旅の扉

  • 【連載コラム】こだわり×オタク心
  • 2024年11月8日更新
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コラムニスト:Tomoko Nishio

舞台上からフランスバレエの伝統的舞台を見る、パリ・オペラ座「白鳥の湖」IMAX

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2024年11月8日から「パリ・オペラ座「白鳥の湖」IMAX」が上映されている。パリ・オペラ座バレエは太陽王ルイ14世が創設したバレエ学校にルーツを持つ、350年以上の歴史を持つ世界に比類のない屈指のバレエ団であり、フランス舞台芸術の最高峰に君臨し、バレエファンのみならず、観光客にとっても「パリ・オペラ座の芸術鑑賞」は特別な意味を持つ。

その「パリ・オペラ座」のバレエがが、このほど世界で初めてIMAXカメラで撮影され公開されている。演目は世界でもっとも有名な、バレエ作品の代名詞ともいえる「白鳥の湖」。ダンサー個々の表情を映しこむ鮮明な画像、普段の観劇では見ることのできないダイナミックなアングル、映像ならではのち密な表現など、普段の劇場観劇とは違った世界最高峰の舞台が楽しめる。

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バレエ「白鳥の湖」の初演は1877年。チャイコフスキーが初めて作曲したバレエ作品だが初演の評判は芳しくなく、1895年にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で大幅な改定を加えて蘇演されたものが大成功し、原典として伝えられている。
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パリ・オペラ座の「白鳥の湖」は1961年、当時ソ連のキーロフ・バレエ(現マリインスキー・バレエ)からパリへ亡命したダンサー、ルドルフ・ヌレエフの振付による、いわば「ヌレエフ版」と呼ばれるもの。パリ・オペラ座に取り入れられたのは1984年で、以来バレエ団の主要なレパートリーの一つとして上演され続けている人気演目だ。

ヌレエフ版の特徴は王子の心理面にスポットを当てた演出であること。悪魔ロットバルトをジークフリード王子の家庭教師として配することで、従来のオデット姫と王子の悲恋に王子とロットバルトの関係が加わり、ドラマティックな心理劇となっている。
また、卓越したテクニックを有した伝説のダンサー・ヌレエフ振付による踊りはこまやかなステップなど難易度が高く、踊りの面でも見応えがあるものだ。
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今回の映画は、この作品をIMAX上映のために特別に撮影。無観客、拍手なし、休憩なしの上映だが、その分映画は1本のドラマのごとく物語が進行する。カメラは舞台袖から、時には舞台の中にも入り込み、ダンサー目線の世界までが映し出される。分厚い布地に金糸銀糸で縫い取りをした衣装までが手に取るような距離感で現れるのも本作ならではの特徴。いわゆる客席から舞台の進行を眺める映画上映とは違った映画となっており、こうした尖った試みが、ある意味とてもフランスらしいともいえる。
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主演の白鳥オデットと黒鳥オディールを踊るのは韓国出身のエトワール(最高位ダンサー)、パク・セウン。王子ジークフリートを演じるポール・マルクはパリ・オペラ座の伝統ともいえるエレガンスと強靭なテクニックを併せ持つエトワール・ダンサーだ。そして第3の主役ともいえるロットバルトはプルミエ・ダンスールのパブロ・レガサ。将来のエトワール候補として注目である。フランスが誇る舞台芸術を、独特の視点や角度から目にすることのできる、絶好の機会だ。
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■上映情報

パリ・オペラ座『白鳥の湖』IMAX

監督:イザベル・ジュリアン
音楽:ピョートル・イリイチ・チィコフスキー
キャスト:
オデット/オディール パク・セウン (エトワール)
ジークフリート王子 ポール・マルク (エトワール)
家庭教師ヴォルフガング/ロットバルト パブロ・レガサ (プルミエ・ダンス―ル)


パリ・オペラ座管弦楽団
指揮:ヴェロ・ペーン


原題:SWAN LAKE
上映時間:140分予定
2024年11月8日(金)より7日間限定公開
配給:東宝東和
公式サイト:https://tohotowa.co.jp/parisopera/movie/swanlake/
コラムニスト:Tomoko Nishio
旅行業界・旅&芸術文化ライター、動物好き。旅行業界誌記者・編集者を経てフリーの旅行ライターに。南仏中世と「三銃士」オタク。歴史とアートに軸を置きつつ、絵画、バレエ、音楽、物語、映画、漫画のロケ地・聖地巡り、海外旅行や小さなお散歩まで、様々な視点で旅を発信。「旅」は生活のなかにもあり。

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