旅の扉

  • 【連載コラム】舞台とハワイと時々ニューヨーク
  • 2019年9月8日更新
アート&トラベルライター:青山ルビー

アッパー・イーストの美しき邸宅美術館:フリック・コレクション(NY)

邸宅美術館フリック・コレクションの憩いの場、ガーデン・コート(Garden Court)。館内唯一の写真撮影OKスポットでもあります。zoom
邸宅美術館フリック・コレクションの憩いの場、ガーデン・コート(Garden Court)。館内唯一の写真撮影OKスポットでもあります。
小規模美術館の魅力

ニューヨークにはメトロポリタン美術館や近代美術館(MOMA)など、壮大なコレクションを誇る大型美術館があり、世界中から集められた素晴らしい芸術作品に触れることができます。一方、個性豊かな小規模の美術館も多数存在し、独自のキュレーションや文化・設立背景とともに、芸術ファンを魅了しています。時間があまり無いとき、静かな環境で芸術にひたりたい時などは、このようなプチ美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。このコラムではそんな小規模美術館を不定期にご紹介していきます。
米ピッツバーグ出身の実業家ヘンリー・クレイ・フリック(Helen Clay Frick、1849~1919年)の胸像。zoom
米ピッツバーグ出身の実業家ヘンリー・クレイ・フリック(Helen Clay Frick、1849~1919年)の胸像。
アッパー・イーストの美しき邸宅美術館

初回はニューヨークにあるフリック・コレクション(The Frick Collection)を取り上げます。1935年に開館したこちらの美術館の展示・所蔵作品は、米ピッツバーグ出身の実業家ヘンリー・クレイ・フリック(Helen Clay Frick、1849~1919年)によって収集され、五番街の彼の元邸宅に保管されているものです。

マンハッタンでも屈指の高級住宅街アッパー・イースト(セントラルパークの東に位置する美しく区画整理されたエリア)に現存する邸宅のエントランスからホール、ボールルームなどの各部屋には、美しい家具や調度品と調和するかたちで、ベリーニ、レンブラント、フェルメール、ゲインズボロー、ゴヤ、ホイッスラーなどの名画・芸術が展示されています。フリック氏が亡くなられた後にさらに拡張されていますので、邸宅としてはかなり広いですが、美術館としてはこじんまりとした規模で、1時間あればゆっくりと見て回れます。

また、美術館の隣には、ヘンリーの娘であるヘレン・クレイ・フリックが父親を追悼して1920年に設立したフリック・アート・レファレンス・ライブラリーがあります。現在では、美術史や収集分野の研究を行う主要な機関として活動しています。
ドミニク・アングルが描いた「ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像」はフリック・コレクションの顔。zoom
ドミニク・アングルが描いた「ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像」はフリック・コレクションの顔。
フリックの顔、自由な伯爵夫人ルイーズの肖像

フリック・コレクションのポスターやパンフレットに登場する魅力的な女性の肖像があります。首をすこしかしげて、アンニュイな雰囲気を漂わせています。この絵は19世紀のフランスの肖像画家、ドミニク・アングルが描いた「ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像」(1845)です。モデルは作家ド・スタール婦人の孫のルイーズです。18歳でドーソンヴィル伯爵に嫁いだ彼女は、描かれているときは20代だと言われています。魅惑的で小悪魔的にも見える表情が印象的な作品で、フリック・コレクションの中でも訪れた美術ファンが必ず立ち止まって見入ってしまう特別な存在です。
フリック・コレクションのアプリ。場所や開館時間などの基本情報から館内マップ、オーディオ・ガイドまで充実した機能。zoom
フリック・コレクションのアプリ。場所や開館時間などの基本情報から館内マップ、オーディオ・ガイドまで充実した機能。
キュレーターのこだわりを感じる秀逸なアプリ

最近では珍しくなくなってきた美術館のアプリ。その中でもフリック・コレクションのアプリは大変使い勝手が良く、実際に美術館の中を歩く際もオーディオ・ガイドとしてうまく機能してくれます。オーディオ・ガイド機能付きのアプリもよく見かけますが、対象作品が少なかったり、対象言語が英語だけであったりする場合が多いのが現状です。しかし、こちらのアプリは日本語にも対応しており、使いやすく親切な作りとなっています。コレクションを楽しんでほしいというキュレーターの心意気が感じられるようです。フリック・コレクションを訪れた際はぜひ利用してみてください。訪問前の情報収集にも最適です。 

The Frick Collection app
Apple: iTunes
Android: Google Play
フェルメールやドガ、ベラスケスなど、名画がさりげなく点在zoom
フェルメールやドガ、ベラスケスなど、名画がさりげなく点在
フェルメールやドガ、ベラスケスなど、名画がさりげなく点在

バレリーナの練習風景を描いた絵で良く知られるエドガー・ドガの作品「リハーサル(The Rehearsal)」や、スペインらしさを色濃く感じさせてくれるベラスケスの王族シリーズなど、ヨーロッパの名画がさりげなく飾られているのも邸宅博物館の魅力。フェルメールがホールにひっそりと配置されていたり、大型美術館とは一味違う展示方法も、こういった小型美術館の魅力と言えます。


次にニューヨークを訪れた際に、ぜひ覗いてみていただきたい、素敵な空間です。 
The Frick Collection, New York, Fifth Avenue Garden and façade, Photo: Michael Bodycombzoom
The Frick Collection, New York, Fifth Avenue Garden and façade, Photo: Michael Bodycomb
フリック・コレクション
The Frick Collection

1 East 70th Street (between Madison and Fifth Avenues)
New York, NY 10021
Web: https://www.frick.org/



開館時間
火曜日~土曜日  10 a.m. to 6 p.m.
日曜日 11 a.m. to 5 p.m.
月曜日休館
毎月第一金曜日は入館料無料(1月と9月以外、6 p.m. to 9 p.m.)



入館料
大人 $22
シニア65歳以上 $17
学生 $12

*開館時間・入館料などの情報はすべて2019年9月現在のものです。実際に訪れる際はフリック・コレクションのウェブやアプリで最新情報を事前に入手のうえご訪問ください。 
*絵画・芸術作品の写真はすべてフリック・コレクションから特別に許可を得て掲載しています。
Photo Image Courtesy of The Frick Collection
アート&トラベルライター:青山ルビー
ミュージカルやバレエなど、舞台に魅せられて約20年。ロンドン、ニューヨーク、東京で足しげく劇場に通う。「オペラ座の怪人」は25回以上、「レ・ミゼラブル」は15回以上、「RENT」は10回以上鑑賞。新作巡りやキャストにもこだわりが。また、ハワイの大自然と文化をこよなく愛し、ハワイ渡航歴25回以上。ハワイ州観光局公式ハワイスペシャリスト上級(ハープウ)を保持。温泉ソムリエ協会認定温泉ソムリエ。
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