zoom成田から毎日アラスカ航空便名で就航するハワイアン航空機で行く、日本から一番近いアメリカのシアトル。ダウンタウンとその先のエバレットへと足を延ばし、航空ファンとしての視点と、この土地ならではの味覚を堪能する観光を楽しみました。
今回は、空港からのレンタカー道中に立ち寄った航空博物館から、活気あふれる市場、開発が進む注目のエリアに登場する巨大な航空展示プロジェクト、そして航空の聖地であるエバレットへのドライブと美しい海辺で味わう極上のシーフードまで、シアトルの魅力を余すところなくご紹介します。
zoom西のスミソニアンと称される航空博物館と華やかな特別展の記憶
シアトル・タコマ国際空港に到着後、ダウンタウンへと向かう途中でまず立ち寄ったのが、ボーイングフィールドに隣接する「ミュージアム・オブ・フライト」です。ここは航空ファンであれば外すことのできない、世界でも有数の規模を誇る航空宇宙博物館です。(入場料:大人29ドル/約4,600円)
広大な敷地内には、ボーイング創業の地である歴史的な木造工場「レッド・バーン」が当時の姿のまま残されており、同社が世界の航空史にいかに深く関わってきたかを肌で感じることができます。
展示されている実機の数々は歴史的な名機から退役旅客機、軍用機、さらには宇宙船まで多岐にわたり、そのコレクションの圧倒的な充実度は、まさに「西のスミソニアン」と呼ぶにふさわしい風格を備えています。晴れ渡った空の下、屋外に展示された巨大な機体たちを見上げるだけでも、シアトルに来たという実感が湧き上がってきます。
さらに、今回は特別展「ランウェイ・トゥ・ランウェイ」を見学することができました。この展示は、航空の世界とファッションの歴史がどのように交差してきたかを深く掘り下げた、非常に興味深い内容です。
時代ごとに洗練されていく客室乗務員の制服や、航空黄金期を彩った華やかなデザインのバッグの数々が美しくディスプレイされており、機能美とエレガンスが融合したその歴史に深く見入ってしまいました。実機の持つメカニカルな魅力とはまた一味違う、航空文化の華やかな側面を体感できる貴重なひとときとなりました。(同展は2027年1月18日まで)
zoom大賑わいのパイクプレイスマーケットと名物チャウダーの選択
博物館を後にしてダウンタウンへと入り、シアトル観光の起点として、まずは外すことのできない定番スポット「パイクプレイスマーケット」へと向かいました。澄み渡る青空のもと、歴史ある市場の看板が出迎えてくれ、周辺は多くの観光客や地元の人々で活気に満ちあふれていました。
このマーケットを訪れた際、多くの人が目指すのが「スターバックス1号店」です。世界的なコーヒーチェーンの原点を一目見ようと立ち寄ってみたものの、スタッフに確認すると、平日にも関わらず、4時間半待ちという状況でした。限られた時間の中での観光ということもあり、今回は無理をせず、レトロなロゴが掲げられた趣のある店頭の雰囲気を外から眺めるだけで諦めることにしました。こうした混雑もまた、世界中から愛されるブランドの聖地ならではの光景です。
気を取り直して、もう一つのシアトル名物であるクラムチャウダーを味わうべく移動しました。「パイクプレイス・チャウダー」の本店も行列が絶えないことで知られていますが、今回はウェストレイク駅のすぐ近くにあるパシフィック・プレイス4階の店舗を選択しました。こちらは比較的スムーズに入店できる穴場スポットです。
ここで試してみたのが、異なる味わいを一度に楽しめる「4種の食べ比べメニュー(Sampler/21.95ドル/約3,500円)」です。定番の伝統的なニューイングランド・クラムチャウダーは、濃厚でクリーミーなベースにアサリの旨味が凝縮された王道の味でした。それに加え、シーフードの出汁が効いたものや, スパイシーなアレンジが施されたチャウダーなど、それぞれに異なる個性と深いコクがあり、シアトルの豊かな海の恵みをスープという形で存分に堪能できる、大満足のランチタイムとなりました。
zoomデニートライアングルに現れるボーイング747の壮大なプロジェクト
お腹を満たした後は、パイクプレイスマーケットから1.5キロの場所にある「デニートライアングル」地区へと足を延ばしました。このエリアは、近年シアトルの中でも特に急速な再開発が進んでいるIT・クリエイティブ産業の中心地であり、高層ビルが次々と立ち並ぶ近代的な街並みが広がっています。
ここを訪れた目的は、現在建設中の大規模複合開発プロジェクト「Aero1200」の状況を確認することです。このプロジェクトは、2棟の美しい曲線を持つ超高層レジデンスアパートメントと、商業施設、ライブハウスなどが一体となった、地域最大級の複合施設です。そして何よりも航空ファンを惹きつけてやまないのが、建物の間に広がる美しい緑化遊歩道の頭上に、本物のボーイング747型ジャンボジェットの機体が吊り下げられるという、前代未聞の建築デザインが採用されている点です。
実際に現地へ赴き、青空に向かってそびえ立つタワーの構造を仰ぎ見ながら、その進捗状況を確かめました。使用される機体は、かつてユナイテッド航空で活躍していた機体番号「N178UA」のボーイング747-400です。設計図やフロアプランによると、この吊り下げられた巨大な機体の内部は、なんと「747 Bar」というユニークなラウンジスペースとして活用される計画になっています。
建物全体の開業は2027年第1四半期を予定しており、現在はまさにその壮大な骨組みと空間が形作られている最中でした。かつて「空の女王」として世界の空を飛び回っていたジャンボジェットが、引退後に都市の近未来的なビルの合間に美しく融合し、人々が集うシンボルとして生まれ変わる。そのスケールの大きさと遊び心に溢れた設計案に、同じ航空の歴史を愛する者として胸が熱くなるのを感じました。完成した暁には、ビルの合間に浮かぶ機体を眺めながら、機内バーでカクテルを傾けるために必ず再訪しようと心に誓いました。
zoomフューチャー・オブ・フライトで新型機と対面し未来の空に思いを馳せる
デニートライアングルでの刺激的な見学を終えた後は、さらに航空のディープな世界へと踏み出すことにしました。シアトルのダウンタウンからハイウェイを北へ約50キロメートル、向かった先はボーイングの巨大な航空機製造拠点があるエバレットです。心地よいドライブの末に到着した最初の訪問地は、ボーイングの工場に隣接する「フューチャー・オブ・フライト」です。
この施設は、ボーイングの工場見学をメインとした魅力的な拠点で、館内の展示施設や公式のオリジナルグッズが揃う売店、そして何よりも広大な工場地帯を一望できる屋上の展望スペースには、誰でも自由に入ることができます。さっそく屋上の「スカイデッキ」へと上がり、目の前に広がる広大な敷地を見渡しました。
そこで真っ先に目に飛び込んできたのが、数多くの「ボーイング777X」の姿でした。次世代を担う大型双発機として開発が進む777Xが、下地塗装の緑のままずらりと並ぶ光景は圧巻の一言に尽きます。特徴的な折りたたみ式の主翼を装備したその雄姿をこの目で見ることができ、世界中の空を飛び回る就航の日への期待がふくらみましました。
さらに視線を移すと、現在も製造が続いている787ドリームライナーや、貴重な767の貨物機なども駐機しており、それらを遠望できる環境はまさに航空ファンにとってエキサイティングな瞬間でした。
なお、エバレットでは有名な工場内見学ツアーも催行されていますが、過去に中に入って見学した経験があること、工場内部は一切の撮影が禁止されていることを考慮し、今回はツアーへの参加は見送ることにしました。
zoomマカテオのアイヴァーズで海を眺めながら味わう至高のキングサーモン
エバレットで新型機たちとの興奮の対面を果たした後は、車を少し北へと走らせ、海沿いの美しい町マカテオへと向かいました。ここで立ち寄ったのは、ウォーターフロントの絶好のロケーションに位置する「アイヴァーズ マカテオ フィッシュバー」です。シアトルの老舗シーフードレストランとして名高いアイヴァーズの味が、ここマカテオの美しい港でも楽しむことができます。
店の窓外には、きらきらと輝く穏やかな海と、遠くの島へと行き交うフェリーの姿が広がっていました。素晴らしい海の景色を心ゆくまで堪能できる特等席に落ち着き、今回の旅の締めくくりとして注文したのが、パシフィックノースウエストの代表的な味覚である「キングサーモン(30ドル/4,800円)」です。
運ばれてきたキングサーモンは、肉厚で絶妙な焼き加減に仕上げられており、表面は香ばしく、中は驚くほどふっくらとジューシーでした。ひと口食べると、上質な脂の甘みと旨味が口いっぱいに広がり、素材の新鮮さがダイレクトに伝わってきます。レモンを軽く絞り、海の風味を感じながらいただくその味は、まさに格別なものでした。
シアトルは、ボーイング生誕の地としての深い航空の歴史を持ちながら、今なお新しく先進的な試みを続ける街です。短い空いた時間ではありましたが、シアトルの新旧の航空文化と食文化を五感で体験することができた、非常に濃密で有意義な旅となりました。
撮影:全てKoji Kitajima
取材協力:アラスカ航空 ⇒ https://www.alaskaair.com/ja-jp/
AS824 成田18:00発 ⇒ シアトル11:15着(所要9時間15分)
AS823 シアトル13:30 ⇒ 成田16:00着+1(所要10時間30分)
