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旅の扉
- 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
- 2025年3月12日更新
- よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子
神々の国 島根・石見の旅 ~①日本海の幸を堪能し、夕暮れのクラフトビールと夜神楽に酔いしれる
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- 美食と温泉、お酒と神楽の里・島根県西部の石見地方には、まだ知られていない魅力がいっぱい!
- “神々の国”として知られ、数々の日本神話の舞台でもある島根県は、日本海に沿って東西160kmにわたる細長い地形が特徴。県の東部と西部では風土や文化が異なり、それぞれ違った魅力があります。今回訪れたのは、西部の石見地方。「石見」は“いわみ”と読みます。出雲大社や松江城がある出雲地方に比べ、食・お酒・温泉など、まだまだ知られていない魅力を発掘できるとして、最近はツウな旅行者の間でちょっとした評判になっているのだとか。そんな石見地方の楽しみ方をご紹介します。
ノドグロ、アワビに舌鼓。日本海の鮮魚を味わえるランチスポット
石見地方の魅力は、なんといっても目の前の日本海から揚がる魚介。海岸沿いに漁港が点在し、捕れたての鮮魚を味わえるスポットに事欠きません。
お土産ショッピングを兼ねて立ち寄ってみたいのが、「はまだお魚市場(山陰浜田港公設市場)」です。施設の1階は12の仲買人が出店。購入した魚は、宅配で自宅へ送ることができます。スーパーでは見かけない魚介や、この地域独特の呼び名の魚もあり、おさかな通りと名づけられた通路をぶらぶらと歩くだけでも楽しいですよ。
品揃えが豊富なのはお昼過ぎまで。到着したらまず仲買棟をのぞき、そのあと2階のフードコートへ。地域の特産品とともに、ここにしかない工芸品などが並ぶ1階のショップ「ここマーケット」のチェックも忘れずに。
●はまだお魚市場
浜田市原井町3050-46
https://hamadaosakana.com/
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- 上/日本海の鮮魚が並ぶ「はまだお魚市場」と、フードコートのランチメニュー「のどぐろあぶり丼」。下/波打ち際に立つ「荒磯温泉 荒磯館」は、鮮魚料理と温泉が自慢。
- 雄大な日本海の波打ち際にあり、海を眺めながら食事ができるのが、「荒磯温泉 荒磯館(あらいそかん)」。テラスガーデンがある食事処のほか、温泉大浴場を備えた宿泊施設があり、夏はマリンリゾートとして人気の施設です。客室はどの部屋からも日本海を一望でき、露天風呂付きのお部屋も。保湿成分をたっぷり含み、美肌の湯といわれる泉質も楽しみです。
●荒磯温泉 荒磯館
益田市西平原町
TEL0856-27-0811
※ランチと日帰り入浴は不定休のため、事前に問い合わせを。
https://araisokan.com/
駅舎が丸ごとビール工場に! オリジナルクラフトビールを味わえるブリュワリー
JR山陰本線の小さな無人駅に2024年、誕生したのが「石見麦酒」です。オーナーの山口厳雄さんは学生時代に醸造を学び、長野県にある大手の味噌製造メーカーに勤務した経験の持ち主。「地域の特色を生かした地酒づくりをしたい!」と夫婦で小さな醸造所を立ち上げました。山口さんが考案した「石見式」と呼ばれる醸造方法は、小さな設備で小ロット多品種のビールを醸造できると話題になり、西日本を中心に現在は日本中の多くの醸造所で採用されています。
ここでは中国地方最大の清流、江の川の水を仕込みに使い、さまざまな種類のクラフトビールを醸造。石見地方で取れた大麦や、夏ミカン、ユズを使ったビールのほか、シードルもつくっています。出来立てのビールは駅舎内とホームのベンチで味わえるので、列車に乗る前後にのどを潤すのもいいでしょう。ただしローカル路線ゆえ、停車する列車の本数が少なく、時刻表を事前に確認しておくことをおすすめします。
醸造所がある波子駅は高台に位置し、夏場は海水浴場として賑わう波子海水浴場まで歩いてもわずか5~6分の場所。ビールでほろ酔いになった後、日本海の夕日を眺めるのもいいですね。さらに近くには、バブルリングで一躍人気者になったシロイルカを展示する「島根県立しまね海洋館アクアス」があります。
●石見麦酒
江津市波子町イ844-6(JR山陰本線・波子駅内)
TEL0855-25-5740
http://www.iwami-bakushu.com/
●島根県立しまね海洋館アクアス
浜田市久代町1117-2
https://aquas.or.jp/
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- JR波子駅にある「石見麦酒」は、レトロな駅舎とホームも魅力。オーナーの山口さんが考案した「石見式」の醸造法が注目され、日本中からお客さんが訪れている。
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- 上/キュートなパフォーマンスを見せてくれる「アクアス」のシロイルカ。下/天気がいい日は、目の前に沈む日本海の夕日が楽しみ。
- 「全国温泉総選挙」第1位を獲得した隠れ家温泉で、地元食材の夕食と豪快な石見神楽を堪能!
海と山が近いことも、島根県の特徴です。日本海の夕日に見とれた後、車で30分も走れば旭温泉に到着。2024年4月にグランドオープンしたばかりの「隠家(かくれや)ゆかり」は、その名のとおり山間にひっそりとたたずむ隠れ家のような温泉宿。全15室のこじんまりとしたつくりで、全国温泉総選挙(歴史文化部門)では2024年に第1位を獲得した泉質が自慢です。
夕食は、海の幸と山の幸をはじめとし、島根県の厳選食材を盛り込んだもの。ラウンジのアルコールやソフトドリンクが無料で楽しめることも見逃せません。
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- 温泉とともに、島根食材の夕食が楽しみな「隠家ゆかり」。全国温泉総選挙第一位の泉質を誇る大浴場のほか、露天風呂付きの客室も。
- また、石見地方を訪れたらぜひとも鑑賞したいのが石見神楽。日本各地に伝わる神楽のなかでも特に人気の高い石見神楽は、島根県西部の伝統芸能。日本神話を題材とした分かりやすいストーリーと豪華な衣裳、テンポの良いお囃子と迫力ある舞が特徴で、大人から子どもまで楽しめます。最近では、外国人のファンも増えているのだそう。
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- ヤマタノオロチ退治を演目とした「大蛇」。オロチの目が光り、口から煙が吐かれることも。迫力ある本場の舞に圧倒される。
- 神楽はもともとはお祭りの夜に神社で奉納されるものですが、この地域では神楽団による定期公演があり、週末を中心に上演されています。また、ホテルの宴会場などを利用して貸切公演も可能。今回は地元で活動する神楽団による夜神楽を楽しみました。演者は小学生から80歳のおじいちゃんまで。石見地方では子どもの頃から放課後の部活のように親しみながら練習に励んでいるのだとか。演目の面白さとともに、親から子へ、そして孫へ、地域に根付き脈々と受け継がれてきた伝統芸能であることが分かります。
●旭温泉 隠家ゆかり
浜田市旭町木田1006-1
TEL0855-45-1180
https://www.kakureyayukari.jp/
島根県西部・石見の旅、第2回では、“山陰の小京都”津和野をご紹介します。