旅の扉

  • 【連載コラム】coffee x
  • 2014年11月28日更新
旅先のカフェで想うこと
カフェエッセイスト:ベルナドン(安齋)千尋

Coffee x ふたりめのサンタさん

かわいすぎるエピソード
Chihiro, I like Sinterklaas and Pakjesavond!!
私が小さいときはね、近所のおうちで示し合ってわざと窓をノックするの。その音にズワルトピートがきた!って姉と飛び上がってほんきでどきどきしたのよ。シンタクラースがいないって聞いたときほんとうに悲しくて泣いちゃったわ。
…私の会社のインターンのJPちゃんの話。顔を赤くしてたびたび英語とオランダ語が混ざりながら真剣に話す姿もまたかわいい。

シンタクラース(Sinterklaas)
スペルミスではなくてオランダにはサンタさんそっくりのシンタクラースさんがくるのです。St.Nicolas dayとも呼ばれるそうで、でも格好はすっかりサンタさん。毎年11月の半ばにわざわざ船にのってスペインからくるシンタクラースさん。
船の先頭に立って大きな本と杖をもっているのですが、今年は雨で傘も持ってるhahaha
大きな本の中には子どもたちの名前が書かれているそうで、良い子にだけプレゼントをくれます。
アムステルダムに到着してから12月6日まで、街中を馬でパレードするシンタクラースさん。この期間こどもたちのいいこっぷりがおもしろいらしいのです。良い子にはシンタクラースさん出発前夜の12月5日のpakjesavont(St. Nicolas Eve)にプレゼントが置かれているのですって。
というわけで、アムステルダムに住み始めてから、私はこのふたりめのサンタさんの到着をとても楽しみにしています。

それからおとものズワルトピート(Zwart Peat)このまま訳しても”黒いピート”。
おともだから悪者ではないのに、ちょっと素直に怖い見ため。察しがつくように”おとも”と黒人の関係をとりあげての人権問題は毎年オランダのニュースになります。ピートの顔が黒いのは煙突の灰がついたから、とかst. nicolasが助けた奴隷がエチオピア人の黒い肌の男の子で、彼がおともになったとか。いずれにしても私には子どもたちがクリクリのパーマ(天然だったり偽物をつけてたり)と顔を黒く塗っておしりと手を振ってシンタクラースの歌をうたっている姿がかわいいから、きっと奴隷のない時代に生まれたら偏見なくどっちもかわいいと思ってくれるような気がするのでした。そして肌の色や言葉が違うから海外に住むことはおもしろいのだと日々感じています。

今年は、シンタクラースさんに合わせて心待ちにしていた人が遊びにきてくれたのでした。Londonで出会ったミラクルフレンドのASちゃん。coffee x AS は一度に書ききれないけど、Londonでいちばんはじめにパン屋さんカフェの仕事を始めたときに同僚だったASとは、いろんなかわいいカフェを一見つけにいったこと、ハプニングだらけの旅にでたこと、おうちパーティ、私のヨーロッパでの生活の楽しいことはいつも一緒です。

とびきりのプレゼントの到着で、今朝はうちカフェ。
オランダ名物のDutch Pancake = Pannnennkoeken のブレックファースト。
パンネンクーケンていう発音もかわいいことながら、ASと作るとポップな仕草に笑いが絶えないのでした。革命的な方法でホイップクリームを泡立て始める。タッパーに入れて振ってみる。締まりきれてなかったのでちょっと飛び散りながらも、結果的には成功して大喜びで写真をとる。素っぴんの写真を見ながら、また大笑い。今パンケーキを食べたばかりなのにダイエットを誓う。なぜなら、、かつて私はキューティ&ブロンディASちゃんだったのに、見てこの写真!いつのまにか醜いゴブリンみたいになっちゃった…からだって hahaha
かわいい小さめのパンネンクーケンに、チョコスプレーや、レモンとグラニュー糖で苺をレンジ温めたジャム、パウダーシュガー、ありとあらゆるトッピングをしてみるhappy breakfast。

シンタクラースの日が近づくとスーパーで売られるペパノートン(Pepernoten)という小さいクッキーをおみやげに買って、彼女は週末のミニトラベルをして帰っていきました。私もおうちに送ります。
いつかきっと二人の旅bookができたらいいね。





ペパノートン専門店
http://www.pepernotenfabriek.nl

カフェエッセイスト:ベルナドン(安齋)千尋
When you direct is the only time you get to have the world exactly how you want it – Sofia Coppola.

1984年東京生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業
フランス在住コラムニスト、本業はサーキュラーエコノミーコンサルタント

外国で生活することに憧れ、どこにいても埋もれないようにと、京都にある柊家旅館で仲居をしながら日本を修行しました。2010年ロンドンに始まり、たくさんの宝物の出会いを経て、現在フランスはパリから5時間の小さな村に住んでいます。日々の幸せはカフェにあり。コーヒーを飲みながら、季節のこと、映画のこと、やっぱり気になる国際政治、暮らすように旅をする、をテーマに日常のキラキラした瞬間を書き留めています。
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