旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2017年11月26日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

わくわくが止まらない! 初めてのドバイ(3)知れば知るほど興味がわく、ドバイってどんな国?

イケメンぞろい?の、アラブ各国の首長たち。一番手前がアブダビ首長、二番目がドバイ首長。zoom
イケメンぞろい?の、アラブ各国の首長たち。一番手前がアブダビ首長、二番目がドバイ首長。
ドバイが属しているのは、7つの首長国がひとつの国を形成する『UAE(アラブ首長国連邦)』。ドバイの旅コラム第3回目は、簡単な歴史のお勉強です。私たち日本人から見ると今ひとつわかりにくい『連邦制』という国の成り立ちと、そのなかでドバイがどんな役割を果たしているのかがわかるミュージアムをご紹介します。

UAEの歩みがわかる『Etihad Museum(エティハド博物館)』

UAE建国とドバイの歴史がわかると聞き訪れたのは、2017年1月にオープンしたばかりの『Etihad Museum(エティハド博物館)』。ここは1971年12月2日、UAEを形成する7カ国の首長によってUAE憲法に署名が行われたユニオンハウスが立つ場所でもあります。
UAE憲法の形をモチーフにしたユニークな形の建物。zoom
UAE憲法の形をモチーフにしたユニークな形の建物。
約2.5万㎡に及ぶ広大な敷地内にある建物の設計は、日系カナダ人の建築家レイモンド・モリヤマ氏が率いるレイモンド&テシマによるもの。日本では、青山のカナダ大使館が、モリヤマ氏が手がけた建築物として知られています。白い屋根をいただき、独特の曲線は憲法の形をモチーフにし、館内で存在感を放つ7本の柱は7つの首長国を表しているのだそうです。

最新デジタル設備を駆使した展示でドバイとUAEの歩みを知る

UAEを形成するのは、首都があるアブダビと、商業都市としての役割を担うドバイ、ほかにシャルジャ、アジマン、ウル・アル・カイワイン、フジャイラ、ラス・アル・ハイマの7首長国です。いずれもアラビア湾の入口に横たわる小さな国々。全首長国を合わせた広さは日本の北海道とほぼ同じ。ドバイのみでは埼玉県または奈良県よりほんの少し大きく、アラビア湾を挟んだ対岸が、カタールの首都・ドーハという位置関係です。
最新のデジタル展示を備えた博物館は、ゲーム感覚で巡るのが楽しい。zoom
最新のデジタル展示を備えた博物館は、ゲーム感覚で巡るのが楽しい。
館内に入ってまず目を引くのは、高い天井とガラス張りの壁面から差し込む自然光。傾斜と曲線が巧みに取り入れられ、行く先々に最新デジタル機器の展示が待ち構え、ゲーム感覚で楽しみながら鑑賞ができます。

各首長国の威風堂々たる佇まいとイケメンぶりにも目を奪われることでしょう。巨大なパネル写真(冒頭の画像)の一番手前が、アブダビ首長、二番目がドバイ首長のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム氏。アナログの展示物として各首長の愛用品があり、それぞれの個性が見て取れます。

漁業と交易で栄えたドバイの歴史

中東といえば石油のイメージがありますが、UAEのなかで実際に多くの石油を算出しているのはアブダビのみ。かつてのドバイは海岸線では漁業と真珠漁を営む人が、砂漠ではベドウィンという遊牧民が暮らしていました。なかには海賊だった人もいるとか。そんな時代を紹介するコーナーもあり、近代的な高層ビルが立ち並ぶ現在のドバイとの対比も興味深いもの。1958年にアブダビで石油が発見されたことを皮切りに急激な近代化が進み、そのなかでドバイは貿易と商業の中心としての役割を担うようになりました。
かつて、のどかな漁村だったドバイをはじめ、アラブ首長国の歩みがわかります。zoom
かつて、のどかな漁村だったドバイをはじめ、アラブ首長国の歩みがわかります。
UAE建国の歴史的一歩が刻まれたユニオンハウス

敷地内に立つ歴史的な建物が、イギリスからの統治撤退後の1971年12月2日、独立へ向けてUAE憲法に署名が行われた『Union House (ユニオンハウス)』です。ハウスへ向かうアプローチに掲げられた連邦旗の4色は、アラブ諸国の国旗に用いられ汎アラブ色と呼ばれる赤、白、緑の3色に、大地を表す黒を加えたもの。
1971年12月2日、歴史的な調印式の会場となったユニオンハウス。zoom
1971年12月2日、歴史的な調印式の会場となったユニオンハウス。
UAE憲法制定までに要した時間と各首長の苦労は想像をはるかに超えるものであり、各国間の交渉の過程では参加を断念した国もあったそう。そのなかで当時のアブダビ国王の、「歴史のない国に未来はない」との一言が、各首長の心をつき動かしたのだとか。そんなUAEとドバイの歴史の一端を知るためにも、ぜひ一度訪れてみたい博物館です。
館内には、こんなおしゃれなレストランも。ショップ、カフェラウンジも併設されています。zoom
館内には、こんなおしゃれなレストランも。ショップ、カフェラウンジも併設されています。
館内にはほかにライブラリー、カフェ、レストランやミュージアムショップがあり、12:00と17:00から行われるガイドツアー(英語のみ)に参加すれば、『Guest Palace(迎賓館)』内部の見学もできます。

【取材協力】
●ドバイ政府観光・商務局
https://www.visitdubai.com/ja

●Etihad Museum(エティハド博物館)
http://etihadmuseum.dubaiculture.ae/en/pages/default.aspx
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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