旅の扉

  • 【連載コラム】地球に優しい旅しよう!
  • 2015年3月24日更新
自然と動物好きなトラベルジャーナリストの旅コラム
travel journalist:平野 美紀

息を呑むほど美しい、星降るウルル

星が煌めく夜明け前のウルルzoom
星が煌めく夜明け前のウルル
地平線がどこまでも続き、見渡す限りの荒野に忽然と現れる大きな赤い岩山。その姿を目にした人たちから、「大地のへそ」とも言われる『ウルル』。

オーストラリアの世界遺産の中でも、1、2を争う人気スポット『ウルル – カタジュタ国立公園』。その最大の見どころは、エアーズロックとも呼ばれる“世界最大級の一枚岩”『ウルル』と、古来からそこに住む人々から“たくさんの頭”と呼ばれてきた『カタジュタ』です。

何度行っても飽きることのないこの場所は、壮大な地球の歴史が生んだ奇跡の絶景!
見上げれば降ってきそうなど、たくさんの星たちzoom
見上げれば降ってきそうなど、たくさんの星たち
巨大な地球の創造物ウルルで、星降る夜を

北半球に比べて人口密度が少なく、空気が澄んでいるため、都市部を離れれば、どこでも美しい星空を望むことができるオーストラリアですが、とくに素晴らしい星空が広がっているのが、アウトバックと呼ばれる内陸部の荒野です。内陸部は人口がさらに少なく、光害はほとんどない上、乾燥していて晴天率が高いため、高確率で満天の星空を見ることができるのです!

そのアウトバックの中でも、他では見られない、とっておきの星空が見られるのが、ウルルである、といっても過言ではありません。

頭上には、今にも落ちてきそうなほどの満天の星空。その数えきれないほどの星に包まれるように、黒いシルエットとなって目の前に聳える巨大な地球の創造物ウルル。神々しいその姿に、思わず身震いしてしまうほどです。
徐々に明るくなり、空が様々な色のグラデーションで彩られるzoom
徐々に明るくなり、空が様々な色のグラデーションで彩られる
夜明け前のウルルから、大地のパワーをもらう!

果てしなく続く地平線から昇るアウトバックの太陽。それは、他のどこで見るよりも大きく、そして、赤く輝いています。その大きな太陽の光がに照らしだされ、少しずつ紅く染まりはじめる巨大な地球の創造物。その刻々と変化する岩肌の色を愉しむサンライズこそ、ウルル観光のハイライト。そう、たしかにサンライズとサンセット(日の出と日没)は、ウルル観光で、絶対外せない最大の見どころといえるでしょう。

ですが、魂を揺さぶられるほど感動するのが、朝日が昇る寸前!

満天の星が煌めき、紺青に染まっていた空が、東の方から徐々に薄いブルーに変わり、空は、青~紺のグラデーションに彩られます。そして地平線が紅く染まりはじめ、空が少しずつピンクから薄紫色のグラデーションへと変化していく瞬間、夜空の星たちが一瞬だけ輝きを増し、ウルルのシルエットをくっきりと浮かび上がらせるのです!

その瞬間、静寂が辺りを包み込み、大地のうなりが聞こえそうなほどの静けさの中で、地球にぽつんと佇む一人の人間=自分の存在を感じるのです。この瞬間は、わずか数十秒。大地からパワーを受けとった、と感じる瞬間――
朝陽が地平線から顔を出した瞬間!zoom
朝陽が地平線から顔を出した瞬間!
太陽は、地平線から顔を出そうとしてどんどん昇ってきますので、空が完全に明るくなり始めると、星たちは、みるみるうちに姿を隠してしまいます。ボゥーっとしていたら、気づかずに過ぎてしまう奇跡のような一瞬!

※日の出を見に行くサンライズ・ポイントには、大勢の見物客が押し寄せるため、見る場所をよくよく考えないと、ちょっと難しいかもしれません…(好みの問題もあると思いますが、個人的におすすめなのがサンセット・ポイント)
神々しい光が照らしだすカタジュタzoom
神々しい光が照らしだすカタジュタ
清々しい風が吹き抜ける、早朝の カタジュタ“風の谷”

朝陽がウルルを照らし出し、その岩肌を紅く染めていく頃、90キロほど離れたカタジュタも、その複雑な形の奇岩を徐々に紅く染めていきます。

アボリジニの言葉で“たくさんの頭”と呼ばれるカタジュタ。そのボコボコとした奇妙な形状の合間は、“風の谷”と呼ばれ、ウォーキング・コースが作られています。荘厳なウルルのサンライズを見た後は、ぜひ、朝日が昇ったばかりの、清々しい風が吹き抜けるカタジュタをゆっくりと散策してみてください。

そこでは、朝陽を浴びて一斉に活動を始めた鳥たちの声と共に、岩山の間を通り抜ける風と緑の木々のささやきを聴くことができるはず……
清々しい早朝の“風の谷ウォーキング”は、本当に気持ちがよくて、超おすすめです。
国立公園のレンジャーによる無料ウォーキング・ツアーzoom
国立公園のレンジャーによる無料ウォーキング・ツアー
ウルル登山を考える

ウルルでは、サンライズを見た後に、ウルルに登る、いわゆる「ウルル登山」人気ですが、古来からその地で暮らしてきたアボリジニの人々は、ウルルには登りません。そして、ウルルに登ろうとする観光客に向けて、「Please don’t climb Uluru(ウルルに登らないでください)」と呼びかけています。彼らの土地にお邪魔しているですから、彼らのルールに従い、敬意を払って行動したいもの。ぜひ、こちらのコラム 「ウルル(エアーズロック)に登るということ」 をご一読いただき、一緒に考えてみてください。

ウルルの登山口ともなっているマラ・ウォークでは、国立公園のレンジャーがガイドしてくれる無料ウォーキング・ツアーも催行されています。早朝の大地のパワーを感じながら、ウルルやカタジュタの周りをゆっくり歩いて、太古の地球に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

ウルル – カタジュタ国立公園の概要や世界遺産の登録内容、行き方、そして “エアーズロック”と呼ばれていたワケなどを以下の記事でまとめてみましたので、あわせてどうぞ♪

【オーストラリアの世界遺産】ウルル – カタジュタ国立公園
travel journalist:平野 美紀
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。
トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆やラジオ出演などの傍ら、
旅行情報サイトも運営。目下の関心事は、野生動物とエコ。
個人ブログ:http://tabimag.com/blog/
海外旅行情報サイト「@-Waveたびまぐ」:http://www.tabimag.com/
オーストラリア旅行情報サイト「オーストラリアNOW!」:http://australia-now.info/
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