第35回清里フィールドバレエ開催、同時に「バレエウイークin八ヶ岳」も

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2024年7月26日（金）から8月7日（水）、清里高原の夏の風物詩、「清里フィールドバレエ」が開催される。日本でも数少ない、長年にわたって継続して開催されている野外バレエ公演だ。八王子市を拠点とするバレエ団「バレエ・シャンブルウエスト」を中心に、国内トップクラスのダンサーがゲスト出演する。35回目となる今年の演目は、Aプログラムに「白鳥の湖」全幕、Bプログラムに歌舞伎とバレエのコラボレーション「時雨西行」ほか、バレエの名場面を集めたガラ公演が組まれている。また、今年からは日中もバレエイベントが楽しめる「バレエウイークin八ヶ岳」も開催される予定だ。今年の公演の見どころについて、バレエ・シャンブルウエストの今村博明総監督の談話を交えながら紹介しよう。（文章中敬称略）

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今村博明総監督

■野外バレエならではの自然・ダンサー・観客の一体感

第1回清里フィールドバレエが開催されたのは1990年のこと。今村総監督と川口ゆり子芸術監督がフランスで体験した野外バレエを日本でも広めたいと考え、清里「萌木の村」と協力して第一歩を踏み出した。屋根のない野外ステージでのバレエ公演は自然の森がそのまま舞台セットとなり、星空、月夜、霧、そよぐ風など同じ条件下での舞台はまずない、一生に一度、その瞬間だけの幻想世界が繰り広げられる。その一方で悪天候による中断・中止や払い戻し、夜露に濡れる舞台によるダンサーの転倒の危険性などさまざまな苦難もあった。「継続は力」の言葉通り、バレエ・シャンブルウエストと萌木の村の二人三脚は次第に清里の人々やバレエファンの耳目を集めるようになり、2～3日だった公演は、1週間、さらには2週間へと拡大して、2004年には約1万人を超す観客を集める公演にまで成長した。

35回目の公演を迎えるにあたり、今村総監督は「とにかく感謝しかない。何があるかわからない自然の中の舞台を支えてくれたスタッフや、そんな非日常的な舞台世界を楽しんでくれるお客様がいてくださったからこそ」と話す。

フィールドバレエの魅力は先述の通り、同じ舞台は一つとない自然の中の公演にあるが、「舞台と客席の一体感も魅力の一つ。公演する側にとっては風の動きや一瞬の空模様など、天候の変化にはとても気を配るし、雲行き次第では祈るような気持ちになることもあるのですが、不思議なことに、そうした思いを客席も持ってくださっているのが伝わってくる。劇場以上に広大な野外公演なのに客席のお客様と感じる一体感は本当にかけがえのないものがある」という。

実際に、舞台と感じる一体感を含めた自然と醸す芸術世界は、一度体験すると「クセになる」「また体験したい」と思わせられる魅力がある。またフィールドバレエの公演には劇場公演とは違う、野外の舞台ならではの構成や演出に工夫がされているのもみどころのひとつだ。隅田川花火大会でも活躍する職人による打ち上げ花火も舞台に彩を添える注目ポイントとなっている。

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オディールの登場

■バレエの王道「白鳥の湖」。「初バレエ鑑賞のお客様にも楽しんでいただきたい」

今年上演される「白鳥の湖」について、「フィールドバレエをここまで続けることができる原動力ともいえる作品。バレエファンでなくとも、バレエと言えば『白鳥の湖』と言われるほど有名な演目でもあるので、これまでバレエを見たことがない方々にもご覧いただきたいという思いを込めて、この作品を選んだ」と話す。
あらすじはジークフリート王子と、悪魔ロットバルトにより白鳥に変えられたオデット姫の恋物語。2幕の「湖」でのオデット姫と王子の出会い、白鳥たちが織りなす幽玄美はリアルな森の背景ともども溜息の出るような世界を醸し出す。さらに3幕のオデット姫に化けて王子を騙す悪魔の娘・黒鳥オディールのテクニカルでダイナミックな踊りは、ガラ公演でも踊られる有名なシーンのひとつ。主演の女性ダンサーによる繊細で優美な白鳥オデットとエネルギッシュな黒鳥オディールの二役の演じ分けもこの作品の見どころだ。

オデット／オディールと王子役を踊るゲストダンサーには新国立劇場バレエ団のプリンシパル（最高位ダンサー）を務める小野絢子と福岡雄大、東京バレエ団ゲスト・プリンシパルの上野水香と同プリンシパルの柄本弾が名を連ねる。さらにバレエ・シャンブルウエストからは松村里沙と江本拓、川口まりと藤島光太の、バレエ団を代表するペアが登場。さらにオデットとオディールをそれぞれ別のダンサーが踊るバージョンも設定し、オデットには村井鼓古蕗、伊藤可南が、オディールには石原朱莉、神谷麻依が挑む。このほか山本帆介と早川侑希も王子役としてラインナップ。バレエ団の総力を挙げた公演だ。

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久々の再演となる「時雨西行」

■歌舞伎とのコラボ作品も登場。日中は第1回八ヶ岳バレエフェスティバルも

8月2日・3日にはBプログラム「スペシャルコンサート」が行われる。クラシックバレエの見どころを集めたガラ公演で、「『海賊』より花園」、「『白鳥の湖』第3幕」のほか、ゲストダンサーの福岡雄大（2日）、上野水香（3日）のソロ演目も上演予定だ。
さらに歌舞伎とバレエのコラボレーション作品「時雨西行」が17年ぶりに再演され、中村梅玉が出演することも注目となっている。長唄「時雨西行」、歌舞伎では「江口里時雨西行」として知られる演目を今村総監督が1998年に和洋コラボ作品として振付し、この清里フィールドバレエで初演した。2007年以来の再演となる今回も西行役に中村梅玉を迎え、バレエダンサーの川口ゆり子、逸見智彦が共演するというベテランならではの芸の味わいが期待できる。

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昼間はステージの練習風景の見学も可能

さらに今回は公演期間中に清里を中心とした八ヶ岳エリアで「バレエウイークin八ヶ岳」も初めて開かれる。「バレエ公演は夜なので、日中にもバレエにふれ、家族で楽しんでいただきたい」という趣旨で始めるもので、萌木の村をはじめ清泉寮など、八ヶ岳エリアの協賛施設でバレエに関する展示やイベントなどが行われる予定だ。「フィールドバレエは子供料金も設定しているので、ぜひご家族で訪れて、芸術体験を楽しんでいただきたい。今年は萌木の村特設ステージの舞台回りも整備され、華やかになる予定なので楽しみにしてください」と今村監督。ぜひ足を運んでみてほしい。

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舞台を彩る打ち上げ花火

第35回清里フィールドバレエ

■日程：2024年7月26日（金）～2024年8月7日（水）
　※8月1日は休演
■会場：萌木の村野外特設ステージ
■演目
　Aプログラム：「白鳥の湖」全幕
7月26日(金)
▼Aプログラム「白鳥の湖」 小野絢子（オデット、オディール）福岡雄大（王子）
7月27日(土)
▼Aプログラム「白鳥の湖」 村井鼓古蕗（オデット）石原朱莉（オディール）山本帆介（王子）
7月28日(日)
▼Aプログラム「白鳥の湖」 松村里沙（オデット、オディール）江本拓（王子）
7月29日(月)
▼Aプログラム「白鳥の湖」 小野絢子（オデット、オディール）福岡雄大（王子）
7月30日(火)
※全国バレエコンクール in 八王子エキシビジョン
▼Aプログラム（白鳥の湖）
伊藤可南（オデット）神谷麻依（オディール）早川侑希（王子）
7月31日(水)
※全国バレエコンクールin八王子エキシビジョン
▼Aプログラム（白鳥の湖）
松村里沙（オデット）土田明日香（オディール）土方一生（王子）
8月1日(木)休演日
8月2日(金)
▼Bプログラム（スペシャルコンサート）
・「海賊より花園」　バレエシャンブルエスト
・「パリの炎」　松浦景子　藤島光太
・「Bourbier」　福岡雄大
・「時雨西行」　中村梅玉　川口ゆり子　逸見智彦
・「白鳥の湖第３幕」　阿部美雪（オディール）橋本直樹（王子）
8月3日(土)
▼Bプログラム（スペシャルコンサート）
・「海賊より花園」　バレエシャンブルエスト
・「パリの炎」　松浦景子　藤島光太
・「瀕死の白鳥」　上野水香
・「時雨西行」　中村梅玉　川口ゆり子　逸見智彦
・「白鳥の湖第３幕」　阿部美雪（オディール）鈴木諒（王子）
8月4日(日)
▼Aプログラム「白鳥の湖」 村井鼓古蕗（オデット、オディール）山本帆介（王子）
8月5日(月) ※未来をつくる子供たちのための交流コンサート
▼Aプログラム「白鳥の湖」 川口まり（オデット、オディール）藤島光太（王子）
8月6日(火) ※未来をつくる子供たちのための交流コンサート
▼Aプログラム「白鳥の湖」 松村里沙（オデット）石原朱莉（オディール）江本拓（王子）
8月7日(水)
▼Aプログラム「白鳥の湖」 上野水香（オデット、オディール）柄本弾（王子）

公式サイト
https://www.fieldballet.com/

※公演は21時終了予定
※雨天中止の場合は払い戻しあり（詳細はチケット販売サイトにて）