素晴らしい景観でした。

八幡坂の上から港を望むzoom
八幡坂の上から港を望む

岬を目指せ
次に立待岬を目指します。路面電車の分岐となる十字街で谷地頭方面を目指し、自転車を走らせます。冬季期間中は道路の凍結のため、墓地前で自転車を降りなくてはなりません。ここから石川啄木一族の墓を見ながら進むと与謝野寛、晶子の歌碑があり、その先は一気に視界が開けて津軽海峡の大海原が広がっています。もうひとつは地元出身の中村舟路(しゅうじ)が書いた「海峡や波音近く朧月」の文学碑です。文字が海を背に、岬の光景に溶け込んでいます。

この場所からの函館空港の飛行機の離陸シーンは見逃せません。海に向かって離陸し、機体をキラリと光らせながら力強く飛行するさまを眺めます。都会では見ることのできない大自然の美しさが際立ちます。

立待岬から市街と空港方面を望むzoom
立待岬から市街と空港方面を望む

ここまでの行程を「はこりん」の朝割時間で利用することができました。ワーケーションの隙間時間だけで、充分観光も楽しめます。リフレッシュされ、また新たな気分で仕事に向き合えそうです。

コロナ禍の観光で函館を考える
北海道は新型コロナウイルス感染者の数も場所によって違いがあります。函館市の感染者数の比率は札幌の5%でしかありません。この数字を念頭に、ワーケーション先として考えたり、極力人との接触を抑えた旅行計画なら進めてもいいのではないでしょうか。もちろん旅行前には自身もPCR検査を済ませ、少人数で3密を避ける行動を取るなど、感染を広げないようにして向かうことも大切です。

函館市公式観光情報サイト「はこぶら」⇒ https://www.hakobura.jp/
ワーケーションin 函館 ⇒ https://h-workation.jp/

取材は2020年11月に行いました。

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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