旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2025年6月2日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

初夏の箱根を五感で満喫! 世界最高峰のデザイン賞に輝く「ラフォーレ箱根強羅 湯の棲 綾館」におこもりステイ

初夏の箱根旅に利用したい「ラフォーレ箱根強羅 湯の棲(ゆのすみか)」。昨年開業した新館「綾館(あやのかん)」(写真上)は全室温泉露天風呂付き。zoom
初夏の箱根旅に利用したい「ラフォーレ箱根強羅 湯の棲(ゆのすみか)」。昨年開業した新館「綾館(あやのかん)」(写真上)は全室温泉露天風呂付き。
都心からわずか1時間半の便利さでありながら、豊富な温泉と高原の澄んだ空気が魅力の箱根。その奥座敷・強羅の山間にひっそりと佇む湯宿が、「ラフォーレ箱根強羅 湯の棲(すみか)」です。四季の移ろいを感じられ、ドッグフレンドリーな宿としても人気のホテル新館「綾館(あやのかん)」が、世界最高峰のデザイン賞を獲得。その授賞理由と魅力を、滞在して体験してきました。

世界最高峰のデザイン賞『iF DESIGN AWARD 2025』を受賞
“五感で浸かり、豊かな時を織りなす”をコンセプトに、「ラフォーレ箱根強羅 湯の棲」の新館として昨年、開業した「綾館」。ゆったりとした本館に対し、こちらは客室数を抑え、こじんまりとしてモダンな雰囲気。「綾館」の名称は、人と時間が交わる豊かな時を積み重ねてほしいとの想いを込めたものなのだそう。そこには、箱根の伝統工芸品のひとつで、様々な木の組合せから美しい幾何学模様が生まれる「箱根寄木細工」へのオマージュが込められているといいます。この地の特徴でもある、岩、火山、地層、木々からインスピレーションを得たデザインからは、自然豊かな箱根の魅力が伝わってきます。

『iF DESIGN AWARD』とは1953年、ドイツ・ハノーバーで創設され、世界で最も長い歴史をもつデザイン団体「インターナショナル・フォーラム・デザイン」が主催するデザイン賞で、世界三大デザイン賞のひとつ。今回は約1万1,000件に上る応募デザインのなかから「Interior Architecture/Hospitaliry Interiors部門」受賞という栄誉に輝きました。
この地で産出された廃材や石をデザインに取り入れた「綾館」のフロント。zoom
この地で産出された廃材や石をデザインに取り入れた「綾館」のフロント。
シンプルながら、箱根の地に刻まれた歴史と自然&文化の豊かさが感じられる客室
エントランスは本館から独立していて、フロントに入ると太い柱と壁に埋め込まれた美しい木目の木材が目に飛び込んできます。もともと箱根の地にあった廃材を利用したもので、オブジェのように置かれている石も、箱根の地から産出されたもの。これらをアートとして生かし新たな命を吹き込むなど、デザイン性の高さとともにSDGsへの取り組みも随所に見られます。
「綾館」の客室。今の季節、テラスの露天風呂からは瑞々しい新緑を眺められる。zoom
「綾館」の客室。今の季節、テラスの露天風呂からは瑞々しい新緑を眺められる。
全22室の客室には、箱根寄木細工をモチーフにしたデザインを取り入れています。すべて大涌谷の源泉からお湯を引いた温泉露天風呂付き。山々の新緑を眺め、風に運ばれてくる木々の香りを感じる入浴タイムは、とても心地よいものでした。また、あたりが漆黒の闇に包まれる静寂のなかで、さらに早朝、賑やかにさえずり始める鳥たちの声を聴きながら、気が向いたらいつでもプライベートな入浴タイムを過ごせるのは、露天風呂付きのお部屋ならではの魅力です。
4階建ての施設の1階には、愛犬と泊まれる「ドッグフレンドリールーム」とドッグランを完備。ほかの滞在客と動線が異なるため、気遣いが少なくて済むことも好評とのこと。箱根の自然をたっぷりと感じながら、愛犬と過ごせるのがいいですね。

ラウンジと食事処、温泉大浴場は本館に
本館の施設も、もちろん利用できます。窓の外に広がる新緑を眺められるラウンジにはウェルカムドリンクが用意され、新聞や箱根の観光名所のパンフレットを眺めながら過ごせます。
夕食と朝食は本館の食事処「旬菜蔵」で。上/夏の特選ディナー。下/和洋のメニューが豊富に並ぶビュッフェスタイルの朝食。zoom
夕食と朝食は本館の食事処「旬菜蔵」で。上/夏の特選ディナー。下/和洋のメニューが豊富に並ぶビュッフェスタイルの朝食。
夕食は本館1階にある食事処「旬菜蔵」で和洋融合のコース料理を。神奈川県内産を中心とした季節の食材をふんだんに取り入れ、目にも美しい料理の数々。すべての料理をお箸で食べられるのもうれしいところ。〆の食事はかまどで炊いたご飯。つやつやのお米がおいしく、お腹いっぱいなのについついお代わりをしてしまいました。
お部屋の露天風呂もいいのですが、本館大浴場もまた違った趣と気持ち良さがあります。とくに、木々がお湯に映り込む露天風呂が爽快。なかでも、ひんやりとした夜風を感じられる夕食後の入浴タイムがおすすめです。
本館の大浴場。露天風呂に映り込む木々が美しく、お湯に浸かっていつまでも眺めていたくなる。zoom
本館の大浴場。露天風呂に映り込む木々が美しく、お湯に浸かっていつまでも眺めていたくなる。
「ラフォーレ箱根強羅」までは、箱根湯本で急こう配の坂道をジグザグに登っていく箱根登山電車に乗り替え、さらに強羅駅からケーブルカーで「中強羅」駅下車、歩いて5分ほど。途中、車窓に映る光景も楽しめます。今回、上り坂がきつい往路は電車とケーブルカーを使い、復路は宿から強羅駅まで歩いてみました。途中、古いお寺や趣ある洋館、「彫刻の森美術館」「強羅公園」といったスポットがあり、ゆっくり歩いて約30分ほど。新緑の匂いに包まれながら、のんびり楽しめる散策コースです。6月中旬からは、紫陽花が楽しみな季節。標高によって開花時期が異なり、7月中旬まで見ごろが続くそう。おこもりステイで日ごろの疲れを癒しながら、初夏の箱根を満喫する旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
上/本館のエントランスとラウンジ。下/本館の露天風呂付きプレミアルームと、愛犬と滞在できる「ドッグフレンドリールーム」。zoom
上/本館のエントランスとラウンジ。下/本館の露天風呂付きプレミアルームと、愛犬と滞在できる「ドッグフレンドリールーム」。
◆ラフォーレ箱根 湯の棲 綾館(ゆのすみか あやのかん)
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-708
TEL 0460-82-2121
全室温泉露天風呂付き22室(内ドッグフレンドリールーム4室)
1泊2食付き1名33,350円~(2名1室利用時)
https://www.laforet.co.jp/gora/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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