旅の扉

  • 【連載コラム】***独善的極上旅日記***
  • 2026年8月13日更新
フリージャーナリスト:横井弘海

暗闇が教えてくれる、平和への旅──「PEACE IN THE DARK 2026」が東京・竹芝で開催

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対話の森 外観

8月は、戦争と平和について考える機会の多い月です。

目を閉じるのではなく、光そのものをなくしてみる。

東京・竹芝で開催中の「PEACE IN THE DARK 2026」は、完全な暗闇の中を、視覚障害者のアテンドとともに歩きながら、平和について考える体験型プログラムです。

舞台となるのは、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」。ここで行われているのが「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」です。1988年にドイツで生まれ、世界50か国以上で展開され、これまで1,000万人以上が体験してきました。

何も見えない世界では、声を掛け合い、耳を澄まし、手探りで一歩ずつ進みます。視覚を手放すことで、聴覚や嗅覚、触覚が研ぎ澄まされるだけでなく、人との距離も不思議なほど近づいていきます。

年齢や肩書、国籍といった「見た目」の情報が消え、残るのは声や言葉、思いやり。初対面の人とも自然に助け合い、信頼が生まれていきます。

「PEACE IN THE DARK 」zoom
「PEACE IN THE DARK 」

昨年、被爆80周年記念事業として広島で開催された「PEACE IN THE DARK 2025」には2,778人が参加し、満足度は98.4%。「助けあうことが平和への近道」「となりの人を大切にすることが平和につながる」といった声が寄せられました。

今年のPart.1「祭」は7月26日に終了し、現在はPart.2「1945年の広島へ」が開催されています。

「もし、81年前の広島へ行くことができたら、私たちは何を感じ、何を持ち帰るのだろう。」

そんな問いを胸に、2026年を生きる私たちが、暗闇の中で1945年の広島へ“旅”をします。列車に乗り、戦時下を生きた人々の日常や暮らしに触れながら、過去・現在・未来へと思いを巡らせる約100分の体験です。

ミュージアム内部 「PEACE CAFE」もオープンzoom
ミュージアム内部 「PEACE CAFE」もオープン

そこにあるのは、原爆や戦争という「歴史」だけではありません。

木や花、虫たちが生き、子どもたちが笑いながら走る。人々は不安の中にも、ささやかな幸せを感じ、大切な人を想い、祈る――。

暗闇の中で浮かび上がってくるのは、歴史の向こう側にいた一人ひとりの「生」です。

戦争を知識として学ぶのではなく、そこに生きた人々の暮らしや想いに触れることで、平和を自分自身の問題として考える。それが、このプログラムの大きな魅力です。

「PEACE CAFE」内zoom
「PEACE CAFE」内

会場では、平和をテーマにした絵本展や写真展のほか、誰でも無料で立ち寄れる「PEACE CAFE」も開催。体験した人もしなかった人も、コーヒーを片手に自由に語り合うことができます。

「PEACE CAFE」で展示中の書籍は自由に閲覧できますzoom
「PEACE CAFE」で展示中の書籍は自由に閲覧できます

情報があふれ、目に見えるものばかりを追いかけがちな時代だからこそ、あえて「見えない世界」に身を置いてみる。

暗闇の中で誰かの声に耳を澄まし、手を取り合い、一緒に歩いてみる。その小さな体験が、平和について考えるきっかけになるかもしれません。

この夏、81年前の広島へ。
そして、そこから「いま」と「これから」へ。

見えないからこそ見えてくるものを探しに、出かけてみてはいかがでしょうか。

【開催概要】

「PEACE IN THE DARK 2026」Part.2「1945年の広島へ」

期間:2026年8月1日(土)~8月30日(日)
会場:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」(東京・竹芝)
体験時間:約100分
料金:大人4,950円、学生2,750円(税込)
※事前予約制
※ 詳細は要確認
 https://peaceinthedark2026.studio.site/

フリージャーナリスト:横井弘海
元テレビ東京アナウンサー。各国駐日大使を番組や雑誌でインタビューする毎に、自分の目で世界を見たいという思いが強くなり、訪問国は現在70カ国超。著書に「大使夫人」(朝日新聞社刊)。国内旅行は「一食一風呂入魂!」。美味しいモノと温泉を追いかけて、旅をしています。
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