旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2016年9月19日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

オークランドで空を求めて車を走らせてみた

ニュージーランド航空のリージョナル機がひらり飛んでいましたzoom
ニュージーランド航空のリージョナル機がひらり飛んでいました

空港を一望する丘へ

ニュージーランドのオークランドでも、好きな空のエッセンスを求めて行動してみました。
飛行機のそばにいたいので、到着後の空港散策と展望デッキ見学はかかせません。
団体のツアーでは、すぐに空港を離れてしまうので、個人旅行の良さですね!
しかし今回は展望デッキはあるものの、拡張工事で閉鎖中。仕方なく事前にインターネットで空港周辺で飛行機ウォッチングできる場所を探してみたところ、PUHINUI ROADで見えるという情報を見つけました。
グーグルマップで調べると、空港からすぐのところに駐車スペースが見えます。感覚的に滑走路に近いのですが歩くのは難しそうでしたので、レンタカーを借りることにしました。
オークランドでは、日本と同じ右ハンドル、左側通行なので楽です。

空港からダウンタウンに出るのは、北側の20Aという道路を走るのですが、今回は東側に出て20Bを進みます。
ここでHAPE DRという空港敷地内に入る道があることを見つけ、どんなものかと気になり早くも脱線です。
進んでみるとそこは貨物地区で、DHLのボーイング757Fがその派手な姿で駐機する姿を発見しました。近付いてみましたが、残念なことに柵が高くて写真に収めることは出来ませんでした。撮影は難しいと諦めましたが、間近に航空機が見えるこういう小さな発見があるのも楽しいものです。それより先は空港制限区域で、立ち入りはできませんでした。

空港敷地を出てすぐ橋を渡ると、小高い丘にSCENIC LOOK OUTの看板が見えて来ます。ここが道の両側に広がる飛行機ウォッチングスポットです。駐車場に車を止めてゆっくり見学します。
 
正面は空港敷地ではなく、西に向かって空港全体を望む形です。
滑走路に続く着陸灯が設置されている場所です。
東西に伸びる滑走路で、23Lからの着陸機が最終進入する姿を納めることができます。離陸機のタキシングの様子も、200mm以上の望遠レンズであれば捕まえることができます。

海を遠望する滑走路への機体を追うのは、天気が良ければ最高です。
オークランドとわかる写真が撮れるのは嬉しいです。
日本では見ることのできない、ニュージーランド航空のリージョナル機が多く飛来します。

ヴァージン・オーストラリアのボーイング737-800やジェットスターのDHC-8 Dash8などが定番機材のようです。
アジアの翼が多く、タイ国際航空のボーイング777や、日本線では貨物機が撤退したシンガポール航空のB747-400Fも懐かしく見ることができました。

当日見掛けた飛行機たちzoom
当日見掛けた飛行機たち

貨物地区が視野に入るのですが、「Air Chathams」と名前の入る往年の名機DC-3(ZK-AWP)や、真っ白なフォッカーF-27(ZK-POH)に、これも白いフェアチャイルドSA227(ZK-POB)の姿が見えました。ここだけ見るとバラエティに富んでいて、博物館のようでもあります。

日本の空港には、このような昔の機体が保管されているようなことはありませんが、諸外国では結構目にします。特に80年も前に運用開始されたDC-3などがきれいな姿で存在するのは嬉しいことです。

場所は良いものの、トイレも自動販売機の類もありませんので、長時間の滞在には用意が必要です。

貨物地区に目を向けると、昔の機体が並びますzoom
貨物地区に目を向けると、昔の機体が並びます

交通博物館MOTATへ向かう 

オークランド市内に航空博物館はありませんが、交通全般を展示する「MOTAT」があります。

オークランド動物園にも近い場所で、どことなく遊園地を思わせる入り口です。子供連れを意識した展示がある中で、路面電車がすぐに走り出せる状態で保管してあり、本格的な部分も混在します。

本格的な鉄道車庫(左上)と2つの展示館を結ぶ路面電車(右下)その他鉄道模型運転中zoom
本格的な鉄道車庫(左上)と2つの展示館を結ぶ路面電車(右下)その他鉄道模型運転中

鉄道模型の展示館では、それこそ動物園の展示施設を転用したかのような穴倉のような場所で、レイアウトが走っています。
一両のディーゼル機関車らしき車両がゆっくりと山の中の線路を走っていました。大宮の鉄道博物館のような大型施設ではありませんが、ほのぼのとしたローカル鉄道模型の世界で癒されます。

期待の航空機館へ向かう路面電車の発車時間が迫っていることを知り、飛び乗りました。
案内に記された地図には隣接して描かれているので、すぐ下車になるものと思っていましたが、
これが2km近い距離を走る本格的なものでした。
こういう路面電車で、4人掛けのクロスシートが装備されているのも日本では見掛けず新鮮です。

着いた先は航空展示館で、Sir Keith Parkメモリアルアビエーションディスプレーと呼びます。建物前の広場には、英国空軍のホーカーハリケーンがディスプレーされています。

航空展示館前ではホーカーハリケーンが迎えてくれますzoom
航空展示館前ではホーカーハリケーンが迎えてくれます

民間機では館内にダグラスDC-3、ロッキード10Aエレクトラにロイヤル・ニュージーランド・エアフォースのデハビランドD.H.104などが保存されていました。
存在感を示すのは、大型4発レシプロ機のショートS45で、タスマンエンパイアエアウェイズ(TEAL)の機体です。

館内の売店では、ニュージーランド航空の創立75周年を祝う土産に目が留まりました。
1/200の記念モデルも魅力的でしたが、75と刻印されたオールブラックスの機体を思わせる黒い背表紙の歴史をひも解く本を購入。写真が豊富で、眺めていても楽しめます。

航空展示館の内部ですzoom
航空展示館の内部です

DC-3などは、所属会社がわからなくて、特徴である大型の垂直尾翼が外された状態でした。主翼の先端もありません。展示しながら整備しているのでしょう。個人的には、もっとエアライナーの情報が欲しいところです。
ニュージーランド航空のDC-8などの展示があって、機内に入れるようになっているのが理想ですが。
展示されていない倉庫内保管の機体も多いと聞きますので、今後の展示物が増えることを期待しています。

ニュージーランドは時差が3時間(日本の冬となる現地のサマータイムは4時間)短期の旅行でも時差ボケの心配が少ない場所。
しかもニュージーランド航空の直行便があるので身体も楽です。
展望デッキが再開したら、ぜひまた行ってみたいと思います。

ニュージーランド航空HPはこちら ⇒ airnewzealand.jp

MOTAT = Museum of Transport and Technology Auckland

住所 : 805 Great North Road & Meola Rd, Western Springs,  Auckland 1022

電話 : +64-9-815-5800

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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