旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2023年8月18日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

ローストビーフも、北京ダックも好きなだけ! バイキング発祥のレストラン、帝国ホテル 東京「インペリアルバイキング サール」がリニューアル!

フランス料理に中国料理と日本料理が加わったことで、約50種類に増えたバイキングのメニュー。zoom
フランス料理に中国料理と日本料理が加わったことで、約50種類に増えたバイキングのメニュー。
「好きなものを好きなだけ味わう」“バイキング”という食のスタイルは1958年8月1日、帝国ホテル 東京のブフェレストラン「インペリアルバイキング」で誕生しました。この夏、開店から65周年を迎えリニューアルオープンしたレストランには、これまでのフランス料理に加え、中国料理と日本料理のメニューが新たに登場。さっそく出かけて、新メニューを味わってきました。

北欧の伝統料理から生まれた“バイキング”
現在ではすっかりおなじみとなった「〇〇食べ放題」を表す“バイキング”は、帝国ホテルの初代総料理長・村上信夫氏が考案したもの。当時パリで修業中だった村上シェフに、総支配人から北欧の伝統料理「スモーガスボード」習得の命が下ったことがきっかけでした。
左から、中国料理を統括する畑 繁良シェフ、杉本 雄東京料理長、「インペリアルバイキング サール」の紀野安彦シェフ。zoom
左から、中国料理を統括する畑 繁良シェフ、杉本 雄東京料理長、「インペリアルバイキング サール」の紀野安彦シェフ。
「スモーガスボード」とは、肉・魚・野菜などの料理を大皿で並べ、自由に取り分けて食べる料理のスタイル。これを学んで帰国した村上シェフによって1958年8月1日、日本で最初のブフェレストラン「インペリアルバイキング」がオープン。ちょうどそのころ上映されていた映画『バイキング』で、海賊たちが豪快に食事をするシーンから、この名が付けられたのだそうです。以来、日本で“バイキング”といえば、食べ放題の代名詞に。50周年を迎えた2008年には、開業日の8月1日が日本記念日協会により、正式に「バイキングの日」として登録・認定されています。

約50種類の料理に、ワクワクが止まらない!
今回のリニューアルの大きなポイントは、ランチとディナーで味わえるメニューに中国料理と日本料理が加わったこと。これまでは帝国ホテルの看板料理ともいえるフランス料理が中心でしたが、料理のバリエーションが多彩になったことにより、メニュー数も約40種類から約50種類に増えました。

杉本 雄東京料理長の指揮のもと、中国料理の監修を担当したのは、帝国ホテル 大阪直営の「ジャスミンガーデン」で長年シェフを務め、国内のさまざま料理コンクールで表彰された実績をもつ畑 繁良氏。畑シェフはレシピを提供するだけでなく、実際に東京に来て料理一品一品の監修に当たったといいます。さらに、関東の人の好みに合わせ、味付けも微妙に変えるというこだわりも。
畑シェフ自慢の北京ダック。パリパリの皮と、ジューシーな身の部分の両方を味わえます。zoom
畑シェフ自慢の北京ダック。パリパリの皮と、ジューシーな身の部分の両方を味わえます。
その畑シェフが「ぜひとも食べてみてください!」と太鼓判を押すのが、北京ダックと蒸し立て熱々の小籠包、そして辛みが利いた大人向けの味の海老チリソース。高級食材・アワビの煮込み(ディナーのみの提供)も、アラカルトならお値段が気になるところですが、好きなだけ食べられます。デザートの定番、マンゴープリンや杏仁豆腐もとろける美味しさ!
いっぽう日本料理は、これまでの知見を活かした丼物をはじめ、旬の食材を楽しめる椀物、ディナーでは揚げたての天ぷらを味わえます。

帝国ホテルならではの上質なフレンチを中心とした洋食には、セビーチェ、テリーヌ、ポテトサラダなどの冷たい料理に、伝統のカレー、グラタン、ビーフストロガノフも。これまでのバイキングで最も人気が高かったローストビーフは、肉の軟らかさとともにたくさん食べてもらえるよう、優しい味付けになっています。大皿で登場するパエリア、チーズの盛合せやフレッシュフルーツ、デザートもたっぷりご用意。
記念セレモニーに登壇した、タレントの浅野杏奈さんと元ラグビー日本代表の真壁伸弥さん。ローストビーフをほおばった真壁さんの顔を見れば、美味しさは一目瞭然。zoom
記念セレモニーに登壇した、タレントの浅野杏奈さんと元ラグビー日本代表の真壁伸弥さん。ローストビーフをほおばった真壁さんの顔を見れば、美味しさは一目瞭然。
小皿で提供する料理もあり、よりたくさん食べられる工夫が。メニューが季節ごとに変わるのも楽しみ。zoom
小皿で提供する料理もあり、よりたくさん食べられる工夫が。メニューが季節ごとに変わるのも楽しみ。
全世代が安心して楽しめるメニュー内容は、伝統の味を守りながら時代に合わせて進化する
今回のリニューアルオープンにあたり、杉本東京料理長がこだわったのは、「あらゆる世代のお客様に、ホテルならではの上質な料理を美味しく、安心して召し上がっていただくこと」。根強いファンが多い看板メニューを活かしつつ、より多くの種類の料理が食べられるよう、盛り付けは小さなポーションに。また、一部の料理は客席のタブレットからもオーダーできるので、小さな子ども連れやお年寄りもゆったりくつろいで食事ができます。できたての味を最も美味しい状態で味わってもらうため、点心はワゴンサービスで提供。作り立ての料理が追加されたことを知らせるベルの音にも、ワクワクしてしまいました。

ホテルとしていち早くSDG'sを取り入れた帝国ホテル 東京ならではの取り組みも、随所に見られました。皮だけでなくジューシーなお肉の部分も味わえる北京ダック、ベーカリーで出るさまざまなパン生地を組み合わせて作ったデニッシュやパンプディングといった、サステナブルなメニューが加わっていることもポイントです。
前菜から、チーズ、デザートまで。ベーカリーで余ったクロワッサン生地で作るパンプディング(左下)、ヴィーガン料理など、時代に合わせてメニューも進化。zoom
前菜から、チーズ、デザートまで。ベーカリーで余ったクロワッサン生地で作るパンプディング(左下)、ヴィーガン料理など、時代に合わせてメニューも進化。
美味しいだけでなく、全世代が安心して食べられる心遣い、伝統を継承しながら時代に合わせて進化する姿は、さすが帝国ホテル。グループで、ファミリーで、大切な人との記念日にと、思い出に残る食事のシーンが刻まれるに違いありません。
ちなみに、“バイキング”という食のスタイルは、フランス生まれのブッフェを日本流にアレンジした和製英語。欧米のレストランでは通じないので、注意してくださいね。

◆帝国ホテル 東京「インペリアルバイキング サール」(本館17階)
https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/sal/
・営業時間
   朝食   7:00~9:30(Close)
   ランチ  11:00~15:00(Close)
   ディナー 17:30~22:00(Close)
・料金 ※税サ込、( )内は4~12歳のお子さま料金 
   朝食   6,100円(3,700円)
   ランチ  平日12,000円(6,500円)/休日14,000円(8,000円)
   ディナー 平日17,000円(8,500円)/休日 19,000円(10,000円)
帝国ホテル 東京
東京都千代田区内幸町1-1-1
TEL 03-3539-8187(予約・問い合わせ)
https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
risvel facebook