旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2019年8月13日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

首都圏から東北へ初就航のLCCはジェットスター・ジャパン

搭乗旅客を見送るジェットスター・ジャパンの社員たちzoom
搭乗旅客を見送るジェットスター・ジャパンの社員たち

山形の空港事情は
山形県内には山形と庄内の二か所に空港があります。1964年に供用開始した山形空港は、最盛期の1991年には羽田便が一日5往復あり年間74万人を輸送していました。1992年の山形新幹線開業の影響を受けて、日に1往復にまで減便。2014年には毎日2往復に増えたものの、95席仕様の小型機E190で飛んでいます。

県内第二の空港として1991年に供用開始したのは、庄内空港です。ANAが羽田便を日に4往復を就航させています。首都圏からは鉄路で新潟経由も選べる県内西部にあるのが庄内地方。今では乗降客数は39万人、兄貴分となる山形空港を年間で7万人ほど上回っています。

この庄内空港に、今回ジェットスター・ジャパン(JJP)が毎日1便の成田空港路線を開設しました。

初便就航へ
遅い梅雨がようやく明けて間もない8月1日の成田空港は、盛夏となる青空の下で暑い照り返しを受けていました。第3ターミナルビル163番ゲートでは、出発のセレモニーが行われました。主催者JJP中村会長の挨拶のあと、来賓として観光庁の加藤審議官、NAA田邉取締役の挨拶と続きます。フォトセッションを経て、搭乗開始となりました。

今回、山形県の酒田米菓が就航に際し、デザインプリント付きのおせんべいを提供。同社の佐藤リーダーが同社キャラクターのオランダちゃんとともに搭乗者全員にせんべいを配っていました。ジェットスター・ジャパンからも就航記念品が全員に手渡され、搭乗者は笑顔で出発していきました。ボーディングブリッジではなく、地上から直接階段での搭乗は新鮮でワクワクするもの。機体に向かう通路からジェットスター・ジャパンのスタッフが就航記念の横断幕を持って見送る様子を眺めながらの搭乗です。

セレモニーと酒田米菓のオランダちゃんzoom
セレモニーと酒田米菓のオランダちゃん

フライトへ
機体が動き出すと、機体両側でグランドスタッフが恒例のジェットスタージャンプでお見送り。放水アーチとともに初便を祝いました。ほぼ満席の機体は、成田空港の滑走路34Lを離陸後一路北西に進路を取り、順調に飛行を続けます。機長のアナウンスによると、高度は7,500mで順調に飛行を続けているとのこと。フライトタイムが短いので、当日機内販売のCafeメニューは無く、予約時の運賃で「ちゃっかりPlus」と「しっかりMax」を購入した人向けのスナック配布のみとなっていました。

東北弁でアナウンス
客室責任者の機内アナウンスでは渥美機長、杉本副操縦士ともに東北にゆかりがあり、思い入れのあることが紹介されました。客室後方担当は、宮城県仙台市出身のMika、中央に岩手県奥州市出身のTomoko、前方は山形県大江町出身のAki、そして自己紹介として岩手県盛岡市出身のShihoと客室乗務員4人とも東北出身の構成と紹介されました。その後、アナウンスは東北弁となって続きます。「39分のまんず短けえフライトとなっとります。ですがおしょすがらずに(恥ずかしがらずに)ご用の際はお近くのキャビンクルーへお気軽にお声がけください」とはにかみながらの案内があります。フライト時間は短いですが、客室乗務員の笑顔が印象に残りました。

客室で笑顔のサービスzoom
客室で笑顔のサービス

機内誌も庄内を特集
機内誌jetstar MAGAZINE 8・9月号は「山形・庄内の旅」特集が掲載されていました。1泊2日でできる酒田・鶴岡も含めたお勧めの観光地や食の案内があり、現地での時間が、より楽しみになりました。

ジェットスターの記念品を見てみると、搭乗証明書、就航7周年を書かれたノート、てぬぐいなどに加え、先に配られた物とは別の飛行機柄とジェッ太君がプリントされたおせんべいもありました。

機窓の美しいルート
離陸後20分ほどで、シートベルトサインが点灯します。福島県上空を通過するため、猪苗代湖などが見えることがあり、滑走路27から着陸の場合、右手には鳥海山が素晴らしい容姿を見せてくれます。このルートは窓側がお勧めです。実際の飛行時間は43分。気軽に行ける場所であることを改めて感じます。

庄内空港には誘導路がありません。着陸のあと、滑走路端のターニングパッドで180度ターンしてターミナルビルに向かいます。展望デッキから手を振っているたくさんの人の姿が見えました。駐機場に向う手前では山形県と表示のある消防車から放水アーチの歓迎があり、青空の下で水しぶきがキラキラと光を放っていました。

初便到着後のキャビンクルーの皆さん zoom
初便到着後のキャビンクルーの皆さん 

盛大な歓迎
到着口では、庄内空港利用振興協議会のみなさんが記念品を配り、地元の名産となる庄内砂丘メロンの試食まであり、期待度を感じる盛大なお出迎えでした。甘いメロンと想像以上の大歓迎に迎えられ、搭乗客は皆笑顔に。記念品の中には庄内空港キャラクターの「まめうさ」のポーチもあります。まめうさは日本海に向う夕陽の色でできているそうで、口元にはだだちゃ豆が付いています。ブルーベリーといちじくのジャムも入っており、空港の愛称にもなった「おいしい」時間を過ごすことのできる場所なんだなとあらためて実感しました。

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おいしい庄内空港で大歓迎の様子

庄内空港
初便到着後に、折り返し便の出発を見送ろうと展望デッキのある3階へ向かいました。更に屋上階にも広くデッキが広がっています。滑走路奥に広がる緑地帯が熱気を冷ましてくれているような豊かな緑に目を奪われます。庄内空港発成田行き初便がプッシュバックされて動くのに合わせて、ジェットスター・ジャパンのスタッフ5名が「ご搭乗ありがとうございます」と書かれた横断幕を持って、出発客を見送ります。振り返って展望デッキの人たちにも手を振っている姿は、地元の皆さんの応援で飛べましたとの感謝の思いが伝わってくるようでした。

折り返し成田行き初便の離陸の様子zoom
折り返し成田行き初便の離陸の様子

ジェットスター・ジャパンの出発便を見送りながら、今までこの地域にはなかった成田便、直接海外旅行にも行けるこの便が、庄内地域の気軽で便利な足として根づき、増便になるといいなと願いながら空港を後にしました。

協力:ジェットスター・ジャパン
⇒ https://www.jetstar.com/jp/ja/home

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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