モントリオールからケベックシティへ
モントリオールから世界遺産の街、ケベックシティを訪問する人は多いようです。飛行機なら50分、鉄道で3時間30分、バスで3時間30分かかるおよそ280㎞は、東京からであれば浜松を越えて豊橋あたりの距離になります。今回はモントリオールとケベックシティの両都市から少し距離のある観光地も巡りたいと思い、モントリオール国際空港でレンタカーを借りました。
秋は、美しい紅葉を求めて世界中から旅行者が集まるため、ホテルやレンタカーも比較的高くなる時期。いくつかのサイトを見てみるとかなり価格に幅があることがわかります。予約サイトから「Thrifty」のレンタカーを申し込み、1週間借りることにしました。比較サイトは重要ですね。
寄り道しながらケベックシティを目指す
モントリオールからケベックシティへは、セントローレンス川沿いに南北を走るオートルートを使います。往路は北を、復路は南を通ってみました。北側は少し距離が長いですが、よりセントローレンス川に近く、途中「トロワリビエール」という小さな街があり、休憩にいいのではないかとの想定です。
トロワリビエールで川沿いにある「ビストロバー・ルチャック」へ向かいましたが、誰もいません。店内には入れるのですが、結局営業していないという情報を得て、せめて写真だけでもと記録に残してきました。静かな河畔で川面を打つ雨しぶきを眺めつつ、気分一新ケベックシティを目指します。
紅葉の名所へ
ケベックシティから、紅葉の名所となるモンサンアンを目指しました。セントローレンス川沿いに北上します。街から車で10数分走ると道路わきに現れるのはモンモランシーの滝。ここは帰路で訪問の予定でしたので、いきなり出現した大きな滝に車の中で思わず歓声があがります。勇壮な滝の姿を垣間見ただけで、期待が大きくふくらみます。
巡礼地を見つける
その後もルート138を走ると、道路沿いにひときわ大きな尖塔が目に入ってきます。調べてみると「サンタンヌ・ド・ボープレ」という巡礼地でした。
建築物は第一期が1658年に建立され、現在で5代目になります。鐘楼の頂上までの高さは100mもあり、最大長も100mで十字架の形状をしたロマネスクリバイバル様式建築です。北米でも最大の聖地巡礼先として有名な場所でした。
訪問した9月下旬で既に樹々は紅葉が始まり、白い建物と見事なコントラストを見せていました。快晴の下の明るい尖塔とは裏腹に、内部は荘厳な空間が広がります。美しい祭壇やステンドグラスに見入り、崇敬の念を込めてキャンドルを灯したりと、少しだけ立ち寄るつもりが、結構長く滞在する思い出の場所となりました。予定外の観光ができるのもレンタカーのいいところですね。
紅葉を求めてモンサンアンへ
モンサンアンはスキー場です。ゴンドラに乗って山頂から紅葉の始まった山々の景色を楽しもうと向かいました。しかし山頂までのゴンドラは週末にしか運転されておらず、訪問した平日は麓で山肌を眺めるに留まりました。それでも紅葉の始まり、緑混じる銀杏の葉が美しく山肌を飾っており、青空の下、あたりの散策で気持ちのいい時間を過ごすことができました。紅葉は次回のカナダ旅行の楽しみになりました。
モンモランシーの滝へ
最も楽しみにしていたモンモランシーの滝です。車は滝の上部の展望コース脇の駐車場に停め、歩いて滝の全容を様々な角度から見ることができるようです。最初に現れる展望台で、すでに足は釘付けです。何せ、水までの距離が近い。
そして滝上の釣り橋では、足元に怖いくらいにこれでもかという圧倒的な水量の滝が噴出していきます。
歩くだけでなく、この滝の上部を横切る300mの空中散歩、ジップラインも用意されています。吊り橋の距離よりも更に近く、滝の水しぶきを受けながらの空中移動はさぞ迫力があることでしょう。
広場のような場所を抜けると、今度は滝つぼのそばまで階段を降り近づくことができます。途中何度も滝のミストが足元を濡らし迫力満点です。高さ83mのこの滝はナイアガラよりも30m高いと言います。
正面に滝を眺めると、虹が二重にかかり、何とも言えぬ自然の荒々しさと美しさに気持ちが高揚します。
階段を降り、滝から少し離れた場所まで来ると、ベンチが置かれており、滝を遠めにピクニックのようにゆっくりと飲食ができるようになっていました。そして最後は、ゴンドラでまた滝の上まで昇っていくという360度周遊コースが設定されていました。
ハイキングやジップラインだけでなく、フェラータ回廊というアクティビティも用意されています。フェラータとは崖沿いの連続ケーブルを辿って滝口に迫るというもの。長さ260mを2~3時間かけて移動します。また違った感動を味わえるようです。
シュット・ド・ラ・ショディエールへ
モンモランシーの滝から、ケベックシティの街並みを南に見ながら南西方向へ車で30分走ると、もう一つの滝の名所「シュット・ド・ラ・ショディエール」にたどり着きます。道路のすぐ脇にあるのでアクセスは便利です。
高低差35mとさほど高くはないのですが、幅がある大滝でこちらもまた迫力があります。脇に整備された公園の展望台も足元が濡れており、常に水しぶきが飛んでくることがわかります。滝に沈みゆく太陽の光が川の波を光らせていました。
ケベックシティでは世界文化遺産を見ることができるのですが、郊外に出ると迫力のある自然の中で息吹感じることができました。バランスのいい観光が手軽にできるところがいいですね。
取材協力:ケベックサイト ⇒ https://www.quebec-cite.com/en