トラベルコラム

  • 【連載コラム】トラベルライター岩佐 史絵
  • 2013年3月18日更新
贅沢☆旅スタイル
Writer:岩佐 史絵

あの味に出合える! ウェスティンホテル東京でオーストリアフードフェア開催

みんな来てね! オーストリアワインも忘れず飲んでね!zoom
みんな来てね! オーストリアワインも忘れず飲んでね!
 昨年12月に取材で訪れたオーストリア。ハプスブルクのお姫様、エリザベート好きなあたくしとしてはとにかく心躍る旅先だったのだが、実はごはんがおいしかったことでますますオーストリアへの想いはつのるばかり……。とそんな矢先、ウェスティンホテル東京にて『オーストリアフェア』が開催されるとの一報が。フェアのために来日したオーストリアの本場シェフに、オーストリア料理の作り方を直接伝授してもらった。
ウェスティンホテルのキッチンは眺めもいいzoom
ウェスティンホテルのキッチンは眺めもいい
極上仔牛肉のゲシュネッツェルテスに挑戦!

 今回のイベントはオーストリアフェアのために本国オーストリアより来日したシェフと、ウェスティンホテルのシェフという一流の面々によるクッキングクラス。残念ながらこの日限りのイベントではあったが、オーストリアの代表的な料理を知る好機となった。しかも、教えていただく場所はウェスティンホテル最上階の最高級レストラン『ビクターズ』のキッチン。どんなおセレブな方々でも入ることはままならない、ベールに包まれた舞台裏である。
 さて、気になるお献立は……「ポテトスープ」「ゲシュネッツェルテス シュペッツレ添え」「アプフェルシュトゥルーデル バニラソース添え」「カイザーシュマレン スモモのコンポート添え」である。まるで舌をかみそうなこの名前。ポテトスープ以外はいったいナニモノなのかすらわからない。「アプフェル」はリンゴのことだし、バニラソースだからデザートかな、という程度である。
はぁ~……いい香りがしてきましたぞ。このままで食べたいほどデスzoom
はぁ~……いい香りがしてきましたぞ。このままで食べたいほどデス
これらはみなオーストリアを代表する定番料理。シェフとともに来日したインスブルック観光局マーケティングマネージャーのニコラス・ベクトルッガー氏も「昔スキーのインストラクターをしていたころ、毎晩のようにお客さんに作ったよ!」と言うほど、オーストリア人にも親しまれている。シンプルな料理だが、ウェスティンホテルにかかれば素材は極上、ブイヨンやデミグラスソースはこちらのシェフの手になる、それだけでも十分味わい深い逸品だ。できあがる料理への期待値はおのずと最高潮に。“生徒”たちはそれぞれの持ち場でシェフの包丁さばきや磨き上げられたフライパンや鍋の輝きに感動しつつ、できあがるのを見守った(見ているだけ……。ホントはクッキングクラスなのに)。
さて。我々の“担当”は「ゲシュネッツェルテス シュペッツレ添え」である。日本語訳は「牛肉ときのこのクリーム煮」。さっさっとできていくので簡単そうに見えるが、肉は高温で一気に、あまりいじらず火を通し過ぎないところで一度よけておく、余計な油を捨て、肉汁のうまみだけを残した状態でバターを入れ……など、実はところどころに注意が必要だ。
 付け合せの「シュペッツレ」は、簡単に言えばパスタだ。強力粉と塩、ナツメグ、卵を混ぜて沸騰したお湯で茹であげ、水でしめる。本当に簡単そうだがオーストリアからやってきたゲストシェフ、ヤコブ・アンゲラー氏によると「作り始めたら一気にやらないとダメなんだ。すべて一連の作業のように、流れるようにね」とのこと。今回は穴の開いたバットから練りだして湯に落としたが、実際はドゥを手でこよっていくそうで、沸騰する大なべのそば(←ものすごく熱い)、そんなスピードでできるかい! と思わずつっこみたくなるほどの職人技である。できあがったシュペッツレはつるんとしていてコシがあり、噛むとナツメグの香りが口いっぱいに広がる。これに塩とオリーブオイルをかけただけでもおいしいのではないだろうか。アンゲラー氏はできあがったシュペッツレを小さなフライパンに入れ、少~し焦げ目をつけていた。芸が細かい。
付け合せはライスでもおいしいとか。パンもライスもパスタもすすむ!zoom
付け合せはライスでもおいしいとか。パンもライスもパスタもすすむ!
 これで我々の担当料理「ゲシュエッツェルテス シュペッツレ添え」は完成である。できたてを一口ずつ味見。肉はやわらかく、高温でさっと調理したため肉汁を逃さなかったことがよくわかる。脂は少ないのにうまみはしっかりとあり、噛むごとに「肉っておいしいよね」と確認することができる。玉ねぎはやや食感を残してあるが、炒めたときについた肉のうまみ、バターの香りをしっかりと吸い込んでいる。甘すぎず、クリーム煮のアクセントに不可欠の存在感だ。
 シュペッツレと一緒に食べると、これまたナツメグと小麦粉の香りが絡んで違った味わいに。デミグラスソースとクリームのコク、ちょっと足されたブイヨンのおかげもあって飽きずにいくらでも食べられそうだ。自分で作ったとは思えない、すばらしい一品である。……いや、ほとんどシェフが作ったのだけれども。
アプフェルシュトゥルーデル(左)とカイザーシュマレンzoom
アプフェルシュトゥルーデル(左)とカイザーシュマレン
 2013年3月31日までの期間限定オーストリアフェアは今年で11回目の開催というから、すでにおなじみの方々も多いのでは。1階の『ザ・テラス』にて毎日ランチおよびディナーブッフェが、22日には今回キッチンにお邪魔させていただいた22階『ビクターズ』にてガラディナーが開催され、オーストリアのクラシック音楽とともに伝統の味を堪能することができる。
 オーストリアのスイーツとして有名なザッハホテルオリジナル「ザッハトルテ」はもちろん、オーストリア航空ビジネスクラスでサーブされる料理もお目見えするそう。うんとお腹を空かせてでかけたい。
 ……おっと。ちなみに、「アプフェルシュトゥルーデル」は「シュトゥルーデル」と呼ばれるパリッパリのパイ生地の中にぎっしりとリンゴのコンポートが詰まったお菓子、「カイザーシュマレン」はパンケーキに粉砂糖をふりかけたようなシンプルなデザートのことである。
「あたくしも食べたくってよ」ダイエットばかりしていたエリザベート。このおいしさに抗えるのか!?zoom
「あたくしも食べたくってよ」ダイエットばかりしていたエリザベート。このおいしさに抗えるのか!?
Writer:岩佐 史絵
旅に貴賎なし! 旅をしていないと血中旅度が下がってお腹が痛くなってしまうほどの旅好きが高じてトラベルライターに。ONもOFFも旅一色。妊娠中も子育て中も闘病中も行きたいところには必ずでかける体力自慢。著書『人生のサプリを見つける旅ガイド』(ソニーマガジンズ刊)ほか。
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