日本のLCCは全て国内線及び近距離国際線を飛んでいます。
世界を見ると、中・長距離国際線のカテゴリーで成長するLCCが出てきています。シンガポール航空グループの「スクート」もそのうちの1社です。
スクートは2012年にシンガポールから成田へ台北経由で乗り入れを開始しました。
当初、ボーイング777-200を就航させていましたが、2015年2月からは、ボーイング787を就航させています。-8と-9型機を併せて11機導入しており、20機まで増機の予定です。
LCCは短距離のものという当初の常識を覆し、長距離でも成長している理由を、実際に乗ってみてその乗り心地の良さで実感しました。
全ての機材を最新鋭機ボーイング787ドリームライナーで揃えているLCCは世界でもスクートだけ。
LCCは全て大手航空会社のお下がりの機材を使っていて、座席間隔も大手に比べてかなり狭いと思っている人が多いようですが、スクートはそうではありません。
ワイドボディー機のゆとりに加えて、信頼性と先進性を感じることのできる、乗って納得の機材を使用しています。
この7月21日に、成田発のシンガポール線がダブルデイリーとなり、台北経由便に加えバンコク/ドンムアン経由便が開設となりました。
今回、この就航初便でバンコクまで搭乗する機会がありましたので、ご紹介します。
成田空港第2ターミナルビルの北棟Bカウンターでチェックインを行い、出国審査を済ませて98番ゲートに向かうと、セレモニーの準備が進められているところでした。
10時出発に合わせて、9時よりセレモニーがスタートしました。
スクートの坪川日本・韓国支社長に加え、シーン・シンガポール大使館一等書記官や木村成田空港長に夏目成田国際空港社長とそうそうたるメンバーで、期待のほどを伺わせます。
まずはスクートビスの優先搭乗となりました。そしてエコノミー後方の乗客からの案内となります。搭乗口では成田国際空港会社のメモとボールペンが入ったスクートオリジナルエコバッグが配られました。
ボーディングブリッジには、機体の見える位置に風船のアーチが作られ、初便の雰囲気を大いに盛り上げてくれました。
ボーイング787のLED照明は多くの色を作り出せますが、今回はスクートカラーの黄色い照明が迎えてくれます。
L2ドアを入ってすぐ、エコノミークラスの前方で、サイレントゾーン後ろのコンパートメント最前列のストレッチシートをアサインしていました。
丁度、翼の付け根の前方なので、エンジンとスマートな主翼のしなりの見える場所です。
曇り空の成田空港を離陸するとまもなく、雲の合間の富士山が顔を出している様子を見ることができました。
ウイリアムズ機長のアナウンスが入りました。
「フライト時間は6時間10分。現地は曇りで気温30℃です。8名の客室乗務員が皆さんをお迎えします」直後に日本人客室乗務員が通訳してアナウンスしてくれますので、言葉に自信がなくても安心です。
最前列は、アームレストから折りたたみテーブルを引き出して、食事をします。
機内では、客室乗務員のテキパキした動きで機内食の販売が行われています。今回は、ビーフキャセロールとスイスマッシュルーム ビーフラップを頼みました。飲み物はジャスミン茶。キャセロールは濃厚なブラウンソースがパスタによくからんでいます。ビーフラップは、ずっしりと重く思ったよりずっと食べ応えがありました。
機内販売は、スクートとカタログの造語であるスクータログと書かれた冊子に載っています。
7月から入れ替わった冊子には、100点以上もの商品がラインナップ。
航空機モデルをはじめ、ベアやポーチなどスクートオリジナルの商品も用意されていて、楽しく選ぶことができました。
客室乗務員8名の中で、日本人は3名乗務していました。
皆さん明るく、楽しそうに仕事をしています。
その中の1人、坂さんに話を聞いてみると、シンガポール⇔日本間は台北/バンコクの経由地を含めて2区間を通して乗務しているとのこと。
シンガポールに住み、主に日本線に乗り、その他の路線に乗務することもあるのだとか。中東にも翼を広げており、ジェッダへのフライトも楽しみな路線のひとつだそうです。
機内エンターテイメント設備の代わりに、Wi-fiを繋いで、自分のデバイスを利用してストリーミングができます。これからは、エンターテイメントに興味があれば使い慣れた自分のデバイスを用意する、そういう時代を予見するかのようです。
SNSやメール利用だけならデータ量が小さいコースを選ぶこともできます。
最初の食事からしばらくすると、客室乗務員の「スクートカフェの開店です!」のアナウンスがあり、再びカートがまわります。
最初に食事をしなかった人もここでカップ麺などを食べることができます。スクートカフェという言葉そのままに、客室乗務員が笑顔で楽しそうに話しかけている姿を何度も見掛けました。
また、手袋をはめて消臭スプレーを持ち、実にこまめにトイレの掃除に入っていたのも印象的でした。
6時間のフライト中で、座っている客室乗務員を一度も見掛けることはありませんでした。
セントレア、関西空港、高知、鹿児島、台湾の東岸を通ってベトナムからまっすぐにバンコクへ向かいます。
外を見るとタイの農場が広がり、まもなくの到着を知らせてくれました。
低い建物が多く、土地を広大に見せています。
エンジンのカウリング内側に、黄色い機体のカラーが写し出されて、自分の搭乗する機体が熱気に包まれたバンコクに向かっていることを改めて思い起こさせてくれます。
明るい笑顔で気軽に話しかけてくれる客室乗務員の存在と、快適な乗り心地に加え、LCCならではの気軽に乗れる運賃。また近いうちにぜひスクートに乗って旅に出たいと思わせてくれました。
スクートのホームページ
⇒http://www.flyscoot.com/jp/