旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2019年10月27日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

最新鋭A350-900型機の先進性を客室乗務員の目で見る

出発準備に忙しいオフィスで話を聞きましたzoom
出発準備に忙しいオフィスで話を聞きました

2019年9月1日、JALで初めてとなるエアバス機、A350-900型機の運航が始まりました。6年前の導入決定直後からこの機体の就航準備を始めた客室乗務員の中村智美さん。現在は客室品質企画部 企画・運営グループに所属します。
導入に関わってきた中村さんに、客室乗務員の目線で機体の特徴を聞きました。

―JALに入社されてからの経験をお聞かせください
国際線が中心のスケジュールで乗務歴20年になります。現在はデスクワーク中心の業務をしながら乗務も行うことでサービスの改善につなげています。就航開始に向けて6年かけ、やれることは全部やってきました。A350型機には今年7月のテストフライトで初めて搭乗。その後、就航初便に乗務してお客さまに気に入って頂ける機材だと確信しました。

滑走路を模したカーペットの上でzoom
滑走路を模したカーペットの上で

―客室の特徴はありますか
機内に入ってまずその開放感を感じて頂きたいと思います。天井が高く、窓のサイズが従来の飛行機よりも大きいので、機内がより明るく感じられます。

―各クラスの座席は変わりましたか
ファーストクラスのシートは以前の白くソファーのような造りから、黒いレザーシートに変わりました。マッサージ機能もあり、リラックスできますし身体にフィットすると思います。大型シェルでプライベート空間のようにくつろいで頂けます。

クラスJは、とても質感が上がったと思います。同様の機体サイズとなるBoeing777-200型機に比べて座席数が増え、ビジネスマンの方々にさらにご利用頂きやすくなっています。

普通席にもインフライト・エンターテインメントが付きました。収納も増えて便利に使って頂けると思います。全シートに充電設備がありますので、スマートフォンの電池容量を気にせずWi-Fiなど楽しんで頂けます。

客室後方から見る普通席の明るい機内zoom
客室後方から見る普通席の明るい機内

―インフライト・エンターテインメントは変わりましたか
キャビンの後方から前を見るとインフライト・エンターテインメントで機外カメラを見ているお客さまが多いと感じました。また、この画面を動画撮影なさる方が多いです。フライトマップ機能の中に窓からの眺めモードというものがあり、コックピットのヘッドアップ・ディスプレイのような表示も目新しく思います。画面の中での便利なモードは、音楽や映像を往路の途中まで見て、復路や次回搭乗の日の機内で続きを見ることができるので、お客さまにも好評です。

―他にはどんな特徴がありますか
機内照明は、搭乗時、降機時、離着陸時、機内サービス時など各シーンに最適な色調を調整できるようになっています。その他、リラックスモードなども選択できます。
お手洗いは室内幅が従来の飛行機と同様ですが、奥行きがあるので広く感じて頂けると思います。

―静粛性が高いと評判ですが、実際どうなのでしょう
良くお乗りになるお客さまの評価で「本当に静かだね」との言葉を頂いています。機内アナウンスも聞き取りやすくなりました。客室乗務員はギャレーで飲食の用意をする際に、今まで以上に作業音の軽減にも最新の注意を払う必要があります。

オフィスで笑顔をみせる中村さんzoom
オフィスで笑顔をみせる中村さん

乗務員の立場でも使い勝手がいいようです。どんな部分か聞いてみました。

―ギャレーが使いやすくなったようですね
最後部のギャレーが広く、働きやすいです。前方のギャレーに装備されているファーストクラスのオーブンは以前のマイクロウェーブからスチームオーブンに変わりました。地上にいる時から食事を温める準備ができるようになってサービスがスムーズになりました。国際線では、オーブンの台数が多くなるのでもっと便利に感じると思います。

―機内アナウンスの便利な機能があるとか
ボーイング社の機材には無い装備で、フライト中の急な揺れでシートベルトサインが点灯した場合、自動のコンピュータ音声が流れてお客さまへの注意喚起になっています。大事なアナウンスですので、お客さまにすぐに伝わるのは安心です。

―客室乗務員同士のコミュニケーションについて
機内の設備で、パーサーコールというものが目新しいです。JALの呼称での客室責任者はチーフキャビンアテンダントと言い、機内全体を把握する必要がありますが、客室のどこにいてもすぐに応答できる設備があるので便利です。

―A350型機のキャビンアテンダント編成数は何人でしょう
国内線では通常、ファーストクラスに2名、クラスJに3名、普通席に4名の合計9名のキャビンアテンダントが乗務していますので、お気軽にお声を掛けて頂ければと思います。

旅に出たくなる飛行機
中村さんは日頃の業務の中で旅立つ人々を多く見ています。今回のA350-900型機はそんな旅立つ人の背中をそっと押してくれるような飛行機だと言います。次のようなメッセージを貰いました。「JALが自信を持って導入した最新鋭機A350-900型機の導入で機内設備がより改善されました。空の旅がより快適でワクワクしたものに進化しています。機窓から雄大な雲の上の景色を眺めたり、ゆっくり読書したり、音楽や映画を見たりと、皆さま思い思いに寛いで頂けます。忙しいご出張のお客さまにも仕事のあいまの移動時間にホッとできる時間を提供したいと考えています。皆さまのご搭乗を心よりお待ちしております」。

客室最後部の機窓からの眺めzoom
客室最後部の機窓からの眺め

インタビューを終えて
新生JALとなって初めての大型商談で決めた機材。実際に搭乗してみると、お勧めしたくなる素晴らしい機体だとわかります。国内・国際線ともに導入するフラッグシップ機としてこれからのJALの経営に大きな力となることでしょう。

羽田空港で出発準備に忙しいA350-900型機zoom
羽田空港で出発準備に忙しいA350-900型機

運航する人々のソフト面が加わって初めて、お客様に喜んで頂ける形に創り上げられます。中村さんの笑顔の中に、新しい機体を運航開始させた自信があふれていました。

協力:JAL ⇒ https://www.jal.co.jp/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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