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シカゴ川リバークルーズで摩天楼の野外ギャラリーを鑑賞する 【連載】建築&アート、音楽と食を巡るシカゴの旅 Vol.3
旅の扉
【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
2018年8月29日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子
シカゴ川リバークルーズで摩天楼の野外ギャラリーを鑑賞する 【連載】建築&アート、音楽と食を巡るシカゴの旅 Vol.3
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代表的な建築物をクルーズ船から観賞。夏のシカゴ川には大きなクルーズ船から、カヤック、ボート、プライベートチャーターのクルーザーまで、さまざまな船が行きかっています。
街全体にユニークな高層ビルが林立し、建築物の野外ギャラリーのようにも見えるシカゴ。この街がニューヨークに先駆け、アメリカで最も早く摩天楼が誕生した"摩天楼発祥の地"であることを知っていますか? きっかけとなったのが、1871年のシカゴ大火。市の3分の1近くが廃墟と化した大災害から復興するために建築ラッシュが始まり、有能な建築家が各地から集結したのだそうです。
シカゴ建築協会公認のリバークルーズで、摩天楼の街を船から観賞
シカゴの名だたる建築物を鑑賞するには、ウォーキングツアー、セグウェイツアーなどがありますが、遮るものがない川からの眺めを楽しめるのが、シカゴ川を周遊するリバークルーズ。リバーウォークにある埠頭からは、大小さまざまな種類と大きさのクルーズ船が発着しています。そのなかで一番のおすすめが、『シカゴ・ファースト・レディー(Chicago's First Lady)』 です。
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クルーズ船が発着するリバーウォークの埠頭。一番の人気が、シカゴ建築協会公認ツアーの『シカゴ・ファースト・レディー』。
『シカゴ・ファースト・レディー』は、シカゴ建築協会(Chicago Archtecture Foundation)公認の唯一のクルーズ。何100時間にも及ぶトレーニングを受けたボランティアの説明員が案内役です。シカゴ大火からの復興に端を発した建築ラッシュに沸いた1800年代終盤、アールデコ様式が流行した1900年前半から1980年以降の近代建築や、その後は全面ガラス張りのビル建築が流行したり、全米一&世界一を競う超高層ビルの出現まで、歴史にエピソードを絡めながら丁寧に説明してくれます。建築に興味のある人にはもちろんのこと、シカゴ初心者にも必見のツアーです。
シカゴ川の支流3本すべてを周遊し、50カ所以上の建築物を楽しむ
説明員のレベルの高さとともに、シカゴ川の3本の支流すべてを周遊することがこのクルーズの大きなポイント。川を中心に東西南北に広がる市内のおもな建築物を、ほぼくまなく見て回ることができます。それに、あまりに近くから高いビルを見上げると首が疲れてしまうけれど、川からだと程よい距離があり、建物の全景がよくわかるのもいいところなのです。
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高層ビルの間を縫って高架を走る鉄道もシカゴ名物。下の部分がえぐれたビルの床がどうなっているのか、気になる!
さまざまな形のユニークビルに、目が釘付け!
トップの写真で、時計台があるルネッサンス様式の白いビルは、チューインガムで有名なリグレーの本社がある『リグレービル(Wrigley Building)』、近くにはシカゴの地方新聞シカゴ・トリビューンの本社、ゴシック様式の『トリビューンタワー(Tribune Tower)』が好対照を見せています。
屋上から2本のアンテナが突き出ているのは、シカゴ一の高さを誇る110階建ての『ウイリスタワー(Willis Tower)』。TVドラマ『シカゴ・ファイア』にもたびたび登場するこのビルには、床が透明なアクリル張りになった展望デッキがあり、観光名所になっています。収穫の証でもあるトウモロコシを手に掲げた女神が屋上に建つ『シカゴ証券取引所(CBOT)』、トウモロコシを2本並べたようにも見えるツインタワー『マリーナシティ(Marina City)』、高層建築が途切れると公園や瀟洒なアパートもあり、水辺で暮らす人々の優雅な暮らしぶりも見えてきます。
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エリアによって開発された年代が異なり、建築様式も違っています。街の開発の歴史をたどる楽しみも。
街の歴史を建築物で遡る
さらに上流に向かい、再開発が進むかつての工場街が近づくと、巨大な跳ね橋が見えてきました。これは、1908年に完成した『キンジー・ストリート鉄道橋(Kinzie Street Railroad Bridge)』。シカゴで最初に作られた鉄橋で、開通当時は世界一の長さと重さを誇ったそうです。大きな船が通るたびに開閉されていましたが、橋を渡った先にあった新聞社の印刷工場が移転した2000年以降、固定されたままとなっていて、ここだけ時間が止まっているよう。船が上流に進むにつれ、街の開発の歴史を遡っていく感覚があります。
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1908年の完成同時、世界最長の鉄橋だった『キンジー・ストリート鉄道橋』。現在は跳ね上げて固定されたままになっています。
最後の支流をミシガン湖目指して下り、視界が開けてきたら最終折り返し地点の河口に到着。ここからはVol.1のコラムで紹介したバイクツアー 終盤で走ったミシガン湖畔から見えた、ネイビー・ピアの巨大な観覧車が迫ります。同じ川なのに、進む方向が逆になると河岸の景色が違って見えるのがおもしろく、約90分のクルーズは退屈することがありません。飲み物がほしくなったら、キャビン内のサロンにはスナックやドリンクを販売するバーカウンターが用意されています。
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シカゴ川の支流3本すべてを周遊し、ミシガン湖に注ぐ河口近くで折り返します。正面はシカゴで2番目の高さを誇るトランプ・タワー。
クルーズ運航は3月末から11月中旬まで。季節と曜日によって1日に4~14便が30分~1時間おきに出航します。10月第1週まではサンセットと夜景楽しめるトワイライトクルーズ(週末限定)も。5~10月の気候のいい時期は特に混雑するので、早めの予約がおすすめです。
●Chicago's First Lady
www.cruisechicago.com
チケット予約:Tcketmaster.com/RiverCruise
料金:$44.48(トワイライトクルーズ$49.21)
●協力
シカゴ観光局 choosechicago.com/jp
ユナイテッド航空
www.united.com