トラベルコラム

  • 【連載コラム】トラベルライター岩佐 史絵
  • 2015年1月9日更新
贅沢☆旅スタイル
Writer:岩佐 史絵

おこもりステイのすすめ<その2>福岡へ、GOD HANDSに会いに行く

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モダンにデザインされた部屋は本当に居心地がいい
 ゔあああああ! 疲れたぁぁぁぁぁっっっっっ!! と叫びたくなる衝動に駆られたら、旅に出よう。人間関係にオーバーワーク、日ごろの些末なストレスも、溜まりに溜まってしまう前に、替えの下着とお化粧ポーチだけを持ってさっと出かけられる国内旅行がおすすめだ。「旅だって疲れちゃうじゃないのよ」そんなあなたにおすすめしたいのが、おこもり&癒し旅。というか、福岡県にあるアゴーラ福岡山の上ホテル&スパ(http://agorafukuoka-hilltop.com)がおすすめだ。
 というのも、ここではなんと! GOD HANDSと異名をとるセラピスト、仙頭和子氏の施術が受けられるのだ。「仙頭和子さん? どなた?」という方も多いかもしれない。なにしろ彼女は海外のトップクラススパで有名なセラピストさんで、活動拠点は主に海外。知る人ぞ知る人物なのである。アジアを中心に事業展開する高級リゾート、Six Sensesの専属セラピスト、そしてスパトレーナーとして長年世界各地で活躍してきた仙頭氏。近年日本に帰国し、一昨年リニューアルオープンしたこのアゴーラ山の上ホテル内の「ヒルトップスパ」専属セラピストとして、今度は日本人を癒しまくる。
室内に案内されると、すでに選んだパジャマがセットされていた。子どもパジャマは男の子に着せたらさらに萌えるだろうな~zoom
室内に案内されると、すでに選んだパジャマがセットされていた。子どもパジャマは男の子に着せたらさらに萌えるだろうな~
 そんな仙頭氏のGOD HANDSに会いに、福岡のダウンタウンからわずか15分ほどの小高い丘の上に位置するアゴーラ山の上ホテルへ。空港からタクシーで30分ほど、というアクセスの良さも魅力だ。
 広々としたエントランスからレセプションへ。さんさんと日光が入り明るいロビーでのチェックインは、ここからすでにのびのびとした気持ちになる。ソファに腰を下ろしたところですぐにお茶が運ばれてきた。「今日はストロベリーグリーンティーです♪」。聞けば、季節に合わせたフレーバーティーでお客を出迎えるそう。日本のシティホテルでウェルカムドリンクをいただくことはめったにないので、ここで期待値がぐんと上がる。「そろそろイチゴのシーズンですものね~」なんて、会話もほっこりする。

ところで、今回もまた、6歳の娘も一緒のチェックインである。必要書類を書き込んでいると、スタッフさんが再びやってきて、パジャマの好みを聞いてくれた。こちらでは4色からお気に入りの色のパジャマを貸してくれるサービスがあるのだ。手遅れながら女子度を上げようとピンク色を選ぶあたくし。娘には白地に紺のライニングがついた、なんとなくウィーン少年合唱団を思わせる萌え萌えなパジャマを貸してくれた。子ども用は男女の別がないようである。
 「山の上ホテル」というだけあって、室内からは福岡の市街地を一望。これだけダウンタウンに近いのにまったく喧噪から離れた別世界。この開放感、おこもりには最適だ。
ほかのお客様がいたら大変なのでお風呂の写真は撮れないから、代わりにヒルトップスパの内装をばzoom
ほかのお客様がいたら大変なのでお風呂の写真は撮れないから、代わりにヒルトップスパの内装をば
 だがあまりのんびりしてはいられない。ここには大浴場があり、宿泊者はもちろんスパのみの利用者でも無料で利用できるのだ。しかも、天然の温水ということでお肌がやさしくすべらかになると評判の湯。宿泊している我々としては寸暇を惜しんで入りまくるしかあるまい。景色を楽しむのを切り上げ、スパの予約時間までの間を利用していそいそと浴場へ向かう。チェックインタイムがちょっと遅めに設定されていることもあり、昼間の時間帯は貸し切り状態。窓一面に広がる緑のプチガーデンも目に優しい。朝はまだ東京にいたのにな~。わずか数時間でこのギャップ。まさにアーバンリゾートだな、博多。誰もいないのをいいことに、うっかり鼻歌も漏れるというもの。子連れゆえ、歌の内容が『歌えバンバン』とかだったりするのはまぁご愛嬌ということで。
室内にセットされたスパ用ベッド。博多の街を一望し、こちらも明るく開放感たっぷりzoom
室内にセットされたスパ用ベッド。博多の街を一望し、こちらも明るく開放感たっぷり
 部屋に戻ると、すでにスパベッドが用意されていた。施術中も娘と一緒にいられるように、と室内でのトリートメントにしてくれたのだ。こちらからお願いしなくても細やかな気配りがされているところがニクい。着いた時から感じていたアットホームなホスピタリティがここでも感じられた。
アロマオイルが焚かれ、いい香りが広がる室内。スパベッドは景色のいい窓辺に置かれ、まさにトリートメントルームと化した。事前に行ったカウンセリングに従い、仙頭氏による施術が始まる。普段からパソコンどっぷりでひどい肩こりゆえ、肩周りを中心にじっくりと。音楽はかけてもかけなくてもよく、ぽつりぽつりと世間話をしながらのトリートメントだ。仙頭氏によると、日ごろのストレスを吐き出してしまうこともトリートメントのひとつ。「グチでもかまいませんよ~、ぜんぶすっきりして行ってください!」とのこと。“癒し”という言葉の意味がじんわりと心に染みる。施術の技術もさることながら、この温かいお人柄もまた、仙頭氏の魅力のひとつだ。
重たかった肩がだんだん軽くなり、全身の力が自然に抜けてうとうと眠ってしまいそうにまったりしてきたころ、トリートメント終了。室内でマッサージサービスなどを受けるとふつうのベッドの上でそのまま、ということが多いが、ここではスパ用のベッドを持ち込んでくれるので、スパに行ったのと同じ効果が得られる。そのうえ、終わったあともバスローブのまま人目を気にすることなく室内で引き続きゆっくりできるのがうれしい。そのまま昼寝もOK、再度大浴場に突入もOKだ。でもせっかくトリートメントのオイルが肌に浸透するまではとりあえずまた福岡の景色でも眺めつつのんびりしたい。※客室内トリートメントはヒルトップスイートのみ
天ぷらひとつをとってもただ揚げてあるのではなく、一工夫加えてあるzoom
天ぷらひとつをとってもただ揚げてあるのではなく、一工夫加えてある
夕食の前にまた一風呂浴びて、さっぱりしたらロビー階にある日本料理店『暦』へ。石造りの内装にテーブルとカウンター席。和風でありながらモダンな印象だ。地元の人にも愛されているそうで、スパ+お風呂+レストラン、というマダムなご利用客も多いそう。う……うらやましいぞ、福岡人。
さて、肝心のお料理だが、大人のセットメニューのすばらしさはもちろんのこと、娘には子ども用のセットを作ってくれたのに特に感激した。お膳にはハンバーグやから揚げ、茶わん蒸しに俵のおむすびなどがちんまりと盛られ、デザートの和菓子も子どもの一口サイズにつくられたお団子などがかわいらしい。「ママにも一口~」とお願いしたがスルーされた。さぞやおいしいのに違いない(泣)。
いやしかし大人のセットメニューもかなりのものなので、娘の分までいただくなどというのはよくばりすぎというものであろう。出てくる品々は『暦』という店名が表すとおり、季節感にあふれた逸品ぞろい。脂が乗ってとろりと甘いお刺身、身体の暖まる根菜と鶏のスープや旬の野菜のてんぷらなど、どれをとっても「ああ、冬っていいなぁ」と思わせる。いや、きっと夏に来たら「VIVA! 夏っ」と心底思うのだろうけれど。いずれにせよ、その季節に季節のものを最高の形でいただくというのは究極に贅沢なことだと実感する。
仙頭和子さんと日本でお会いできるとは! GOD HANDSはますます磨きがかかっておりましたzoom
仙頭和子さんと日本でお会いできるとは! GOD HANDSはますます磨きがかかっておりました
こもると決めたらとことんこもる。街の灯りを眼下に見つつ、娘と一緒に本を読んだりDVDを見たり。普段あまりかまってあげられないから、たまにはこんな時間を過ごすのも一興だ。朝風呂に入りたいので早起きする気満々ゆえ、娘とともに自分も早い時間に床に就く。GOD HANDSによるトリートメントで全身(心も!)の凝りをとり、お風呂の天然温水でお肌はつるつる、旬のおいしいものをたらふく食べて早く床に就く。身も心も満たされて、翌朝はゆでたまごのようにつるんとした気持ちで迎えることができたのであった。


アゴーラ福岡山の上ホテル&スパURL → http://agorafukuoka-hilltop.com/
Writer:岩佐 史絵
旅に貴賎なし! 旅をしていないと血中旅度が下がってお腹が痛くなってしまうほどの旅好きが高じてトラベルライターに。ONもOFFも旅一色。妊娠中も子育て中も闘病中も行きたいところには必ずでかける体力自慢。著書『人生のサプリを見つける旅ガイド』(ソニーマガジンズ刊)ほか。
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