旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2017年5月26日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

ニュージーランド航空ビジネスクラスで極上の旅 錦秋の南島へ

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ニュージーランドへの旅は客室乗務員の笑顔に迎えられてスタートします

秋のニュージーランドは見どころがいっぱいです。
今回の旅は全行程レンタカーの運転が待ち受けている為、夜間飛行となる往路は極力身体を休めることを主眼にビジネスクラス「ビジネス・プレミア」にしました。目的地は、昨年のニュージーランド航空フライトで客室乗務員の方に勧められたテカポ。オークランドから短時間の乗継ぎで南島のクイーンズタウンを目指します。

日本から出発するオークランド便は18:30発で飛行時間は約10時間半。
フライトへの期待を胸に成田空港に向かいました。チェックインを済ませ、スターアライアンスとして共同運航するANAの第4サテライトラウンジに入ります。

43番ゲートは、航空機までの距離が少しありゲートから機体が見えにくい分、ボーディングブリッジで機体に向かう際は期待度も高まります。
機内へ入るとKia Ora(ようこそ)と客室乗務員が笑顔で迎えてくれました。
爽やかな音楽と共に、搭乗した瞬間から現地モードにスイッチが入り、旅がスタートしました。

ビジネスクラスは、他の航空会社では見たことのない余裕の1-1-1アブレスト。全体で18席の特別な空間です。ボーイング787の紫のLED照明に照らされて白いレザーシートも淡く光ります。

座席の前のオットマンにはシートベルトが装備されており、同行者と向かい合って話ができるようになっています。下は収納になっており、靴や鞄を入れておくことができますので、立ち上がることなく身のまわりの物を取り出せ便利です。長旅への準備を始めるこの時間が好きです。

客室内の最初の印象はテレビで見掛ける宇宙船の内部のようなイメージ。
時間が経つにつれて快適な美術館の展示室にいるような感覚にとらわれます。無機質な空間が、ホッとする空間に変わる感覚は乗ってみないと判りませんし、ビジネスクラスのインテリアデザイナーの腕の良さなのでしょう。

トイレには遊び心が溢れていますzoom
トイレには遊び心が溢れています

温かいおしぼりとウェルカムドリンクで一息ついていると、客室乗務員が挨拶に来てくれました。自己紹介のあと丁寧な機内食の説明があり、お勧めなどを聞きながらオーダーを済ませます。

隣席の壁の半分ほどの空間に収納されたテーブルを広げてみると、目の前にとても大きくパーソナルなダイニングスペースが広がり、まずはアミューズが用意されます。チーズやサーモンが陶器の小皿に載って、食前酒と共にサーブされます。
前菜は、海老艶煮やサーモンと長芋の市松などが載った和食か、モロッコ風チキンとひよこ豆やイチジクなどが載った洋食のチョイスです。
食前酒にはシャルル・エドシックブリュット・レゼルブを頼みました。

丁寧なサービスでゆっくり進む夕食の時間zoom
丁寧なサービスでゆっくり進む夕食の時間

バスケットでサービスされる温かいパンは、ガーリック、チャバタ、オリーブなどどれも美味しく、勧められるままついたくさん食べてしまいます。メインは牛ほほ肉の煮込み、銀ひらすの西京焼き、鶏胸肉のローストの3種類からのチョイスです。
ビジネスクラスでは、ギャレースペシャリストという社内資格を持つクルーによって、機内で美しく盛り付け直して提供されるとのこと。柔らかいほほ肉はジューシーでシャンパンに良く合いました。

デザートは、アプリコットとピスタチオのタルト。このメニューは、ニュージーランドが世界に誇るシェフ ピーター・ゴードンのものです。
はちみつヨーグルトクリームが添えられて、甘さを程よく引き立てます。
コーヒーとの相性が良く、食後の満足感が長く続きます。大きなテーブルで摂る食事は気持ちも豊かになります。

途中、何度もパンやワインを勧めてくれるなど、フレンドリーな温かさとこころ配りで寛いだ時間を過ごせました。

全て陶器でサーブされる食事 zoom
全て陶器でサーブされる食事 

飛行時間を計算して早めに就寝します。
意外な展開でベッドがセットされます。今まで見たことのない、座席の背が前方に倒れて背面がベッドになる構造です。このタイプは段差がなく完全にフラットになるので快適に眠れるとのこと。マットを敷き、枕二つとブランケットも用意して貰い横になってみると、なるほど非常に快適です。
昨秋公開の映画「デスノート」続編を観るつもりでしたが、すぐに眠ってしまいました。

朝は周辺の人が起きる物音で目覚めました。それまでは熟睡です。
現地時間では朝の6時。朝食の用意がされる食器の音も軽やかに紫の光の中で爽やかな朝を迎えました。まずはスムージーがサーブされ、スッキリと目が覚めます。そしてヨーグルトのかかったたっぷりフルーツのサラダが用意されました。

段差のないフルフラットのベッドzoom
段差のないフルフラットのベッド

その後にはオムレツか鮭の照り焼き、シナモンワッフルも用意されています。ワッフルはサクッと軽く、梨のコンポートの程よい甘さが身体にしみ込みます。

近くに座っていた、この日誕生日を迎えたお客様の元へ、客室乗務員がお祝いの言葉を掛けに訪れている姿を目にしました。入れ替わり立ち替わりたくさんの客室乗務員の訪問に、お客様は驚き、非常に喜んでいました。お客様に寄り添う姿勢が伝わってくる一コマでした。

フライトマップを見ると、オーストラリアの中部域を南下する緯度にまで来ました。間もなくオークランドです。

インフライトサービスマネージャーの冨田さんがニュージーランド航空のビジネスクラスシートの良さを的確に説明してくれました。
「他社よりも開放的な空間になっており、客室乗務員とお客様、同行のお客様同士のコミュニケーションがより取り易くなっています。お一人であれば、少し倒せば隣が気にならなくなり半個室感覚を味わえます。またベッドにすると適度な個室感があり、ゆっくり休めるようになっています。」
モードの違いによって造り出される絶妙な機内環境が秀逸です。
 
着陸後の機内アナウンスで乗務員全員の名前を伝えているのが印象に残りました。

「GO BEYOND」~お客様の期待のもっと先に~
冨田さんを始め、ニュージーランド航空のお客様への姿勢がよく表れている言葉だと感じました。

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安心の最新鋭機ボーイング787-9

疲れを残さないすっきりとした気分で、国内線に乗り継ぎです。
次はクイーンズタウンへ。

この7月からは、いよいよ羽田からもオークランド空港に就航です。

ニュージーランド航空HP ⇒ http://www.airnewzealand.jp/ 

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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