旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2020年1月2日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

黒い機体に初日の出を輝かせて飛ぶ

富士山と初日の出が一緒に見えましたzoom
富士山と初日の出が一緒に見えました

スターフライヤーのSunrise Flight
スターフライヤーは、毎年本拠地となる北九州空港において感謝イベントとして初日の出フライトにお客様を招待しています。松石社長が就任後初となる2015年の正月から無償化され、羽田空港では今回が二度目の実施となりました。

このフライトには社内のプロジェクトチームが付けた名前「Sunrise Flight with us」があります。込められた思いは、「ともに未来へ 叶えたい想いを乗せて」です。初日の出フライトの応募に際しての条件はただひとつ、「叶えたい夢」を表明することでした。

午前4時過ぎの羽田空港
午前4時の第一ターミナルビル、スターフライヤーカウンター前に「今年新たに挑戦したい、実現したい」思いを持った参加者が集まり始めます。門松や正月の花で飾られたカウンターはとても華やか。カンパニーカラーの黒が花を引き立てます。

セレモニーが開始
1番ゲートでは、午前5時よりセレモニーが始まりました。柴田常務取締役から挨拶があり、JCSI国内航空部門顧客満足度11年連続1位受賞できたことへのお礼に加え、「この初日の出フライトの参加者は、北九州の35組と併せて70組の方々です。何と5,700組の応募の中から選ばれました。皆様には新年早々めでたさが始まっています」と話し、拍手が起りました。
その後、機長からフライトの説明があります。羽田空港を離陸して半時計まわりに長野県南部を目指し、駒ケ根市上空でサークリングして富士山をバックに初日の出を迎えます。その後、南下して浜松市から伊豆半島を横断し羽田空港に戻る1時間40分のフライトを予定していることが伝えられました。
乗務員の胸には菊のコサージュが付けられ特別感が出ています。

チェックインカウンター(右下)、機長からのルート説明(上)、機外のサインボードzoom
チェックインカウンター(右下)、機長からのルート説明(上)、機外のサインボード

機内へ
ボーディングブリッジで機内食を受け取り、機内へ。出発に際し、地上係員がネオンサインを装着した車を移動させながら見送ってくれました。エアバスA320-214型機(機番JA26MC)は6時過ぎにC滑走路34Rを離陸し、東京タワーの赤い光が見えるまだ暗い都心を西に向かって飛んで行きます。雲の切れ目から市街地のネオンが見え隠れしています。

シートベルトサインが消えると、食事の時間です。ドリンクは、通常の飲み物に加えて、お正月スペシャルとして佐賀県の日本酒「純米大吟醸 まどのうめ」とベルギー産のノンアルコールスパークリングワインジュース「シドルリ・ミニャール」がサービスされます。Sunrise Flightの帯のついたボックス内のサンドイッチは3種類。ローストビーフ、ボイルシュリンプ、スモークダックと違う食材を使った贅沢なもの。とちおとめ、デコポン、キウイ、パイナップルのフルーツにオレンジケーキも添えられていました。

機内食(右上)、ドリンクサービス(左上)、抽選会(左中)、初日の出で輝く機内(下)zoom
機内食(右上)、ドリンクサービス(左上)、抽選会(左中)、初日の出で輝く機内(下)

初日の出を拝む
雲の上に出ると、地平線はオレンジ色の帯となって明るみ出しています。富士山を見ると、雲の隙間のふもとの山梨県内はまだ明かりの灯る夜景、山肌は茜もよう、そして空は明けつつあり、グラデーションが楽しめます。日の出時刻の6時50分を前に朝日が見え始めました。先に右側のお客様側に朝日が昇り、右旋回した機体は左側にも光が注がれます。雲上の眩しいばかりの光に新しい年を迎えたことを改めて思わせてくれました。旋回で富士山が隠れると雪を頂いた木曽山脈の山々が見える所を飛んでおり、機窓に飽きることはありません。窓から見える景色に目が離せない30分ほどのサークリングフライトの後、浜松市まで大きく南下してから帰路につきます。初日の出鑑賞ポイントでは富士山は陰になっていますが、太平洋上から見ると光を受けてピンク色に輝く富士山です。縁起が続いて、嬉しい限りです。帰投の途中で機内抽選会があり、モデルプレーンに加え特賞は当選者希望区間の航空券が当たりました。

男性客室乗務員に聞く
機内後方を担当する男性客室乗務員の村田さんに話を聞きました。旭良と書いて「あきよし」と読みます。出発前の自己紹介で「良いあさひ」と言っていた意味がわかりました。14名の男性客室乗務員の中の一人で、昨年夏以降、今回のプロジェクトを楽しみながら進めてきました。ネクタイをバラ結びにして個性を出します。2019年には無かったチャーターを2020年は増やして乗務を楽しみにしていると伝えてくれました。順調に飛行を続け、羽田空港へは07:40頃到着し約1時間40分のフライトが終わりました。

左から高田さん、池田さん、村田さん、中村さんzoom
左から高田さん、池田さん、村田さん、中村さん

イベントは続く アフターパーティーへ
フライトの後に羽田空港第一ターミナルビル6階のギャラクシーホールでアフターパーティーが開かれました。会場の中心に軽食が用意され、周囲に絵馬の奉納、客室乗務員制服体験、記念撮影コーナーが作られ、地上職員も加わりお客様を飽きさせません。

サプライズがあった
最初にサプライズとして、北九州のSunrise Flightに参加した松石社長が羽田に駆け付けたと紹介されました。冒頭の話では「羽田だと発着枠制限があってなかなかできない企画も、北九州空港なら毎日でも初日の出フライトができる」と言い笑いを誘います。続く乾杯の発声では、「飲酒問題でお騒がせしたので、今日の乾杯はお茶にしています」とのこと。社内の引き締め体制を説明しました。

松石社長(左上)、記念撮影の風景(右上)、当選者の重松さん(左下)、盛りだくさんなお土産の数々zoom
松石社長(左上)、記念撮影の風景(右上)、当選者の重松さん(左下)、盛りだくさんなお土産の数々

パイロットに聞く
お子さんのいる家族と記念撮影に応じる松浦機長と島崎副操縦士に話を聞きました。松浦さんはANA出身で、13,000時間の飛行記録があります。今回のフライトルートを決めるメンバーにもなりました。ルートを事前に決めてCABに登録します。高度は、初日の出フライトを行うエアライン間で抽選になることを教えてくれました。当日は、決めたルートを若干の高度変化の希望が許されて飛ぶのだそう。サークリングした場所での高度は18,000フィート(5,486m)で対地速度229ノット(424㎞/h)と知らせてくれました。島崎さんは、スターフライヤーの生え抜きで2,000時間の経験を持ちます。あと1,000時間ほど飛んで機長昇格に挑みます。

パフォーマンスで盛り上がる
会場前方に黒い敷物があって何だろうと思っていたところ、それは見せ場となる書道のパフォーマンスとわかりました。客室乗務員太田さんによるものです。黒い紙に白字で「Sunrise Flight 2020 with us~」と書いていきます。太田さんはパーティー要員として会場に入りました。書道を習ったわけではなく、好きでやっているそう。きれいな文字よりも丁寧に書くことを心掛けています。

書道パフォーマンスを書いた太田さん(左から4番目)と作品を掲げる皆さんzoom
書道パフォーマンスを書いた太田さん(左から4番目)と作品を掲げる皆さん

最後には、全員が前方に集まってフライトの出発から到着までの様子を捉えたビデオが上映されました。フライト後1時間ほどの短時間での編集にも関わらず、参加者全員の映る完成度の高い作品に見る側の顔もほころびます。

当選者の声
最後には、機内での抽選会の賞品が手渡され結びとなりました。奥さんと一緒に参加し特賞の航空券が当たった重松さんに聞きました。普段なにもできない奥さん孝行にと思って応募しました。実家が福岡で、過去には北九州の初日の出フライトに母親を乗せたくて応募したものの外れてしまいました。その母親も亡くなってしまい残念だと話しますが、奥さんへの想いは伝わったことでしょう。

会場を出る参加者を土産の品が手渡され、社員全員が見送ります。
それぞれの表情は、新年最初の思いが叶って晴れやかでした。

協力:株式会社スターフライヤー ⇒ https://www.starflyer.jp/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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