zoom日本人は、何を美しいと感じ、何を未来へ守り伝えてきたのでしょう。
東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で開催中の「元禄! 師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻 大公開」と、日本橋の三井記念美術館で開催されている「特別展 京都・真如堂の名宝」。
7月に入り、外は少し暑かったですが、歩いて巡ることができる2つの美術館で、日本文化を支えてきた「華」と「祈り」に触れてきました。
zoomまず訪れた丸の内にある静嘉堂文庫美術館の舞台は、町人文化が大きく花開いた元禄時代。歌舞伎や浮世絵、琳派の美術、染織や工芸など、人々は暮らしの中に美を取り入れ、装うことそのものを楽しんでいました。豊かな経済を背景に、日本独自の洗練された美意識が成熟した時代でもあります。
本展では浮世絵の始祖・菱川師宣(?~1694)の屛風や絵巻の他、英一蝶や宮川派まで、師宣の画系を辿ります。
展覧会の中心となるのは、「見返り美人図」の作者としても知られ師宣の《十二ヶ月風俗図巻》。江戸の年中行事や四季の暮らし、町人たちの装いや遊びが、驚くほど生き生きと描かれています。屏風の前に立つと、一人ひとりの表情や着物、しぐさに目が留まり、「江戸の人たちも、こんなふうに季節を楽しみ、おしゃれをしていたの?」と、三百年以上前の暮らしがぐっと身近に感じられます。会議中、前期後期に分けて全巻大公開されます。
さらに、この展覧会には粋な遊び心も。師宣の代表作「見返り美人図」にちなみ、あなた流の元禄ファッションで来館すると観覧料が200円割引になる「元禄コーデ割引」を実施中。和装はもちろん、色使いや小物でのコーデもOK。粋に、自由に出かけてみてはいかがでしょう。
作品を鑑賞するだけでなく、自ら元禄の世界の登場人物になったような気分を味わえるのは、この展覧会ならではの楽しみです。
zoom一方、三井記念美術館の「京都・真如堂の名宝」が伝えるのは、華やかさとは対照的な「祈り」の世界です。
平安時代に創建された天台宗の古刹、真正極楽寺真如堂(しんしょうごくらくじ しんにょどう )は、江戸時代には三井家が菩提寺として篤く帰依し、多くの寺宝を守り伝えてきました。本展では、国宝《法華経(運慶願経)》をはじめ、仏像や仏画、経典、絵巻、肖像画など、ふだん京都を離れることの少ない名宝が一堂に会しています。
zoom見どころの一つは、平安、鎌倉、室町、江戸と、それぞれの時代の仏像や仏画を見比べられること。同じ仏を表していても、穏やかで優美な姿、写実的で力強い表現など、その違いから、それぞれの時代の美意識や、人々が仏に託した祈りが見えてきます。
静かに仏像と向き合っていると、そこにあるのは単なる美術品ではなく、千年もの間、人々が手を合わせ、大切に守り続けてきた祈りそのものなのだと感じました。
zoom元禄時代、人々は日々の暮らしの中に美を見つけ、おしゃれを楽しみました。一方、真如堂では、人々は美しい仏に心を託し、信仰を守り続けてきました。
2つの展覧会の根底に流れているのは、「美しいものを大切にしたい」という日本人の変わらぬ心ではないでしょうか。
華やかな文化を育み、静かな祈りを受け継ぐ――そのどちらも、日本人が「美しい」と感じ、未来へ守り伝えてきた文化です。
この夏、2つの美術館を巡れば、日本文化の奥深さと、その美意識の豊かさをあらためて感じられるはずです。
zoom開催概要
#「元禄! 師宣劇場
十二ヶ月風俗図巻 大公開」
会場
静嘉堂@丸の内 (明治生命館1階)
会期
2026/6/27(土)〜8/23(日)
[前期]6/27(土)〜7/26(日)
[後期]7/28(火)〜8/23(日)
休館日
毎週月曜日(ただし7月20日は開館)、
7月21日(火)
開館時間
10:00 – 17:00 ※入館は閉館の30分前まで
7月3日(金)・10日(金)は師宣劇場【見返り美人図ナイト】!20:00まで開館
*第4水曜 7月22日(水)は20:00まで開館
*8月21日(金)、22日(土)は19:00まで開館
※前述の「元禄コーデ」割引他、詳細は美術館のホームページや電話で要確認。
https://www.seikado.or.jp/
050-5541-8600 (ハローダイヤル)
※日時指定予約優先。当日券の販売もあり。
#「特別展 京都・真如堂の名宝」。
会場
三井記念美術館
会期
2026年7月4日(土)〜8月30日(日)
※会期中、展示替えあり。
休館日
月曜日(但し7月20日は開館)、7月21日(火)
開館時間
10:00〜17:00(入館は16:30まで)
予約なし。
詳細は要確認
https://www.mitsui-museum.jp/