旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2026年9月15日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

アフタヌーンティーで旅するカラフルなアジア ~『メズム東京』×『東博』のアフタヌーン・エキシビション

東京国立博物館・東洋館にて開催される「博物館でアジアの旅 カラフルアジア」の世界観を色と味わいで楽しむ、『メズム東京』のアフタヌーン・エキシビション。zoom
東京国立博物館・東洋館にて開催される「博物館でアジアの旅 カラフルアジア」の世界観を色と味わいで楽しむ、『メズム東京』のアフタヌーン・エキシビション。
9月に入り、少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。季節の変わり目には、なぜか旅のプランを考えるのが楽しみになると思いませんか。そんなとき、アジアや中東の色彩や味わいに触れ、旅する気分を味わえるアフタヌーンティーがあります。

場所は、これまで数々の名画や芸術作品をテーマにアフタヌーン・エキシビションを展開してきた『メズム東京、オートグラフ コレクション』。10月1日からは、『東京国立博物館』とコラボレーションした「“TOKYO WAVES”アフタヌーン・エキシビション チャプター18」の提供が始まります。
博物館の“来館体験”を料理で表現したメニューを、ひと足お先に試食会で味わってきました。

モダンラグジュアリーホテルと、日本で最も歴史の長い博物館とのコラボレーション
『メズム東京、オートグラフ コレクション』(メズム東京)は、東京・竹芝のウォーターフロントに立つモダンラグジュアリーホテル。バー&ラウンジ「ウィスク」で提供されるアフタヌーンティーがこれまでフォーカスしてきたのは、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」など。作品の世界観を忠実に再現し、芸術鑑賞の気分で楽しめる斬新かつ繊細なメニューは、“ヌン活”好きばかりか、美術展マニアの間でも評判になっています。

いっぽう、コラボレーションのパートナー『東京国立博物館』(東博)は、1872(明治5)年の創設。上野公園の一角に本館・平成館・法隆寺宝物館など6つの建物のほかに庭園・茶室もある、日本で最も歴史の長い博物館です。今回のプログラムは、メズム東京と同館が2025年の初コラボレーションから約1年を経て実現する待望の第2弾です。
アフタヌーン・エキシビションのメニューは、前菜とロングプレートに並ぶセイボリー&スイーツに、2種類のモクテルが付きます。zoom
アフタヌーン・エキシビションのメニューは、前菜とロングプレートに並ぶセイボリー&スイーツに、2種類のモクテルが付きます。
アフタヌーンティーで博物館体験&旅の気分も楽しめる、唯一無二のメニュー
メズム東京のアフタヌーン・エキシビション18作目になる今回は、東博の東洋館で毎年、秋に開催される「博物館でアジアの旅」の世界観に浸りながら、アジアを巡る気分になれるというもの。アフタヌーンティー、博物館の来館体験、さらにアジアを旅する気分も味わえる、一度で3倍楽しめる内容です。
「東洋美術を巡る旅」をコンセプトにしている東洋館は、1968(昭和43)の開館。建築家・谷口吉郎が設計を手掛け、中国、朝鮮半島、東南アジア、さらに西域、インド・エジプトなどの美術と工芸、考古学遺物などを展示しています。地下1階から地上5階の展示室を巡ると、年代をたどりながらアジアからエジプトまで旅する気分を味わえることが大きな特徴です。
東洋館・秋の恒例企画「博物館でアジアの旅」の今年の見どころについて語る、主任研究員の小野塚拓造さんと研究員の廣谷妃夏さん。zoom
東洋館・秋の恒例企画「博物館でアジアの旅」の今年の見どころについて語る、主任研究員の小野塚拓造さんと研究員の廣谷妃夏さん。
今回のアフタヌーン・エキシビションのメニューは、9月15日から東博・東洋館で開催されている秋の恒例企画「博物館でアジアの旅(今年のテーマは、“カラフルアジア”)」に登場する作品にフォーカスした内容。タイトルの通り、鮮やかな色彩や素材、作品に息づく文化的背景から着想を得て、メズム東京ならではの感性でセイボリーとスイーツに仕上げています。

試食会には、同館主任研究員の小野塚拓造さんと研究員の廣谷妃夏のお二人が登壇し、展示の見どころを紹介してくださいました。
「今回の企画では、古くは紀元前11~前4世紀の古代エジプトの時代から、16世紀の中国・明時代、18~19世紀の清時代、15~16世紀のタイのものなどを紹介しています。青、赤、黄色、緑など、色とりどりの作品の色彩美に触れていただくだけでなく、化学塗料がなかった時代に、当時の職人たちが理想の色を実現するために苦労を重ねた技術的挑戦や、顔料の秘密にも迫ります。それぞれの地域の文化を通して感じながら、旅する気分で展示室を巡っていただけたらいいと思います」と小野塚さん。
また、今回のメニューについては、
「色の再現性が素晴らしく、料理人の方が理想の色と味を求める姿勢は、古代の職人たちの技術探求に通じるものがあるように感じました」と語ってくださいました。

東洋館の建築美をイメージした前菜と、2種類のモクテル
「茄子と黒ゴマムース~東洋館~」と名づけた前菜(セイボリー)は、東洋館の建築美を表現した一皿。グレーに焼き上げたパンでナスと黒ゴマのムースを挟んであり、トッピングの黒いとんぶりは食感のアクセントだけでなく、屋根の凹凸を表しているのだそうです。さっぱりとした出汁の味わいで和の素材と本格フレンチの技法が光るジュレ、緑の野菜で上野の森を表現するという細かなこだわりにも感動します。
左/展示会場である東洋館をモチーフにした前菜。右上/喫茶店文化を現代的にアレンジしたモクテル。右下/絵具を散らしたパレットを思わせるモクテルは、好みのシロップで色と味を重ねて楽しめます。zoom
左/展示会場である東洋館をモチーフにした前菜。右上/喫茶店文化を現代的にアレンジしたモクテル。右下/絵具を散らしたパレットを思わせるモクテルは、好みのシロップで色と味を重ねて楽しめます。
「ウィスク」のバーテンダーが食事に合わせて創作したペアリングモクテルは2種類。クリームソーダ風の「モッツァレラメロンソーダ」は、クリアトマトをベースにリンゴとメロンの酸味を加えてあり、クリームに見える部分はモッツァレラのエスプーマ。東洋館が開館した昭和40年代の喫茶店文化が華やかだった時代を彷彿させ、見た目と味のギャップも楽しい1杯です。
もうひとつの「パレットモクテル」は、爽やかな梅のスパークリングカクテル。3色のシロップは、黄色がパッションフルーツ、青がブルーキュラソー、赤はザクロ。好みの順番と分量を加え、色と味の変化を楽しみながら自分だけの味わいのモクテルに仕上げます。

おなじみのロングプレートで登場する、8種類のセイボリー&スイーツ
前菜に続くメインプレートは、色鮮やかな8種類のセイボリー&スイーツ。「メズム東京のアフタヌーン・エキシビションといれば、これ!」と言われるほど、すっかりおなじみになったロングプレートに並べて提供されます。一つひとつを球体に仕立て、瑪瑙や翡翠、ガラス、テキスタイルなど、「カラフルアジア」に登場する多彩な色や透明感、素材感や奥行きまでも表現。その美しさに目を奪われながら口に運ぶと、素材の組み合わせ、香りと食感、味わいに至るまでどれ一つとして同じものはなく、まさに味の芸術作品です。
展示作品をオマージュした色彩を8種類の球体で表現。色、食感、味わい、すべてが異なり、それぞれの作品が作られた国の文化や時代背景に触れることができます。zoom
展示作品をオマージュした色彩を8種類の球体で表現。色、食感、味わい、すべてが異なり、それぞれの作品が作られた国の文化や時代背景に触れることができます。
「ナシゴレン・マフィン」(写真・左上)は、インドネシアのスマトラ島で女性が儀礼の際に身に着けるペイズリー花模様の「カイン・リマール」(ショール)をイメージしたもの。8種類の中で唯一のセイボリーで、エスニック風のスパイシーな味わいです。
つややかな青色が印象的なのは、古代エジプトのヒヒ像をモチーフにした、「はちみつレモンムース」。そのお隣が唯一のアイスアイテムで、中国・清時代(18世紀)の乳白色の香炉をモチーフにした「杏仁アイスクリーム」。中国で杏仁は古くから生薬や薬膳に用いられてきたもの。杏仁パウダーは使わず、種からエキスを抽出して作っていることもポイントです。ピンク色の焼き菓子は、「行書格物篇軸」という作品にちなみ、中国で不老不死の象徴とされる桃をイメージした白茶風味の一品子です。
一見すると、殻を割ったウニ(⁉)にも見えるのは、「胡桃入りチーズケーキ」(写真・左下)。モチーフは「蘭亭図巻」(乾隆本)という作品で、チーズを練り込んだ塩味の黒いクランブルでチーズケーキを包んでいます。アクセントはキャラメリゼした胡桃。上部の開いた部分を道に見立てているのだそうです。鮮やかな黄色の「マンゴープリン」は、清時代のガラス瓶を色合いごとマンゴープリンで表現し、涼しげな緑色は翡翠の硯をモチーフにした「ジャスミンジュレ」。深紅の「ザクロムース」は、ザクロをかたどった瑪瑙柘榴がモチーフ。ひとつの実に多くの種がびっしりとあるザクロは、中国では子孫繁栄の象徴とされたのだそう。甘酸っぱさとともに、果実を思わせる瑞々しい透明感が美しい一品です。

それぞれに時代背景や食材の意味などももっと細かくご紹介したいところなのですが、続きはぜひ実際にアフタヌーン・エキシビションに訪れ、視覚と味覚でカラフルアジアの世界を味わってみてください。アフタヌーンティーを味わってから東博に足を運ぶか、それとも先に東博の展示を鑑賞してから味わうかはお好み次第。アフタヌーンティーと博物館での鑑賞をダブルで楽しめば、カラフルなアジアを旅する気分に浸れるに違いありません。次の旅へ出かけたくなる気分も、きっと盛りあがってくるはずです。
“芸術家のアトリエ”をテーマに、オリジナルミクソロジーカクテル、自家製スイーツや軽食を楽しめるバー&ラウンジ「ウィスク」。zoom
“芸術家のアトリエ”をテーマに、オリジナルミクソロジーカクテル、自家製スイーツや軽食を楽しめるバー&ラウンジ「ウィスク」。
◆“TOKYO WAVES”アフタヌーン・エキシビション チャプター18『東博~カラフルアジア~』
メズム東京、オートグラフ コレクション16階 バー&ラウンジ「ウィスク」
東京都港区海岸1-10-30 TEL 03-5777-1111
提供期間:2026年10月1日(木)~2027年1月31日(日)
※12/31(木)・1/1(金)を除く
時間:平日14:00~/14:30~/15:00~/18:00~ 土日・祝日14:00~/14:30~/15:00~
料金:おひとり7,000円(消費税・15%のサービス料込) 
予約:https://x.gd/mnfBo  ※前日21:00までに要予約

◆博物館でアジアの旅 カラフルアジア
東京国立博物館 東洋館
東京都台東区上野公園13-9 TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
会期:2026年9月15日(火)~11月8日(日)
開館時間:9:30~17:00 ※金・土曜、日・祝日など20:00まで開館日あり、日程の詳細は公式サイトでご確認を。
休館日:月曜日(祝日または休日の場合は開館し、翌日の平日休館)、9月24日(木)
観覧料:一般1,000円/大学生500円/高校生以下、18歳以下、満70歳以上は無料
https://www.tnm.jp/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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