旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2022年10月19日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

王冠と言われるホテルを中心に散策でまわる世界遺産の都市ケベックシティ

フェアモント・ル・シャトー・フロンテナックとダファリン・テラスの様子zoom
フェアモント・ル・シャトー・フロンテナックとダファリン・テラスの様子

ケベックシティはモントリオールから北東に車で3時間のケベック州の州都であり、セントローレンス川に面した北米唯一の城塞都市です。1985年にはユネスコ世界文化遺産に登録されています。

古城ホテルで食事する
街の中心は「フェアモント・ル・シャトー・フロンテナック」と誰もが言うことでしょう。フランス式古城を模した重厚な建物は、街のどこにいても視界に入ります。旧市街の王冠と云われるだけあり、風格のある建物で、世界で一番写真に撮られることの多いホテルだそうです。

外観の美しさはもちろん、一歩足を踏み入れると、その豪華な内装にも目を奪われます。古代建築とアールデコ建築の融合、美しい手彫りの梁と塗装された天井はさながら王宮に足を踏み入れたようです。

今回はランチでホテル内のレストラン「Le Sam」に向かいました。そこでは、PRダイレクターのアンドレー・アン グロリューさんがホテルについて説明してくれました。

歴史を知る
1893年に鉄道会社のCP Railが建設したもので、現在はフェアモントホテルのグループになっています。歴史あるホテルは、1939年にイギリス国王ジョージ6世とエリザベス女王を迎え入れ、ロイヤルキャッスルと呼ばれました。

また、1943年の8月と1944年9月の2回にわたってアメリカ大統領のルーズベルトと英国のチャーチル首相に加えカナダのウィリアム・ライアン・マッケンジー・キング首相による第二次世界大戦の終結に向けた天下分け目の政治会談の場となったことでも有名です。

エリザベスⅡ世など彼らの名前を冠したスイートルームが10室あることも特筆されるホテルの特徴です。グリーンキャッスルの異名の通り、環境保護のため2016年から7500本もの植樹を行ったことも説明してくれました。

Le Samはセントローレンス川に向かった出窓となるような好位置にある場所で、落ち着いた装飾の中でゆったりと食事することができます。窓の外に目を移すと、セントローレンス川とその先はアメリカメイン州につながるレヴィの街が見えています。

ギャルソンにおすすめされるままに、前菜は生牡蠣とクラブケーキを。見た目にも綺麗に盛り付けられ気分が上がります。クラブケーキとは蟹の身に玉葱などを混ぜ揚げた物で、蟹の味がぎっしり詰まっており食べ応え充分。生牡蠣は小ぶりながら濃厚な牡蠣の旨みが口いっぱいに広がります。

メインには牛肉のタルタルステーキ。日本ではあまり食べられませんが、細かくカットされた生の牛肉をカリッとトーストされたフランスパンに載せて頂きます。牛肉の旨味がしっかりと味わえ、ケッパーがアクセントとなり非常に美味。

デザートには洋ナシのコンポート、ブラックフォレストケーキ、ミルクチョコレートのホイップガナッシュと3種類を少しづつ。どれも奥の深い想像以上の味でした。レストランの雰囲気や窓から見える素晴らしい景色も含め、忘れられない昼食となりました。

ホテル内には他にもケベック市が設立された年を店名にした「1608Bar」や、ホテルのランドマーク的レストラン「Champlain」があります。伝統と最新トレンドと融合させ、ユニークで思い出に残る料理の発見を生み出す場所とのこと。次回はここで食べてみたくなりました。

最後に料理長のフレデリック・シアー氏とシェフのヒューゴ・コーディリアー氏に会うことができました。

アンドレー・アンさん(左上)、シェフのお二人(左中)、料理とLe Sam(下左)、フロント(下右)zoom
アンドレー・アンさん(左上)、シェフのお二人(左中)、料理とLe Sam(下左)、フロント(下右)

展望施設へ
ホテルを出ると、セントローレンス川を見渡す広場につながります。ダファリンテラスと言い、歌手やエンターテナーが大道芸を披露しており、自然と人が集まる憩いの場所です。

サン・ルイ通りを南西方向に足を延ばして展望台「オブザベーション・デ・ラ・キャピターレ」に向かいます。1.5㎞で17分のみちのりを、サン・ルイ門や州議事堂前の議事堂公園などを見ながら歩きます。途中、観光客を乗せた馬車が走るなど、雰囲気に溶け込んだ街の生きた様子に嬉しくなります。

360度ガラス張りになっており、セントローレンス川を始め、たった今通ってきた州議事堂や、ケベック要塞などの有名な観光地、また箱庭のような可愛いケベックの街の景色を楽しむことができます。ところどころに建物名の記載されたパノラマ写真が設置され、壁にはケベックシティの歴史や概要が書かれており、ケベックの街を知るにもいい場所です。

あまり知られていないのか、ほとんど人もおらず、心ゆくまでケベックの街並を堪能できておすすめです。

オブザベーション・デ・ラ・キャピターレからの眺望zoom
オブザベーション・デ・ラ・キャピターレからの眺望

石畳のロウワータウンを歩く
次に向かうのはロウワータウンです。街の乗り物としてのアイコン「フニキュレール」を使ったり、首折れ坂を下るもよし。先に延びるのは、北米で最も古いショッピング街の1つである石畳の通り、プティ・シャンプランです。

街の中心にある「ロワイヤル広場」は、1608 年にサミュエル・ド・シャンプランが北アメリカで最初のフランス人定住地を建設した場所です。そのヨーロッパに来たかのような街の魅力は、大陸で最も古い石造りの教会の1つである美しいノートルダム・デ・ヴィクトワール教会によって際立っています。

欧州のたたずまいのプチ・シャンプラン通り付近とロワイヤル広場(下)zoom
欧州のたたずまいのプチ・シャンプラン通り付近とロワイヤル広場(下)

街中に花が溢れ、壁面画やお洒落なカフェなど、街全体がフォトジェニックなスポットになっています。また地元のデザイナーによる衣料品、先住民族の彫刻や手工芸品、ジュエリー、ケベック産のワインなどがあり、土産を探すのにも最適な通りです。

セントローレンス川を渡るフェリーに乗って対岸を往復してみるのもおすすめです。船から見るフェアモント・ル・シャトー・フロンテナックやロウワータウンの可愛いカラフルな街並みが美しく、異国のクルーズ船の停泊の様子とともに北米を代表する観光地であることを改めて感じます。

船に乗って対岸からフェアモント・ル・シャトー・フロンテナックを見るzoom
船に乗って対岸からフェアモント・ル・シャトー・フロンテナックを見る

食事に向かう
旧市街の中を散策していて見つけたのはパブレストラン「D’ORSAY」です。緑のツタが絡まる壁は赤く、黄色いひさしのある明るい色彩の店ですが、店内は照明が落とされた落ち着いた雰囲気の入ってみたくなる店です。

人気の店のようで店内は既に満席で、二階に通されます。お目当ては、ムール貝。6種類のソースの中から、定番の白ワイン蒸しを選びました。ヨーロッパでは定番ですが、日本では考えられないような量、鍋一杯に盛られて提供され大満足でした。

ショッピングへ
店を出ると、ひときわ明るい店頭が見えて来ます。「La Boutique de Noël de Québec」は1986年開店のクリスマス愛好家のための店。「7 歳から 97 歳までの子供たちを魅了するこのユニークで魔法のような場所に皆様をお迎えできることを誇りに思っています」とのこと。2階にまで足の踏み場もないくらいにいっぱいにクリスマス商品であふれており、見ているだけでウキウキしてきます。

D’ORSAYの外観(左上)、料理とLa Boutique de Noël de Québecの店内(下)zoom
D’ORSAYの外観(左上)、料理とLa Boutique de Noël de Québecの店内(下)

ケベックシティはウインドウショッピングの楽しい街。個性のある店頭が、歩く人々を店内に誘います。

400年の歴史を越えて今に生きるケベックシティは、訪れたあなたに何かを残してくれるでしょう。

取材協力:デスティネーションケベックhttps://www.quebec-cite.com/en

フェアモント・ル・シャトー・フロンテナックhttps://www.fairmont.jp/frontenac-quebec/

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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