旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2013年7月24日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

ハワイ島の旅(3) アメリカ合衆国最南端と秘境ビーチを目指して【後編】

緑色の砂が海の青に透けて不思議な色を作りだす、グリーン・サンド・ビーチ。サウス・ポイントの荒々しい海岸線とは異なり、静かな入り江が広がっています。zoom
緑色の砂が海の青に透けて不思議な色を作りだす、グリーン・サンド・ビーチ。サウス・ポイントの荒々しい海岸線とは異なり、静かな入り江が広がっています。

アメリカ合衆国最南端のサウス・ポイント(カ・ラエ岬)の近くに、オリーブ・グリーンの砂を敷きつめた不思議な色のビーチがあります。

サウス・ポイントへ向かう途中なら、風力発電所の風車の隊列を過ぎてY字路で左折、帰りであれば、サウス・ポイント・ロードを少し戻り右折、道なりに進むと駐車場らしきスペースが見えてきます。

グリーン・サンド・ビーチまでは、日差しを遮るもののない乾いた草原を片道1時間ほど歩きます。途中に小さな入り江が現れます。ここから目指すビーチまで、さらに30分ほど。日焼け対策や、飲料水も忘れずに!zoom
グリーン・サンド・ビーチまでは、日差しを遮るもののない乾いた草原を片道1時間ほど歩きます。途中に小さな入り江が現れます。ここから目指すビーチまで、さらに30分ほど。日焼け対策や、飲料水も忘れずに!

ここから先は、草原の中にいくつものわだちが残るほか、標識もなにもありません。そのわだちを頼りに歩くこと約1時間、ようやく前方に岩場が見えてきます。

上からのぞきこむと、ありました!
岩場と岩場の間に、本当に緑色の砂浜が広がっているのです。砂浜のオリーブ・グリーンと海の青が重なった波打ち際が、不思議な色のコントラストを見せています。

よく見ると、砂粒に緑色のかけらが混じっているのがわかります。(砂の持ち帰りは厳禁です)zoom
よく見ると、砂粒に緑色のかけらが混じっているのがわかります。(砂の持ち帰りは厳禁です)

さっそく砂を手に取ってみると、黒っぽい溶岩の砂粒のなかに、緑色のかけらがきらきら光っています。溶岩に混じって溶けていたペリドット(カンラン石)が細かく砕け、ビーチを緑色に映し出しているのだそうです。

この「グリーン・サンド・ビーチ(Green Sand Beach)」は、車でも徒歩でも容易にたどり着けないことから、「秘境のビーチ」「幻のビーチ」とも呼ばれています。

「秘境ビーチ」にしては、少々にぎやか過ぎる?週末。zoom
「秘境ビーチ」にしては、少々にぎやか過ぎる?週末。

ところが最近、駐車場とビーチを往復するシャトル・サービスが登場し、「秘境感」がちょっぴり薄れつつあります。
ドライバーのお兄さんを呼びとめて聞いてみたところ、休日のアルバイト代わりに行っているらしく、料金は5ドル程度。もちろん、正式なツアー会社のものではありません。

自分の足でたどり着いて達成感を味わうか、ラクしてシャトルを利用するかは、時間の余裕と体力次第。ただし、帰りのピックアップを忘れられないよう十分ご注意を。あたりには照明もありませんから、明るいうちに駐車場まで戻ってくるのも鉄則です。

プナルウ黒砂海岸。その名のとおり、まっ黒な砂は、海に流れ込んで冷えて固まった溶岩が、砕けて砂になったもの。zoom
プナルウ黒砂海岸。その名のとおり、まっ黒な砂は、海に流れ込んで冷えて固まった溶岩が、砕けて砂になったもの。

サウス・ポイントからヒロへ向かう途中には、プナルウ黒砂海岸(Punaluu Black Sand Beach)という、まっ黒な砂浜のビーチもあります。

こんなに近くでウミガメを見ることができますが、15フィート(約4.5m)以内に近づいてはいけない決まりがあります。zoom
こんなに近くでウミガメを見ることができますが、15フィート(約4.5m)以内に近づいてはいけない決まりがあります。

ここには毎日、ウミガメがやってくることでも有名です。シャワーやトイレもあるので、ロングドライブの休憩スポットにもおすすめです。


●写真/宮澤 拓
*サウス・ポイント周辺の見どころや立ち寄りスポットは 『よくばりハワイ ビッグ・アイランド編』 
 (翔泳社 永田さち子・宮澤 拓/共著)でもご紹介しています。

Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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