旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2023年12月3日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

開運&ご利益にあやかれるかも? 冬の奈良が楽しみになる、日本酒発祥の地で味わう「ホテル日航奈良」の特別な粕汁

「ホテル日航奈良」の朝食で味わえる粕汁。12月下旬までは稀少な日本酒の酒粕で作った、特別な粕汁Vol.10「菩提泉2023」を提供。zoom
「ホテル日航奈良」の朝食で味わえる粕汁。12月下旬までは稀少な日本酒の酒粕で作った、特別な粕汁Vol.10「菩提泉2023」を提供。
冬になると恋しくなるのが、温かい汁もの。
そのなかで関西が発祥といわれている「粕汁」は、根菜類をはじめ野菜がたっぷり入って栄養価が高く、体を芯から温めてくれるので寒い季節にぴったり。JR奈良駅と直結する「ホテル日航奈良」ではその粕汁を、「奈良の朝ごはん」と名づけられた朝食ビュッフェで味わえます。地元の酒蔵の酒粕を使っていて、しかも名刹として知られる興福寺の協力を仰いだメニューと聞けば、体が温まるだけでなくご利益にもあやかれる気がしてきませんか。

関西を中心に親しまれている粕汁の発祥は明確ではないそうですが、奈良が日本酒発祥の地であること、「万葉集」には酒粕をお湯で溶いた庶民のお酒「粕湯酒(かすゆざけ)」と呼ばれるものが登場したり、酒粕に瓜を漬け込んだ奈良漬けが名物であることからも、粕汁の発祥が奈良であっても不思議ではありません。

興福寺の“おふるまい”を再現した「ホテル日航奈良」の特別な粕汁

ホテル日航奈良では日本酒発祥の地のホテルとして「日本酒にもっと親しんでもらいたい」と、2012年から地元・興福寺の監修による粕汁を朝食ビュッフェのメニューに加えています。
興福寺といえば、阿修羅像や五重塔で知られる名刹。このお寺では毎年2月3日、東金堂の薬師如来御宝前で除災招福の法要を行い、鬼追い、豆まきを行うのが節分の習わしです。その法要の前に、お寺の関係者やお手伝いをしてくれる方たちに、口伝のまかない料理である粕汁を振る舞う習慣があるのだとか。ホテル日航奈良の粕汁は、興福寺の監修によりこれを再現したもの。さらに2022年からは、県内の酒蔵から銘柄のわかる酒粕を分けてもらい、約2カ月ごとに料理に使う酒粕の種類を変えて「特別な粕汁」として提供しています。
奈良を訪れたら必ず拝観してみたい興福寺。節分行事では、お寺の関係者だけにまかない料理の粕汁を振る舞う習慣があります。zoom
奈良を訪れたら必ず拝観してみたい興福寺。節分行事では、お寺の関係者だけにまかない料理の粕汁を振る舞う習慣があります。
この冬の特別な粕汁が、さらに“特別”な理由

11月1日から提供しているのは、酒粕の種類を変え始めて10回目のメニュー。特別な粕汁Vol.10「菩提泉2023」と名づけられ、使われているのは室町時代の製法で復活醸造された日本酒「菩提泉2023」の酒粕です。かつて日本では寺院醸造が盛んに行われていた歴史があり、「菩提泉」とは奈良市にある菩提山正暦寺で作られていた僧坊酒の名称。室町時代に書かれたと伝わる日本初の民間醸造技術書「御酒之日記」には、この菩提山正歴寺の酒造りが紹介されています。いわば、現在の日本酒のご先祖様とも呼べるお酒であり、これを約500年ぶりに復活醸造させた「菩提泉」はとても稀少なお酒。その酒粕の価値も、やはり特別というわけなのです。
朝食ビュッフェでは、奈良県産の食材にこだわった奈良の伝統食や名物料理を味わえます。zoom
朝食ビュッフェでは、奈良県産の食材にこだわった奈良の伝統食や名物料理を味わえます。
朝食ビュッフェには粕汁のほかにも、「奈良の伝統食・名物料理」に加え、奈良県産食材にこだわったバラエティ豊かなメニューが並びます。今回の粕汁は酒粕がなくなり次第、提供を終了するとのことなので、早めに訪れて味わうのがいいですね。
朝食は予約の必要はなく、ホテルに宿泊していなくても利用できます。朝一番に奈良駅に到着し、散策の前にいただくことも可能ですが、せっかくなら「特別な粕汁」をゆっくり味わうためにも、宿泊のプランを立ててみるといいかも。あわただしい年末ですが、温かい粕汁とともに冬の奈良のひとときを楽しんでみてはいかがでしょう。旬を美味しくいただくと、開運&運気アップにつながるかもしれませんよ。
朝食ビュッフェは予約の必要はなく、宿泊客でなくても利用できます。春に登場する、ご当地のブランドイチゴも楽しみです。zoom
朝食ビュッフェは予約の必要はなく、宿泊客でなくても利用できます。春に登場する、ご当地のブランドイチゴも楽しみです。
JR奈良駅に直結する「ホテル日航奈良」は、奈良散策の拠点にぴったり。zoom
JR奈良駅に直結する「ホテル日航奈良」は、奈良散策の拠点にぴったり。
◆ホテル日航奈良
奈良市三条本町8-1
TEL 0742-35-6812(宿泊予約)
https://www.nikkonara.jp/
≪特別な粕汁 Vol.10「菩提泉2023」≫
期間:12月下旬まで提供を予定 
※「菩提泉2023」の酒粕がなくなり次第終了し、別の酒蔵のものを使った粕汁に変更予定。
場所:ホテル3F レストラン「セリーナ」
時間:7:00~9:30
料金:大人3,000円・小学生1,600円・4歳~未就学児800円(バイキング形式)
問い合わせ:TEL0742-35-6621
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
risvel facebook