旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2018年8月21日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

夏のシカゴは野外フェスが楽しい! 【連載】建築&アート、音楽と食を巡るシカゴの旅 Vol.2

野外とは思えないほど本格的な劇場、ジェイ・プリツカー・パビリオン。夏の夕暮の心地よい空気のなかコンサートを楽しみました。zoom
野外とは思えないほど本格的な劇場、ジェイ・プリツカー・パビリオン。夏の夕暮の心地よい空気のなかコンサートを楽しみました。
夏のシカゴは、野外で催されるミュージック・フェスティバルのシーズン。ブルースとジャズに代表されるシカゴの音楽ですが、6~9月にはさまざまな音楽ジャンルの野外フェスティバルが催されます。滞在中の7月最後の週末、ミレニアムパークの野外音楽堂で催されていたクラシックコンサート『グラント・パーク・ミュージック・フェスティバル(Grant Park Music Festival)』に足を運びました。

巨大なビーン(豆)が迎えるミレニアムパーク
このミュージック・フェスティバルは、毎年6月中旬~8月中旬の2カ月間限定で開催されるクラシックのイベント。コンサート会場となる野外音楽堂、ジェイ・プリツカー・パビリオン(Jay Pritzker Pavillion)があるミレニアムパークは、シカゴ川南側のミシガン湖沿いにあり、前回のコラムで紹介したリンカーンパークがあるエリアとは、川を挟んで反対側になります。
『ザ・ビーン』の正式名称はクラウドゲート(Cloud Gate)。周囲の景色と人々が映り込んだ不思議な光景を作り出しています。zoom
『ザ・ビーン』の正式名称はクラウドゲート(Cloud Gate)。周囲の景色と人々が映り込んだ不思議な光景を作り出しています。
ミレニアムパークのシンボルともいえるのが、『ザ・ビーン』の愛称で親しまれている巨大な鏡のようなオブジェ。シカゴの景色をそのまま閉じ込めた、ひとつのアート作品にも見えます。公園内からは、メトロポリタン、ボストンと並び"アメリカ三大美術館”のひとつに数えられる、シカゴ美術館へアクセスできるブリッジが延びています。
前方は有料の椅子席、後方にある『グレートローン』と呼ばれる芝生席への入場は無料。食べ物や飲み物も持ち込めます。zoom
前方は有料の椅子席、後方にある『グレートローン』と呼ばれる芝生席への入場は無料。食べ物や飲み物も持ち込めます。
ジェイ・プリツカー・パビリオンも、シカゴを代表する建築物。アメリカ人建築家フランク・ゲーリーが手がけた野外音楽堂で、複雑なカーブを描きながらステージを覆う屋根と、客席頭上に張り巡らされた銀色のパイプが特徴です。

ドレスコードは白。オーケストラをBGMにピクニックを楽しむ人たち
前方に有料の椅子席があり、後方の芝生エリアに広がる無料席を合わせると、1万人以上を収容する巨大な野外劇場。芝生エリアは、ピクニックパークのようにも見え、この日は白い洋服を着用して集まる「A Pastoral Picnic in White」というエリアが設けられていました。
このエリアのドレスコードは白。地元の人たちは、ピクニック気分でコンサートを楽しんでいました。zoom
このエリアのドレスコードは白。地元の人たちは、ピクニック気分でコンサートを楽しんでいました。
夜7時30分から始まったコンサートは三部構成。プログラムを見ると、ヴォーン・ウイリアムズ作の『ノーフォーク狂騒曲』、アンドリュー・ノーマン作の『スウィッチ』と、メンデルスゾーンの交響曲『スコットランド』とありました。7月末のシカゴの日没時間は8時半ごろ。空はまだ明るく、蝉の声も聞こえてきます。オーケストラの音量が大きくなると、蝉たちの声もそれに呼応していっそう大きくなり、野外コンサートならではのシンフォニーが響きます。
パーカッショニストのコリン・カリー氏。世界で活躍する音楽家の生演奏を、野外で聴ける貴重な機会。zoom
パーカッショニストのコリン・カリー氏。世界で活躍する音楽家の生演奏を、野外で聴ける貴重な機会。
クラシックらしからぬ?パフォーマンスに拍手喝采
時差ボケがまだ抜けてなくて、心地よい音楽と夕風にウトウトしていたところ、第二部の衝撃的な始まりで一気に目が覚めました。楽団員が着席し、指揮者が指揮棒を振り上げた途端、ひとりの男性が全力疾走でステージに走り出てきてたのです。彼の名は、パーカッショニストのコリン・カリー氏。数種類の打楽器を操りながらステージの端から端まで走り回り、時には情熱的に、またクラシックとは思えないコミカルなパフォーマンスで会場を沸かせていました。
このコリン・カリー氏、調べてみたら東京オペラシティでの演奏経験もある世界的に有名なパーカッショニストとのこと。その演奏を、夏の宵に野外コンサートで聴けるなんて、贅沢ですね。

会場内には食べ物や飲み物を持ち込めるほか、ビールやワインの販売ブースもありました。そして感心したのは、公園内のトイレがとても清潔だったこと。初めて訪れる土地で、しかも海外の場合、トイレ事情はとても気になります。ここなら、音楽を楽しみながらビールもワインも心おきなく飲めそうです。
コンサート終了後は、夜景が映し出され幻想的な光景が広がる夜のビーンも必見です!zoom
コンサート終了後は、夜景が映し出され幻想的な光景が広がる夜のビーンも必見です!
2018年の『グラント・パーク・ミュージック・フェスティバル』はすでに全プログラムが終了していますが、夏にシカゴを訪れる機会があれば、ぜひともまた足を運んでみたいと思っています。もちろん次回は、芝生席にピクニックシートと食べ物、そして飲み物を持参して。

●Grant Park Music Festival
www.grantparkmusicfestival.com
●協力
シカゴ観光局

choosechicago.com/jp
ユナイテッド航空 
www.united.com
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
risvel facebook