アメリカ合衆国最南端のサウス・ポイント(カ・ラエ岬)の近くに、オリーブ・グリーンの砂を敷きつめた不思議な色のビーチがあります。
サウス・ポイントへ向かう途中なら、風力発電所の風車の隊列を過ぎてY字路で左折、帰りであれば、サウス・ポイント・ロードを少し戻り右折、道なりに進むと駐車場らしきスペースが見えてきます。
ここから先は、草原の中にいくつものわだちが残るほか、標識もなにもありません。そのわだちを頼りに歩くこと約1時間、ようやく前方に岩場が見えてきます。
上からのぞきこむと、ありました!
岩場と岩場の間に、本当に緑色の砂浜が広がっているのです。砂浜のオリーブ・グリーンと海の青が重なった波打ち際が、不思議な色のコントラストを見せています。
さっそく砂を手に取ってみると、黒っぽい溶岩の砂粒のなかに、緑色のかけらがきらきら光っています。溶岩に混じって溶けていたペリドット(カンラン石)が細かく砕け、ビーチを緑色に映し出しているのだそうです。
この「グリーン・サンド・ビーチ(Green Sand Beach)」は、車でも徒歩でも容易にたどり着けないことから、「秘境のビーチ」「幻のビーチ」とも呼ばれています。
ところが最近、駐車場とビーチを往復するシャトル・サービスが登場し、「秘境感」がちょっぴり薄れつつあります。
ドライバーのお兄さんを呼びとめて聞いてみたところ、休日のアルバイト代わりに行っているらしく、料金は5ドル程度。もちろん、正式なツアー会社のものではありません。
自分の足でたどり着いて達成感を味わうか、ラクしてシャトルを利用するかは、時間の余裕と体力次第。ただし、帰りのピックアップを忘れられないよう十分ご注意を。あたりには照明もありませんから、明るいうちに駐車場まで戻ってくるのも鉄則です。
サウス・ポイントからヒロへ向かう途中には、プナルウ黒砂海岸(Punaluu Black Sand Beach)という、まっ黒な砂浜のビーチもあります。
ここには毎日、ウミガメがやってくることでも有名です。シャワーやトイレもあるので、ロングドライブの休憩スポットにもおすすめです。
●写真/宮澤 拓
*サウス・ポイント周辺の見どころや立ち寄りスポットは 『よくばりハワイ ビッグ・アイランド編』
(翔泳社 永田さち子・宮澤 拓/共著)でもご紹介しています。