旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2018年11月9日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

「もてなしの翼」台湾へ飛ぶ スターフライヤー台北桃園空港便就航

エアライン初就航の儀式 ウォーターキャノンで迎えられる到着機zoom
エアライン初就航の儀式 ウォーターキャノンで迎えられる到着機

台湾就航の理由
2018年国際線冬スケジュールの開始となる10月28日、スターフライヤーは中部空港、北九州空港と台湾・台北桃園空港線国際定期便を就航させました。スターフライヤーは中国語で星悦航空。2016年のゴールデンウイークに北九州から台北へのチャーター便を飛ばしており、台湾で呼ばれていたのが「星悦航空」でした。星飛航空のアイデアもありましたが、発音のしやすい「悦」を使いました。悦は「喜び」で、これをスターフライヤーは「お客様によろこびをもたらす」という解釈をしています。実は、今回の就航は国際定期便の初就航ではありません。2012年より北九州から韓国の釜山に就航していたのですが、2014年に運休していました。今回は、サービス重視のスターフライヤーに相応しく、運航時間が長い中部セントレア空港と北九州空港から台北桃園国際空港を結ぶ路線が選ばれました。スターフライヤーの2020年までの中期経営計画「らしさの追求2020」から生まれた路線です。

機材
シートピッチが国内線で使用機の34インチから35インチ(89cm)に拡充した150人乗りのJA25MCが国際線用として今回の新規路線に投入されました。この新造機は、機体中央部翼上の非常口扉が片側2個から1個になっているのが特徴です。まずは中部空港から朝の出発便が台北に向かいます。折り返し便が北九州を一往復し、最後の夜便が台北から中部に戻る1日1機で運用可能なスケジュールで就航。デイリーの運航でスタートとなりました。

北九州空港の様子zoom
北九州空港の様子

セレモニー
北九州空港では、就航セレモニーが行われました。テープカットは13名、くす玉3個を9人で割る総勢22名が壇上に集う豪勢なものとなりました。福岡空港一局集中を緩和する施策としても地元の期待の大きいことが伺えます。

華やかなセレモニーの様子zoom
華やかなセレモニーの様子

台北から北九州空港への初便は、秋晴れの空の下、空港消防車輛によるウォーターキャノンで迎えられました。台北からの旅客にも到着口で歓迎式が行われ、記念品が贈呈されました。

北九州空港発初便となる7G801便には、148人と幼児3名が搭乗し台北に向かいます。滑走路36を離陸した機体は、東進。大分上空から鹿児島県まで九州を縦断し、一路台北を目指していきました。

機内食の時間
機内食こそがスターフライヤーの国際線に掛ける意気込みを体現しています。新機材には、機内にホットミール提供用のオーブンが装備されたことが最大の特徴です。北九州空港ではケータリング工場が無いために、搭載は全て他空港となります。搭載はセントレアで朝便へ。台北では昼間の北九州往復と最終便となるセントレア向けの計3便分の食事が搭載されます。お品書きも用意され、キリン一番搾りとアサヒスーパードライも無料で楽しめるようになっていました。

機内サービスの様子zoom
機内サービスの様子

北九州発の初便では、黒い弁当箱に鶏の唐揚、秋刀魚の甘露煮、ごはん、鶏のチーズ重ね、季節の野菜が詰められた目にも鮮やかな機内食が提供されました。日本食が人気な台湾人にも喜ばれる内容です。デザートは黒糖エッグタルトで、200mlのミネラルウォーターがペットボトルで添えられていました。

スターフライヤーの担当者は、フライトタイムが短いことで、機内食は量より質にこだわったと話します。黒い弁当箱のふたを取った時のお客様の笑顔が機内食の選定が成功だったことを感じさせてくれました。台湾は美食の街。機内食を食べて到着した台北でも、夜市で更に何か食べることができる量です。

機内食はミニ懐石弁当のつくりzoom
機内食はミニ懐石弁当のつくり

インフライトショッピングが始まる
国際線用に作られた機内誌に掲載のあるインフライトショッピングが始まりました。品数は10種類で、ロゴ入りグッズなど欲しくなる厳選された商品選定があります。飛行機のチャームの付いたボールペンを1,700円で買いました。持ち手の部分がキラキラ光る楽しい商品です。紙の黒い専用ケースに入ってお土産に喜ばれそうです。

インフライトエンターテインメント
インフライトエンターテインメントは専用チャンネルが用意されました。
国内線機材の装備がアップグレードし、タイプⅡと呼ばれるモニターとなりました。コントローラーは画面内に収まり、タッチ式となったのでシートバックはスッキリしています。客室乗務員呼び出しボタンや読書灯も画面操作でできるようになっていました。

プログラムは、オーディオ8チャンネル、ビデオ12チャンネルの計20チャンネル。2時間半ほどのフライトタイムでは、とても見きれません。その中で、台北線就航記念番組「美食幻影」を見ました。台湾出身のジュディオングが案内する門司港観光案内が興味をひきます。番組の一部で九州鉄道記念館を巡り、ひとときの空旅から鉄旅の世界へ引きこまれました。台北を案内する旅番組は、過去に放映されたNHKの「世界ふれあい街歩き」台北編のプログラムがあり、このさき増えていくことでしょう。

前方の持ち場を離れられない1人を除いて3人の客室乗務員が揃って記念撮影zoom
前方の持ち場を離れられない1人を除いて3人の客室乗務員が揃って記念撮影

到着へ
航空機は夜の台北桃園空港に到着。ここでも、ウォーターキャノンで迎えられ、機内からその様子を体験しました。第一ターミナルB5ゲートに静かに止まります。北九州空港からの台湾路線は初めての開設です。日本人に人気の台北で顧客満足度の高いエアラインの就航はLCCの淡白なサービスに飽きた層に人気が出そうです。また、北九州は台湾から手軽に来られる場所として、中部は食を求めて来る台湾人が喜ぶ街として、新たな客層が流れてくる可能性に期待がかかります。

協力:スターフライヤー ⇒ https://www.starflyer.jp/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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