旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2015年12月22日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

進化し続けるターキッシュ エアラインズ

ターキッシュ エアラインズのエアバスA330zoom
ターキッシュ エアラインズのエアバスA330

半年ぶりにターキッシュ エアラインズ便に搭乗する機会に恵まれました。

わずか半年の間に主力の国際線のサービスが大きく変わることは少なく、今回は違いを実感するのが難しいと思っていました。その予想が嬉しい誤算で外れ、進化を体感することが出来ました。
ターキッシュ エアラインズで冬ダイヤとなった現在の日本線の機材はエアバスA330が主力です。

時刻表上22:25発のTK53便は、23時の成田空港の門限を意識してか早めの22:00発に変更となりました。
この時間の出発は、ホノルル線も終わって空港全体での最終便になります。
会社帰りに出発できるのは、羽田空港だけではありません。

定時まで仕事をし、軽い食事を摂り成田空港に着いたのは21時前でした。
チェクインカウンターには誰もいませんでしたので、手続きがすぐ終わります。
続く保安検査場と出国審査場ともに旅客はおらず、ここまでストレスフリーな環境は初めてでした。
この時間帯の出国は本当にお勧めです。

落ち着いた色合いに変わったシートカラーzoom
落ち着いた色合いに変わったシートカラー

当日は、ダッシュ300型の機体番号TC-JOHが飛来しました。今年5月に受領したばかりの新しい機体です。ピカピカの胴体が夜の成田空港で、翌朝の稼働を待つ他社機の隣で出発前準備に慌ただしい活気のある様子をみせています。

機内に足を踏み入れた時にすでに違いが感じられました。シートの配色が変わっています。 
トルコを連想させる華やかなライトブルーのシート地は深い色のブルーに、ヘッドレスト部分は7色から赤と紺色の2色に変わり、落ち着いた色彩になりました。

座席に座ってみると、インフライトエンターテイメント(IFE)の進化もわかりました。
画面が大きくなり、情報がすっきりとして見えて、操作し易くなっていました。

一番の進化が見られたインフライトエンターテイメントzoom
一番の進化が見られたインフライトエンターテイメント

ホーム画面では、便名や行き先に加え、自分の座席番号も表示されパーソナル感がでています。
二つの視点の機外カメラもあり嬉しくなりました。

所要時間と経過時間がバーになって動いていきますので、現在時刻とともにあと何時間で到着かがすぐにわかります。
そしてまん中には航路マップが表示され、飛行場所が特定できます。
搭乗していて一番必要な「今どこにいて、あとどれくらいで着く」情報が一つの画面で全て把握できる優れものです。

客室のコンパートメント前方壁面には、大型モニターが中央部と中型のものが左右に配置されており、映画を見ていても、視線を上げればすぐにマップが見える環境でした。

モニターの横には、「WiFi」の文字と、「Live TV」と書かれたサインがあり、衛星を使ったインターネット環境とテレビ視聴ができることを表しています。

IFEは「PLANET」と呼ばれ、300本以上の映画、400本以上のテレビ番組と700以上の音楽アルバムに加え、17種類以上のゲームが備えられています。

特に女性に嬉しい往復で内容の変わるアメニティzoom
特に女性に嬉しい往復で内容の変わるアメニティ

エコノミークラスでアメニティがあることも珍しいのですが、そのケースと中身も変わりました。
往路はフランスのブランド「INSTITUT KARITE」で、復路はスイスの「Chopard」のポーチにそれぞれのブランドのリップバームまで入っています。
スリッパが別になっていたものが、ケースの中にコンパクトに収まりました。滑り止め付きの靴下もありますので、プレミアムエコノミークラスを思わせる充実度です。

メニューがあるのも変わらず、機内食への期待がたかまります。
機内食は、トレー自体は小さくなったものの、量は変わっておらず、密度が濃くなった印象は悪くありません。機体重量も軽減されて、エコですね。
前回同様、味は充分満足のいくものでした。

以前無かった小さな容器に入った水がトレーに置かれているのも乾燥する機内には嬉しい配慮です。
それでいてペットボトルの水が無くなった訳ではなく、しっかりと配られていました。

映画「海難1890」を紹介する記事zoom
映画「海難1890」を紹介する記事

機内誌を見ていて、「海難1890」の記事を見付けました。

トルコでは、12月25日から封切りになることと、映画の題名は「エルトゥールル1890」なのがわかりました。
日土協同制作なので日本で話題の映画が、トルコでも有名なことは頭では理解できても、なかなか実感がわきません。
それを機内誌で8ページにわたって紹介されていました。

今夏封切りとなった「HERO」があったので鑑賞することにしました。
見逃した映画が急に見れることになると、とても嬉しいものです。

2回の食事の間食として飲み物とスナックが用意されています。
以前はギャレーに置かれていたものが、新型機では機内最後部の両側のお手洗いの前に棚が設置されており、そこに並べられていました。

ギャレーは乗務員が忙しく働く場所ですので、別の場所にあったほうが、動線としてはすっきりしています。色々な面で、進化を体験できて有意義でした。

昼間便との違いは、睡眠時間の違いでしょう。夜間便では、運航時間の全てが夜になります。
時刻表上4時25分の到着ですが、早着で3時過ぎには着陸しました。

フライングシェフと笑顔の客室乗務員さんzoom
フライングシェフと笑顔の客室乗務員さん

日本では、暗いターミナルビルで静かに乗り継ぎ時間を過ごすことになりますが、イスタンブールでは、ほぼ全ての店舗が開店していますので、その時間を有意義に過ごせます。

欧州のような遠距離ではフライトタイムが長く、現地での滞在時間が少なくなる傾向ですが、夜間便を利用することで効率的な移動ができますので、観光にも、ましてやビジネスではかなりの威力を発揮します。

短距離での夜間便はきついと思いますが、長距離になれば、機内での過ごし方は睡眠が多くなりますし、到着してからすぐ眠る時間になることは、身体には楽でも、有効的な過ごし方ではありません。今回は、体験してみて時間を有効活用できることを再認識しました。

ターキッシュ エアラインズは、就航国数111を数え、世界一です。
早朝に到着し、世界各地へ飛び立てる優位性が発揮できる時間だと思えたいい旅でした。

進化し続けるターキッシュ エアラインズのイスタンブール経由で、次はどこへ行こうか考えるのもまた楽しみです。

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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