旅の扉

  • 【連載コラム】「“鉄分”サプリの旅」
  • 2026年9月4日更新
共同通信社 経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員:大塚圭一郎

トレ活も、人気キャラも、国技も、フレグランスも「推し活」を!

△「しろくま」の写真パネルを持つ俳優の大原優乃さん(大塚圭一郎撮影)zoom
△「しろくま」の写真パネルを持つ俳優の大原優乃さん(大塚圭一郎撮影)

 好きな鉄道を乗り歩くトレ活や、お気に入りのキャラクターを応援するキャラ推しなど「推し活」が花盛りとなっている。そんな推し活の一部を体験すべく、東京都内などを歩き回って追い求めてきた。

△富士山麓電気鉄道富士急行線で運行が始まった「サンエックス パラダイス開業記念号」(富士急行提供)zoom
△富士山麓電気鉄道富士急行線で運行が始まった「サンエックス パラダイス開業記念号」(富士急行提供)

 ▽絶叫マシンではないものの「結構な迫力」
 世界で人気を集める日本発のキャラクターの代表格である「リラックマ」や「すみっコぐらし」、「たれぱんだ」などの世界観を楽しめるエリア「サンエックス パラダイス」(ⓒ2026 San-X Co., Ltd. All Rights Reserved.)が遊園地「富士急ハイランド」(山梨県富士吉田市)に2026年8月1日開業した。9月18日に創業100周年を迎える富士急行が、約6500平方メートルのエリアを約25億円投じて開設した。
 バイク型ライドコースター「ZOKKON(ゾッコン)」などの絶叫マシンのイメージが強い富士急ハイランドだが、今回は「富士急ハイアウトに新たな魅力を加える、キャラクターの世界に入り込んだような新しい施設にした」(富士急行の早川次郎宣伝部長代理)という小さな子供を連れたファミリーにもうってつけのエリアだ。サンエックスのキャラクターが豊富に潜んでおり、サンエックスは「推しのキャラクターを見つけてほしい」と呼びかける。
 目玉となるのは新設された二つの屋外アトラクションで、うち振り子型で船の形をした「リラックマのまくまくスイーツバイキング」に乗った。リラックマや「キイロイトリ」が一緒に乗って航海するという設定で、定員は32人。
 富士急行社員が「絶叫マシンではないものの、結構な迫力を楽しめますよ」と教えてくれたためわくわくしながら“乗船”した。

△富士急ハイランドの「リラックマのまくまくスイーツバイキング」(大塚圭一郎撮影)zoom
△富士急ハイランドの「リラックマのまくまくスイーツバイキング」(大塚圭一郎撮影)

 ▽元JR東日本の通勤電車も“変身”
 荷物を専用ロッカーに預け、向かって一番右側の席を確保した。波を乗り越えるような揺れをできるだけ味わいたかったからだ。
 「森のくまさん」の音楽に合わせて前後に動き出し、最も大きく振れたときにはジェットコースターが下り坂を突進するような爽快感に満たされた。
 約2分間の“乗船”体験を終えて係員に「結構迫力がありましたね」と話すと、係員は「迫力を楽しみたかったら、反対側に乗るともっと角度が付くのでお薦めですよ」と教えてくれた。そこで再び列に並び、今度は向かって一番左の席を確保。係員の言葉通り、さらなる迫力体験が待ち受けていた。
 したがって、“迫力MAX”を追求している来場者は一番左へ向かい、怖さを低減したい人は振れる角度が小さい真ん中の席を選ぶといい。富士急ハイランドは入場無料で、「リラックマのまくまくスイーツバイキング」は800円で利用できる(ワンデイパスならば無料で利用可能)。
 エリア内にはアメリカンダイナーの雰囲気にした約520平方メートルのレストランもあり、「リラックマのまくまくカレー」(税込み1800円)や「たれぱんだのカルボナーラ」(同1500円)といったキャラクターを取り込んだメニューを用意している。店内に140席、テラス席は40席がある。
 エリア誕生を記念し、富士急ハイランド駅を経由して大月(山梨県大月市)―河口湖(同県富士河口湖町)を結ぶ富士山麓電気鉄道富士急行線では3両編成のステンレス製電車6000系にサンエックスのキャラクターを装飾した「サンエックス パラダイス開業記念号」の運行が9月1日に始まった。期間は27年2月までの予定。
 この車両は、元JR東日本の通勤電車205系を改造している。かつては通勤や通学に利用していた電車が“変身”し、リラックマや「すみっコぐらし」などのキャラクターに包まれた癒やしの空間に変わっているのは興味深い。

△東京タワーフットタウン5階のライブエンターテインメント施設「東京相撲部屋娯楽」(大塚圭一郎撮影)zoom
△東京タワーフットタウン5階のライブエンターテインメント施設「東京相撲部屋娯楽」(大塚圭一郎撮影)

 ▽東京タワーで国技館気分も
 日本発のコンテンツと言えば見落とせないのが、国技の相撲だ。JR総武線両国駅前の国技館(東京都墨田区)よりも手軽に、しかしながら東京の代表的な名所で相撲の取り組みを観戦できるのが、高さ333メートルの東京タワー(東京都港区)の直下にある商業施設「東京タワーフットタウン」の5階に8月12日全面開業したライブエンターテインメント施設「東京相撲部屋娯楽」だ。ホテル運営などを手がけるクロノスガイヤ(北海道栗山町)が設け、同様の施設は札幌市に次いで2番目。
 和食御膳を味わいながら元力士によるけいこや塩まき、相撲の取り組みを観戦できる約1時間半のコース。元力士が餅つきをして見せたり、参加者が挑戦する「チャレンジ相撲」を用意したりもしている。座席の目の前にしつらえられた土俵で、元力士同士がぶつかりながら手に汗を握る真剣勝負を繰り広げる。
 2025年に4268万3600人と初めて4千万人の大台を超えたインバウンド(訪日客)を意識したプログラムになっているものの、大相撲の基礎的な知識を教えてくれ、質問もできる。このため、クロノスガイヤは「日本のお客様にも日本文化の魅力を再発見していただける」と胸を張る。
 座席は計177席。和食御膳のほかに第63代横綱・旭富士公認のちゃんこ鍋を付いてくるプランもあり、大人1人当たりの料金は1万6千~2万5千円(税込み)。予約時に連絡すれば、追加料金なしで完全菜食主義者(ヴィーガン)向けのヴィーガンメニューに変更してもらうこともできる。

△「パンピューリ青山」の店内(大塚圭一郎撮影)zoom
△「パンピューリ青山」の店内(大塚圭一郎撮影)

 ▽香りによって五感をはぐくむ旗艦店
 香りによって五感をはぐくみ、体と心、魂の調和を最重視することを掲げているのがタイの首都バンコクに本拠を置くフレグランスブランド「パンピューリ」だ。運営企業ピューリは化粧品大手コーセーホールディングスの子会社となっており、直営店として日本初の路面旗艦店「パンピューリ青山」が東京・南青山に2026年8月28日オープンした。
 同じ8月28日にはパンピューリで初めてとなるアルコールフリー処方の瓶入りオードパルファム10種(10ミリリットルが1万1770円、50ミリリットルが2万5300円)も売り出され、これらの商品も店舗で試すことができる。店員は瓶でスプレー手首や首元に吹き付けるだけではなく、「髪の中間から毛先に軽くスプレーすると、動くたびに優しい香りが広がります」と助言してくれた。
 発売された商品には、ユズやバジルを配合したフローラルシトラスの香りの「ウィスパー オブ サン」(「太陽のささやき」の意味)や、ダイダイの花から水蒸気蒸留によって得られる精油「ネロリ」やレモンを使ったグリーンシトラスの香りの「ノー ワン イズ ウォッチング」(「誰も見ていない」の意味)、シスタスから採れる樹脂「ラブダナム」とヒノキを組み合わせた「ザ グラウンド リメンバーズ」(「大地は記憶する」の意味)などがある。
 2026年中にニュウマン横浜(横浜市)、「GINZA SIX」(東京都中央区)、グランフロント大阪(大阪市)にも出店する。パンピューリジャパンの杉崎洋代表取締役は「まずは主要な都市・エリアには3年後までにきちんと出していく計画で準備を進めています」と説明した。

△飲食店「黒ぶたや」で提供している「しろくま」(右)と「両棒餅(ぢゃんぼもち)」(大塚圭一郎撮影)zoom
△飲食店「黒ぶたや」で提供している「しろくま」(右)と「両棒餅(ぢゃんぼもち)」(大塚圭一郎撮影)

 ▽出身俳優が「宝箱」と評するご当地スイーツ
 最後は個人的に応援している地域の「推し活」となり、私の曽祖父の代までの出身地である鹿児島市だ。鹿児島の味を提供するキャンペーン「愛にいこう、かごしま。~東京で出会う、鹿児島の味力」が飲食店「黒ぶたや」の首都圏4店舗で2026年9月30日まで開催されている。4店はJR東日本グループの駅ビル「アトレ」の大井町(東京都品川区)、横浜(横浜市)、立川(東京都立川市)、大宮(さいたま市)に入居している。
 鹿児島のご当地スイーツとして有名なかき氷「しろくま」(880円)と、蒸した餅を仕上げに香ばしく焼き、甘辛いしょうゆだれに絡めた「両棒餅(ぢゃんぼもち)」(680円)を販売している。
 キャンペーンに合わせて東京都品川区でのイベントに登壇した鹿児島市出身の俳優、大原優乃さんは「しろくまは宝箱のようだと思っていて、彫れば彫るほどいろんな食材やスイーツ、フルーツが出てきて、最後まで飽きないのが魅力だと思っています」とアピール。両棒餅も「大好きで、ほっとする味でもあります」と魅力を訴えた。
 2025年には鹿児島県での講演のため3月と10月にうかがったが、残念ながら26年に入ってからはご無沙汰している。だが、27年度には鹿児島が生んだ偉人・西郷隆盛の生誕200年・没後150年を迎える。
 大きな節目を迎える鹿児島市を再訪するのを心待ちにしながら、今は住んでいる東京で「推し」の味覚を堪能することにしよう。
(連載コラム「“鉄分”サプリの旅」の次の旅をどうぞお楽しみに!)

共同通信社 経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員:大塚圭一郎
1973年4月、東京都杉並区生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。1997年4月に社団法人(現一般社団法人)共同通信社に記者職で入社。2013~16年にニューヨーク支局特派員、20~24年にワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。2024年9月から現職。国内外の運輸・旅行・観光分野や国際経済などの記事を積極的に執筆しており、英語やフランス語で取材する機会も多い。

日本一の鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を2013年度から務めている。東海道・山陽新幹線の100系と300系の引退、500系の東海道区間からの営業運転終了、旧日本国有鉄道の花形特急用車両485系の完全引退、JR東日本の中央線特急「富士回遊」運行開始とE351系退役、横須賀・総武線快速のE235系導入、JR九州のYC1系営業運転開始、九州新幹線長崎ルートのN700Sと列車名「かもめ」の採用、しなの鉄道(長野県)の初の新型車両導入など最初に報じた記事も多い。

共同通信と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS(よんななニュース)」や「Yahoo!ニュース」などに掲載されている連載「鉄道なにコレ!?」と鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」(https://www.47news.jp/column/railroad_club)を執筆し、「共同通信ポッドキャスト」(https://digital.kyodonews.jp/kyodopodcast/railway.html)に出演。

本コラム「“鉄分”サプリの旅」(https://www.risvel.com/column_list.php?cnid=22)、カナダ・バンクーバーに拠点を置くニュースサイト「日加トゥデイ」で毎月第1木曜日掲載の「カナダ“乗り鉄”の旅」(https://www.japancanadatoday.ca/category/column/noritetsu/)も執筆している。

共著書に『わたしの居場所』(現代人文社)、『平成をあるく』(柘植書房新社)などがある。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。東京外大の同窓会、一般社団法人東京外語会(https://www.gaigokai.or.jp/)の広報委員で元理事。
risvel facebook