旅の扉

  • 【連載コラム】「“鉄分”サプリの旅」
  • 2022年11月3日更新
共同通信社ワシントン支局次長・鉄旅オブザイヤー審査員:大塚圭一郎

兵庫か茨城、京都へ鉄道使う「夢の旅行プラン」募集 「鉄旅オブザイヤー」、12月23日まで

△山陽電気鉄道の電車「3000系」の復刻塗装編成=2019年8月、兵庫県(筆者撮影)zoom
△山陽電気鉄道の電車「3000系」の復刻塗装編成=2019年8月、兵庫県(筆者撮影)

 企画する鉄道旅行の道中に味わうのは神戸牛か、納豆か、それとも京うどんか?旅行会社などでつくる「鉄旅(てつたび)オブザイヤー実行委員会」は11月1日、日本一の鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅オブザイヤー」の2022年度の募集を始めた。一般個人や団体から鉄道を利用した「夢の旅行プラン」を募る一般部門の締め切りは12月23日金曜日となり、最高賞「ベストアマチュア賞」を1点選ぶ。旅行部門も同じ期間に募集し、審査委員は本コラム「“鉄分”サプリの旅」執筆者の大塚圭一郎・共同通信社ワシントン支局次長を含めた10人が務める。

△鉄旅オブザイヤー2021年度の授賞式後に記念撮影した受賞者ら=22年4月、さいたま市の鉄道博物館(鉄旅オブザイヤー運営事務局提供)zoom
△鉄旅オブザイヤー2021年度の授賞式後に記念撮影した受賞者ら=22年4月、さいたま市の鉄道博物館(鉄旅オブザイヤー運営事務局提供)

 ▽“オールスター戦”の様相
 鉄旅オブザイヤーは東日本大震災からの復興と、鉄道を活用した旅行需要喚起を目指して11年度に始まり、22年度で12回目。後援にはJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州のJR旅客6社全てと、民営鉄道会社でつくる日本民営鉄道協会、旅行業界団体の日本観光振興協会、日本旅行業協会、全国旅行業協会が入っている。鉄道と旅行業界の主要企業・団体が名を連ねる“オールスター戦”の様相だ。

△神戸市のJR・神戸市営地下鉄の新長田駅前にある「鉄人28号」の像(筆者撮影)zoom
△神戸市のJR・神戸市営地下鉄の新長田駅前にある「鉄人28号」の像(筆者撮影)

 ▽23年度のDC開催地が募集対象
 ベストアマチュア賞に輝くと、22年4月19日水曜日に鉄道博物館(さいたま市)で開催予定の授賞式で表彰状と賞金5万円、JR協賛による記念品が贈られる予定だ。
 募集するのはJR旅客6社と地元自治体が開催する大型観光企画「デスティネーションキャンペーン」(DC)が23年度に開催される兵庫県(23年7~9月)、茨城県(23年10~12月)、京都市(24年1~3月)。それぞれのDC開催期間以外のプランを応募するのも可能で、1泊2日以上のプランについては宿泊地域も記すことが必要だ。

△京都タワーが目立つ京都駅前の夜景=20年11月、京都市(筆者撮影)zoom
△京都タワーが目立つ京都駅前の夜景=20年11月、京都市(筆者撮影)

 ▽商品化されたベストアマチュア賞も
 詳しい応募要項は公式ホームページの「鉄旅オブザイヤー」で見られる。応募者は、「鉄旅オブザイヤー応募要項」に設けた応募用紙をダウンロードし、メールで応募する。
 対象は未発表作品に限られる。もしもプランが旅行商品化された場合は著作権を放棄し、利益還元はしないのが応募条件となる。20年度にベストアマチュア賞を最年少で受けた小学生、東浦拓斗さんの企画は、旅行商品「今話題の(バス兼列車のデュアル・モード・ビークル)DMVや志国土佐 時代の夜明けのものがたりに乗車!『こんな旅したかった』四国鉄道の旅」として旅行会社クラブツーリズムが22年4月に発売した。
 一般部門の「最終審査員」は、いずれも熱心な鉄道ファンとして有名なフリーアナウンサーの久野知美さん、ホリプロの南田裕介マネージャー、お笑い芸人「ダーリンハニー」の吉川正洋さんの3人が務める。

△引退して廃車になった485系「リゾートエクスプレスゆう」(一番左)、特急「フレッシュひたち」で使われていたE653系が並んでいた2012年時点のJR東日本勝田車両センター=茨城県ひたちなか市(筆者撮影)zoom
△引退して廃車になった485系「リゾートエクスプレスゆう」(一番左)、特急「フレッシュひたち」で使われていたE653系が並んでいた2012年時点のJR東日本勝田車両センター=茨城県ひたちなか市(筆者撮影)

 ▽4部門の中からグランプリ選出
 併せて鉄旅オブザイヤー実行委員会は、旅行会社が22年1月~12月に催行、または実施予定の日本国内を目的地とする企画旅行を対象とした旅行会社部門も募る。
 団体旅行を対象とした「エスコート部門賞」、個人旅行の「パーソナル部門賞」、DC開催地へのツアーを対象にした「DC部門賞」、鉄道愛好家向けの「鉄っちゃん部門賞」を一つずつ選出。これら4部門の中から最高賞「グランプリ」1商品を授賞式当日に選ぶ。
 これら以外の1商品に「審査員特別賞」も授与する。
実行委員会による一次審査を通過した応募作品を、大塚を含めた10人の審査委員が採点する。審査委員長は「旅と鉄道」名誉編集長の芦原伸・日本旅行作家協会専務理事が務める。

△川崎重工業グループの事業所に展示された旧日本国有鉄道のボンネット型車両の前に立つ鉄旅オブザイヤー審査委員の大塚圭一郎=19年5月、神戸市zoom
△川崎重工業グループの事業所に展示された旧日本国有鉄道のボンネット型車両の前に立つ鉄旅オブザイヤー審査委員の大塚圭一郎=19年5月、神戸市

 ▽22年度もグランプリを「事前予想」
 旅行会社部門の4部門の受賞商品が事前に公表され、授賞式当日の投票でグランプリを選ぶ方式に変わった20年度以降、大塚は共同通信社と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS」や「Yahoo!ニュース」などで連載している鉄道コラム「鉄道なにコレ!?」で20年度、クロスエフエム(福岡県)の栗田善太郎さんがナビゲーターを務める番組「Urban Dusk」で21年度にそれぞれグランプリを事前に予想して的中させた。
 大塚は「22年度もグランプリを公開した形で事前予想し、誠に微力ながら授賞式への注目度を少しでも高められればいいと考えています」と打ち明ける。その上で、22年度で自身は10年目となる審査委員を「引き続き報酬を辞退して引き受ける」ことで「優れた鉄道旅行商品の数々を顕彰し、それらが手本となって良いツアーが世に送り出されていくことで、新型コロナウイルス禍の打撃を受けた鉄道と旅行業界、地域経済が回復するお手伝いをできれば幸いです」とコメントした。
 (連載コラム「“鉄分”サプリの旅」の次の旅をどうぞお楽しみに!)

共同通信社ワシントン支局次長・鉄旅オブザイヤー審査員:大塚圭一郎
1973年4月東京都杉並区生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。1997年4月社団法人(現一般社団法人)共同通信社に記者職で入社。松山支局、大阪支社経済部、本社(東京)の編集局経済部、3年余りのニューヨーク特派員、経済部次長などを経て、2020年12月から現職。アメリカを中心とする国際経済ニュースのほか、運輸・観光分野などを取材、執筆している。

 日本一の鉄道旅行を選ぶ賞「鉄旅オブザイヤー」(http://www.tetsutabi-award.net/)の審査員を2013年度から務めている。東海道・山陽新幹線の100系と300系の引退、500系の東海道区間からの営業運転終了、JR東日本の中央線特急「富士回遊」運行開始とE351系退役、横須賀・総武線快速のE235系導入、JR九州のYC1系営業運転開始、九州新幹線長崎ルートのN700Sと列車名「かもめ」の採用、しなの鉄道(長野県)の初の新型車両導入など最初に報じた記事も多い。

共同通信と全国の新聞でつくるニュースサイト「47NEWS」などに掲載の鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」(https://www.47news.jp/culture/leisure/tetsudou)の執筆陣。連載に本コラム「“鉄分”サプリの旅」(https://www.risvel.com/column_list.php?cnid=22)のほか、47NEWSの「鉄道なにコレ!?」がある。

共著書に『平成をあるく』(柘植書房新社)、『働く!「これで生きる」50人』(共同通信社)など。カナダ・VIA鉄道の愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。FMラジオ局「NACK5」(埼玉県)やSBC信越放送(長野県)、クロスエフエム(福岡県)などのラジオ番組に多く出演してきた。東京外大の同窓会、一般社団法人東京外語会(https://www.gaigokai.or.jp/)の元理事。
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