旅の扉

  • 【連載コラム】地球に優しい旅しよう!
  • 2014年5月6日更新
自然と動物好きなトラベルジャーナリストの旅コラム
travel journalist:平野 美紀

シドニーから…美しい天の川がかかる、忘れ去られた緑の渓谷へ

忘れ去れられた渓谷「キャパティー・バレー」にかかる天の川zoom
忘れ去れられた渓谷「キャパティー・バレー」にかかる天の川
黄色みを帯びた岩肌をみせる岩壁の谷間に、ひっそりと佇む深い緑の森。
その上空には、夜になると数えきれないほどの星々が燦然と輝きはじめます。

一筋の道のように見える、くっきりとした天の川。
その中で光り輝く南十字星。
それはまるで、渓谷の谷間を結ぶ橋のようです。

世界で二番目に大きな渓谷でありながら、その場所は人々から忘れ去られ、今では訪れる人はほとんどいません。ですが、人間が忘れてしまっても、雄大な渓谷では、朝に晩に、壮大な大自然のドラマが繰り広げられているのです!
世界遺産地区の一角にあり、世界第二の規模を誇るキャパティー・バレーzoom
世界遺産地区の一角にあり、世界第二の規模を誇るキャパティー・バレー
緑のグランド・キャニオン

その世界第二の渓谷は、オーストラリア第一の都市・シドニーの北西約135km、世界遺産エリアの一角にありました。

総面積86,200ヘクタールにもおよび、7つの国立公園を含む、広大な地域、世界遺産『グレーター・ブルーマウンテンズ地域』。その7つの国立公園のうちの「ウォレマイ国立公園」と「ガーデンズ・オブ・ストーン国立公園」に囲まれた場所にあるのが、世界第二のキャニオン(渓谷)『キャパティー・バレー』です。

谷間にひっそりと佇む、かつてのガソリン工場zoom
谷間にひっそりと佇む、かつてのガソリン工場
オーストラリア最大で、世界で二番目に大きな渓谷

キャパティー・バレーは、アメリカの「グランド・キャニオン」より、1 kmほど長く、幅も広いのだそうです。この渓谷は、何千万年もかけてキャパティー川が削りだしたもの。谷間は、深い緑に覆われ、ところどころに黄色がかった砂岩の岩壁をみせています。
その昔栄えた採掘場で働いていた人々の住居は廃墟に…zoom
その昔栄えた採掘場で働いていた人々の住居は廃墟に…
忘れ去れられた渓谷

キャパティー・バレーは、その昔、先住民アボリジニのウィランジュリ族が暮らしていました。アボリジニの人々が追いやられた後、入植してきた西洋人によって、この地に眠るシェールオイルが発見され、採掘場として、多くの人々がこの地で暮らすようになり、大戦中はガソリンを製造していたそうです。しかし、生産量は乏しく、終戦と共に人々はこの地を去り、いまでは廃墟に…
ひっそりとした森でのキャンプもオツなものzoom
ひっそりとした森でのキャンプもオツなもの
ですが、失われた時は、素晴らしい自然を育みました。



渓谷を覆い尽くす森には、色鮮やかな鳥たちが舞うzoom
渓谷を覆い尽くす森には、色鮮やかな鳥たちが舞う
人間が去り、いまや手付かずとなったため、太古の昔からこの地で育まれてきた生態系が回復。植物が鬱蒼と生い茂る森に生息する生き物たちにとってはパラダイスに!

中でも野鳥の宝庫として、他ではなかなか見られない珍しい野鳥たちがたくさん生息しているため、最近では、知る人ぞ知るバードウォッチング・スポットとして脚光を浴び始めました。国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル」も、キャパティー・バレーを“重要な場所”として位置づけしているほどです。

人間に忘れ去れた雄大な自然が広がる、世界第二の渓谷「キャパティー・バレー」。

森に響き渡る鳥たちのさえずりと、くっきりと天の川がかかる満天の星空を見にでかけてみませんか?

キャパティー・バレーへの行き方やその他詳細は、以下の記事でお読みいただけます♪

忘れ去られた世界第二の渓谷 キャパティー・バレー :シドニーの旅
travel journalist:平野 美紀
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。
トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆やラジオ出演などの傍ら、
旅行情報サイトも運営。目下の関心事は、野生動物とエコ。
個人ブログ:http://tabimag.com/blog/
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オーストラリア旅行情報サイト「オーストラリアNOW!」:http://australia-now.info/
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